最高の料理 | 「自然体で自分らしい」心も体も楽になる家族の食と暮らしのヒントをお届け

「自然体で自分らしい」心も体も楽になる家族の食と暮らしのヒントをお届け

「キッチンから未来を変える」
自然派ずぼら料理教室/ホリスティックライフコーチマーシャン祥子です。
自然体で自分らしい 心も体も楽になる家族のライフスタイルを提案します
食も暮らしも「みんな違ってみんないい」新しい時代の生き方を見つけよう!

1年半越しの予約でやっと叶ったTETSUYAでのディナー。妊娠してたので1年先送りにしたのもあるけど、ほんとに、6ヶ月前とかじゃないと予約が取れないすごいレストラン。

11皿のコース料理しかないので、朝から粗食で過ごしてお腹を空かせていった。

先に着いて待ってたら、師匠が大きな花束を抱えてやってきた。

そしてミモザと玉の光で乾杯。どんな料理ショーが始まるんだろう・・・どきどき。

コースは栗のスープで始まった。柔らかくそしてほっこり甘い栗のスープで、食欲を掻き立てる。

そしてヒラマサのお刺身。よく脂の乗った、とろけるようなその一切れ・・・。次々とコースは運ばれてくる。



SOULがママになっても・・・  このトラウトのコンフィはうなるうまさ。

SOULがママになっても・・・  魚の火の通り具合もパーフェクト。




んだけど。

確かに美味しいんだけど。

期待が高すぎたせいか、

500ドルでこの程度かぁ。


と正直思ってしまった。

1年半待ったら、500ドルも払ったら。

どんな衝撃的な経験ができるんだろう!?

って期待してしまうじゃない?


もちろん、美味しくて、サービスも良かったけど。

一番感じたのは

ひとつひとつのお皿に盛られているそのアートから、



みたいのってやっぱり伝わってこなくて。

もともと厨房で働いていたせいか、

1日をそのお皿だけに費やしている職人たちの姿を思い浮かべてしまって。

(こういうレストランってひとり一皿担当でずっと同じことしかしない)

食べる人が誰であるかとか、どんな気持ちでそこにいるのかとか考える余地もなく、

ただひたすらパーフェクションを追求するために魂をささげている感じが伝わってきた。


私はTETSUYAさん自身を尊敬しているけど、そのご本人はシンガポールへ~ってわけで昨日はお会いすることもできず。

その素晴らしい料理の数々を口に運びながら思い出したのは、なぜか2日前に食べたキャベツのサラダだった。


友達のサプライズパーティーに別の友達が持ってきてくれたもの。

チーズフォンデュだったのでサラダを持ち寄りだったんだけど。彼女が持ってきたのは山盛りの千切りのキャベツとドレッシングと、そしてローストしたごまと松の実。

料理上手の彼女が持ってきたのがキャベツ、と正直そのシンプルさにびっくりしたんだけど。

食べるタイミングを見計らってやさしく手でドレッシングを和える姿に。

きれいにローストされたナッツを最後に魔法をかけるみたいに丁寧にトッピングする姿に。

そして口に運んでみたらずしーんと心のそこまで響くようなその美味しさに。

私は料理人としての感覚をひっくり返されたような気がした。


たかがキャベツ、されどキャベツ。

普段からの誕生日の彼女への思いがいーっぱい詰まってて。きるだけ、ローストするだけ、混ぜるだけのその行為も全部愛であふれてて。ドレッシングも秘密の味がして。もうすぐ母国へ帰ってしまう彼女の寂しさと感謝の気持ちとそして新しいチャレンジへの勇気を語ってるような甘酸っぱさだった。

料理ってこれだよねー、って気づかされた出来事。


500ドルの世界に名の知れた料理とキャベツのサラダ。

名誉でもお金でも最先端のテクニックでも最上級の食材でも届くことのできない心に響く料理とは、ありふれた食材と愛という名のスパイスで生み出される。

すごく大切なことを改めて体感できた素敵な誕生日だった。