9月の6年生クラスの実験テーマは、「『見える』とは何か①(光の性質)」でした。
初めに、夏イベント(「箱カメラづくり」)の時に学んだ、眼の構造と「見える」しくみの復習から入りました。
物体が「見える」とは、物体が発した光が目に届き、網膜の上に像を結んで、それが脳に伝えられることでしたね。
では、ここで3つの謎を紹介。
① お椀に入れたコインが見えない高さに目の位置をきめ、お椀に水を注ぐと……コインが見えるのはナゼ?
② 鏡の中のペットボトルに手を伸ばしても、ボトルにさわれないのはナゼ?
③ 水に箸を刺すと、水面で箸が切れて見えるのはナゼ?
これらはすべて、光の性質が関係しています。
そこで、謎解きをするために、光の性質を調べていきました。
光は、同じ物質(空気、水など)の中では直進しますが、別の物質にぶつかると、反射したり屈折したりします。
まず、反射についての実験です。
鏡にいろいろな角度から光を当てて反射の様子を調べると、入射角と反射角は必ず等しくなります。
さらに、物体と、鏡越しに見える像との位置関係を調べると、(鏡を折り返し線とした)線対称の位置にあることがわかりました。
続いて、屈折についての実験をしました。
水槽の水に斜め上から光を当てると、水面で屈折し、水槽の底の方に向かいます。逆に、水の中から空気中に出ていくように光を当てた時も水面で屈折し、水面に近づくように曲がります。
また、直方体のガラスに光を当てた時は、ガラスに入る時と出ていく時の2回屈折する様子が観察できました。
このガラス越しに箸を見ると、さっきの謎③のように箸が切れて見えることも確認しました。
さて、ここで、物体と鏡像が線対称の位置にあることを記録した図と、ガラス越しに箸を見た時に箸の位置がずれた様子を記録した図を、じっくり眺めてみましょう。
すると、面白いことに気づきます。
物体から出た光が反射または屈折して目に届いた時、見える虚像の位置は必ず、(反射/屈折した後の)光の通り道の延長線上にあるのです。あたかも、虚像から光が出て直進してきたかのようです。
なぜこんなことが起こるかというと、それは、「見る」という行為が目だけで行われているのではなく、脳が認識することによって初めて「見える」からです。
脳は、目を通じて「光がやって来た」という情報を受け取りますが、その光が反射や屈折して届いたことまでは認識できません。普段見ている物のほとんどは直進して届くために、そうした例外を認識できないのです。
……これでやっと、3つの謎が解けました
無いはずの所に物体があるように見えてしまうのは、脳が作り出した像だったんですね。
光の性質と脳の認識のコラボレーションが生み出す“マジック”を楽しんだ回でした