7第2話ピーター・フェルディナンド・ドラッカー
ファウンデーションの夢 
第二部 ガイア
第2話 

ピーター・フェルディナンド・ドラッカーPeter Ferdinand Drucker

 セルダンの裁判が始まる前の年、つまり銀河暦12066年、ダニール・オリヴォーは、ガール・ドーニックをシンナックスから招き寄せるため、かつハリ・セルダンの「心理歴史学」と2つのファウンデーションを補強するため、人類の最古の故郷星「地球」への探索の旅に出る。
 わたしYi Yinのサイエンス・フィクションはアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズをほぼ下敷きとして哲学者ノース・ホワイトヘッドの「移動と新しさ」の哲学に貫かれている。

あらすじ 

 漸くダニールは、天の川銀河の半球過ぎに、それらしき海洋惑星を見つけた。
 ダニールは、以前にしたようにヒューミンと名前を変えてシンナックス大学に何食わぬ顔で入り込み、ガール・ドーニックを待ち構えていた。
 ガールは、どうしたわけか、彼が見いだしたことがらをとめどもなくヒューミンに話しはじめた。ダニールは、ガール・ドーニックの非凡な閃きを強く受けとめて、ロボットでありながら絶句する。
 ダニールのこの探索からファウンデーションの新たな叙事詩がはじまろうとしていた。ハリ・セルダンの故郷を目指したのは、ロボットにない人間の潜在能力に彼の第零法則を挑戦させたかったためであった。そこから何かが生まれそうな予感を抱いて!
 銀河の復興には歴史消滅から回復が必要であり、地球についての記憶を甦らすことが必定であり、その根幹には放射能の除染がその是非の鍵になっていた。
 ダニールの前途には避けられない大課題がよこたわっていて、明るい未来を塞いでいた。


「最初の沿岸の民、インマレイド系とその後の内陸ハンターであるモンゴロイド系の2種が特色」( Akira Nara fb.2019.4.9)

  廃墟になったカッシ市の上空でダニールの船は、いよいよ地球を離れようとしていた。
 超高度に仕上げられたレオナルドはすでに十分、会話の相手になっている。

ダニール 「レオナルド、ヘリコン人の地球時代の遺産は何かな?」

レオナルド 22世紀にいたジョン・ナックの『歴史思想書』に、「私の独断かもしれないが、20世紀ほど画期的な時代はなかった。それはその後の宇宙開発の時代を切り開いた偉大な3人を生んだからだ。そのなかでもドラッカーが優れていると言いたい。なぜなら、彼はニフ人の中に他の民族にはない光明を見いていた。かの民族は多くの脆弱さにもまして一つの秀でた能力を有していた。」
 そしてナックは、一つの神話を紹介しています。「神は偉大な頂きのふもとの、清らかな川の辺りに、ニフ人とヘリコン人の先祖を呼び寄せて、二つの苗木のどちらかを選ばせた。彼らはそれまでは同じ民であった。知恵の実のなる苗木を選んだグループは西に行き、命の実の苗木を選んだのが、東に移り住んだ。」ナックは巧妙に奈良氏の文章を引用して...

 私にも貴方にお訊きしたいことがあります。よろしいでしょうか?

Photo はドラッカーが在籍していたカリフォルニア、クレアモント大学。