ダグラス・ハーディングが開発した実験による自己覚醒の方法
「自己覚醒」とかいうとなんだか怪しいですけど、わたしが説明するなら「自己認識・現実認識が変わる方法」です。神秘的・宗教的な概念は合わないんだよねというひとも、この本を読めば宗教実践などで得られるようなことが、神秘的・宗教的概念を使わずに理解したり実感できるようになるかもしれないです。
ダグラス・ハーディングが考えた方法はすごいです。ダグラス・ハーディングの実験はYouTubeにもあります(「ダグラス・ハーディング 実験」で検索すると出てきます)。動画を観ただけでピンとくるひともいると思います。なんのことかさっぱりわからない、というひとはこの本を読むといいと思います。とてもわかりやすく実験のことが書かれていますし、いま kindle unlimited 対象ですし。
それでもさっぱりわからないひとは『錯覚する脳』を読むといいと思いますけど、べつにそこまでしなくても、瞑想とかでも同じことが実感できるので、こういうことに興味があるひとは自分に合った方法を選べばいいと思います。
ダグラス・ハーディングの実験は簡単。自分を指さすだけ。さて、指の先になにがありますか? 指はなにをさしていますか?
自分を指さしているんだから自分でしょう、というひとは、本当にそのままを見てみてほしいです。指さされている自分とはなにかを。
このアプローチの仕方はラマナ・マハルシの「わたしは誰か?」に似ています(ちなみにラマナの本もKindle unlimited 対象)。
多くのひとが自分だと思っている自分は自分じゃないです、多分。自分じゃないものを自分だと思い込んだりするからややこしくなっちゃうんです、多分。ダグラス・ハーディングの実験はその思い違いに気づく簡単な方法です。というか、別の見方ができるようになる、ひとつの方法です。
ダグラス・ハーディングは「本を読んでこれを体験するのはとても難しい」みたいなことをいっているんですけど、たしかに体感を得るのは難しいかもしれないけど、知的に理解したり納得することはできるんじゃないかと思います。
なぜならこれは何かを新しく手に入れることじゃなくて、どちらかというと元に戻るとか思い出すというのに近いと思うから。
『人々はしばしば、子供の頃は、これを知っていたが、でも忘れてしまい、どうやったらこの原初の完全さに再び触れられるのか、わからなかったと感じている。』
と、リチャード・ラングがいうように、子どものころにこの感覚があった、またはこの感覚になったことがある記憶を持っているひとは多いのかもしれないです。
この本が伝えようとしていることはとても素晴らしいです。ただ残念なのは訳が直訳すぎるのか、ところどころ理解しにくい文章になってしまっていること。
『あなたが一体化する様々なものの底にあり、それらを含んでいるのは、何も占有していない、永遠の純粋な意識です。それは物ではありませんが、でもそれは絶対的に現実であり、常に存在しています。それがあなたの本当の姿です。』
適当に例をあげてみると……
「あなたが悲しみと一体化した場合、悲しみます。悲しみ(悲しみを感じる自分)に気づいている意識もあります。その意識は何も占有していない(悲しみに気づいている意識は悲しみを感じていない)純粋な意識です。それは常に存在しています。それがあなたの本当の姿です。」
ただ見守っているだけの意識。いろいろなものが現れるその土台。「自分はない」と「自分はすべて」という意識。「全否定」と「全肯定」が同時に重なっているというか……。
後半に実験体験者の体験談やエッセイがあるけれど読まなくてもいいと思います。もちろん読んだっていいけど。その後の「イラスト」の章は見たほうがよさそうです。
こういうことはスピリチュアルっぽくて怪しいと思われるかもしれないけれど、これはなにかを信じるとか、当然、願望がどんどん叶う方法なんかでもなくて、自分や現実を別の角度、というか別の立ち位置から見ることができるようになるひとつの方法です。