10月の5年生クラスの実験テーマは、「圧力」でした。
初めに“象が踏んでも壊れない筆箱”が登場
この筆箱を象が踏んでも壊れませんが、ハイヒールで踏むと壊れてしまいます。
それはナゼでしょう?
「う~ん、ハイヒールだと1点に力がかかるから?」
その通り。
それがどれほどの違いになるのか、実験で考えていきましょう。
キーワードは力の分散です。
まず、人の体重を紙コップ何個で支えられるか?という実験をしました。
床に紙コップを並べてその上に板を置き、手で体重を支えながらそっと板に乗って、手を離します。これを、紙コップの数を減らしながら繰り返していくと……
3個までは乗れましたが、2個ではパコっとつぶれてしまいました
紙コップを減らしていくと、紙コップ1個あたりにかかる重さが段々大きくなります。 つまり、紙コップの数が多いほど、力が分散することがわかります。
今度は、数ではなく面積で力を分散してみましょう。
スポンジの上にペットボトルなどのフタをさかさまに置いて指で押し、スポンジをへこませてみます。フタが小さいと簡単にへこみますが、大きくなるにつれて同じ力で押してもへこみ方が少なくなります。
これは、フタの面積が大きいほど力が分散するからです。
力を面積で割った単位面積当たりの力が「圧力」。
この圧力の大きさの違いがスポンジのへこみ方の違いだったのです。
指先の感覚でわかったことを、今度は測定して数字で確認してみます。
ここで使うのは、重いレンガ。
レンガは直方体なので、どの向きに置くかで3通りの底面積があります。スポンジの上にそれぞれの向きに置いた時、スポンジが何mm沈むかを測定して比べてみると……
計算で出した圧力の比とピッタリ同じでした
ここで冒頭の問いに戻って、筆箱を象が踏んだ場合とハイヒールで踏んだ場合の、それぞれの圧力を計算してみました。
すると、ハイヒールの圧力は、なんと象の4倍近くになることがわかりました。
「圧力」の概念がわかったところで、これまでにやった実験を圧力という視点で振り返ってみましょう。
3年生でやった『空気の力』や5年生の夏イベントの『風のしくみ』には、「気圧」が深く関わっています。気圧は、(空の上まである)空気の重さによって生じる力です。
また、先月やった『浮力』にも関係していて、浮力を生み出しているのは「水圧」です。
ペットボトルに3つの穴を開けてそこから水を飛び出させる実験をしてみると、水面からの深さが深いほど水圧が高いことがわかりました
つまり、水の中にある物体の上側と下側とでは下側の方が水圧が高いために、物体を上に押す力が生まれます。これが浮力の正体というわけです。
今回は、身のまわりのいろいろな現象を、圧力という見方で読み解いた実験でした。