「過剰適応」の傾向をお持ちの方は、心理面接の場面でも、過剰に適応しようとすることがある、このことをご存じですか。
もし、あなたが、カウンセリングを受けようと思ったとき、このことを知っている心理療法家を選ぶことは、とても大切です。
なぜなら、知らず知らずのうちに、クライアントは、セラピストの満足をうながすような関係性、今までの周囲に配慮した、過剰に適応した関係性を、セラピストにも築こうと努力するかもしれないからです。
これらの点に、留意できないセラピストは、「過剰適応」の方が抱える、複雑な感情に気づくことができないでしょう。
心理面接室 O.C.WORK では、クライアントの「過剰適応」傾向を、急いでやめさせようとはしません。何を言っているのだろう、と思われるかもしれませんね。
もし、心理面接場面において、「過剰適応」をすべて否定し、「過剰適応」しない状態を目標に掲げるとしたら、クライアントの方は、自分が「過剰適応」しているのではないか、それをしている自分はダメではないか、と自分を責めるかもしれません。そして、「過剰適応」しないようにするための努力に、再び「過剰適応」する可能性があるのです。
「過剰適応」は、ひとつの防衛策であり、小さな子どもだったあなたが、与えられた環境のなかで育ち、生きのびるために、必要な「守り・工夫」であったかもしれない、と述べました。まわりのことをうかがったり、まわりの気持ちを優先することで、自分の存在を、守ってきたかもしれないのです。
そして、あなたは、他者と自分について分かち合うことが、苦手かもしれませんね。家族や誰かに話したり相談しても、あなたにとって、今まで、あまり良い結果が導かれなかった可能性もあるでしょう。恥ずかしい、嫌な体験、という記憶もあるかもしれません。だからこそ、今まで、自分ひとりで問題を抱え、一人で判断し、いろいろなことを決めてきたのかもしれません。誰にも邪魔をさせないように。でも、得てしてそれは、高いハードルを設定しがちで、息も絶え絶え、もう無理…ということを、繰り返していませんか。
もしかすると、あなたは、子どもの頃の延長で、無自覚に、反射的に、「過剰適応」を行っている可能性もあります。その「守り・工夫」は、大人になった今のあなたには、小さくなった洋服のように、窮屈で、違和感を感じる、なにかおかしいと感じる、やり方になっているかもしれません。
♯穏やかに形つくられてゆく、あなた
<選択は、過剰適応するか、しないか、の二者択一ではありません。>
急激に、なにかを正そう、改めようとするのではなく、心理面接に通いながら、「過剰適応」のサイクルや方法が、ゆるやかになっていくような、あまり気にならなくなっていくような方向を目指したいと考えています。
あなたが、あなたのままであっていい、いろいろな自分があっていい、わからないことがあってもいい、何かしていなくてもいい、…etc、安全な感覚を抱けるような、<あなたの所在>を、ゆっくりとつくっていくことが、「過剰適応」の緩和につながると考えています。
「過剰適応」の傾向の方は、「本音が自分でもわからない」こともあります。
心理面接で取り入れている、[描画療法]や[身体感覚のアプローチ]は、「過剰適応」の方が、他者に向けて表現しにくい、攻撃性やネガティブな感情などを、間接的に、遊びの感覚で、安全に扱えるため、有用です。
また、今まで、使っていなかった感覚や無意識にアプローチするため、奥底に留まらせていた記憶や、置き去りになっているあなたへのつながり、心の柔軟さを導き、<新しい、自身の形成>に役立つと考えます。
心理面接を通して行われる、言語的・非言語的なコミュニケーションの過程により、あなたの感性や、本来もっている、あなたの根幹、あるいは、奥底にある恐れのようなものと、しずかに、ゆっくり、対峙し、あなたという心の器の育みにつながることを目指しています。<信じられる自分>づくりの過程です。
固く、こわばった心が、少しずつ、溶け、柔らかさを取り戻し、つながりを結びゆく過程に、<穏やかに形つくられてゆく、あなた>の存在があると考えます。
長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。「過剰適応」と心理面接について、今後も、さまざまな視点から、ブログなどで発信していきます。