⏬琴平にて

◽️◽️◽️長文注意◽️◽️◽️


第一部

⚪️『伊賀越道中双六   沼津』


前半の笑い多めほっこりからの
後半の悲劇展開の落差よ…。

沼津へと向かう街道沿いの茶店にて。
旅人夫婦の微笑ましいやりとりで
すでに客席できあがった(笑)

呉服屋十兵衛・幸四郎と、
荷持安兵衛・染五郎が花道から登場。
客席がわぁっと華やぐ♡
この客席の「わぁっ」という一体感!
芝居小屋ならではのこのざわざわした感じ。
まさに体感している感すごい!
大向うの迫力もすごい!

用事を思い出して安兵衛に
使い走りを頼む十兵衛。
少しおっとりの十兵衛と、
ちゃっちゃと動く安兵衛とのやりとりが、
なんだか幸四郎と染五郎の日常を
垣間見ているような気になり、面白くて。

そこへ荷物を運ばせてほしいと、
雲助平作・鴈治郎が登場。
貧しさへの憐れみから荷物を預けたものの、
齢70越えの平作の足がとにかく覚束ない。
鴈治郎のプルプルが、おもしろかわいい
近道があるから…と、
そのまま仮花道へ歩いていく二人。

「…!!」

仮花道近くの自分に緊張が走る。

「来るんか…幸四郎!来るのんか…幸四郎!」

喜ぶお客さんの中で、こんなに緊張してるの
自分一人かなと思うくらい緊迫する自分。
…祈りもむなしく、自分のところに来る前に
曲がってしまわれたが。
それでも近くで見た幸四郎は…デカかった。
縦にも横にも、なんだかデカかった!
存在感ってやつですか!
道中の装束なのに、あの迫力パネェ!
あと平作・鴈治郎の眼光の鋭さ!かっけぇ!

もちろん大盛り上がりの客席!
平均台より少し幅が広いかなくらいの
板の上を歩いていくので、
こんな狭い道で大丈夫か?みたいな
二人のやりとりに大笑い!
渡りきる前に客席に落ちる十兵衛。
不思議なことに「押されたw」
言うてましたよ(笑)
なんとか渡りきって花道へと出た二人。

案の定。平作が木の根っこで足をひっかけ、
生爪をはがす大怪我をしてしまう。
持参していた、印籠に入った秘薬を
塗ってやる十兵衛。
とたんに痛みも消え、びっくりの平作。

見かねた十兵衛、「ずっと思ってたけど、
頼むから荷物を自分に持たせてくれ」と(笑)
そんなことはさせられないと慌てる平作に、
「駄賃はやる。荷物は自分が持つ」と十兵衛。
合点がゆかぬ(笑)平作を先に歩かせ、
荷物をかついでいく十兵衛。

優しい(笑)!優しいよ、十兵衛~。
ここのやりとり大好き♡癒し♡
平作も貧しいけれど、真面目な好々爺。

善人しか出てこない、このお芝居。

母の墓参り帰りの、
平作の娘お米・壱太郎が通りかかり、
父を助けたお礼に家で一休みするよう誘う。
着ているものは粗末だけれど、
元傾城のその色香漂うお米、美し♡
十兵衛もちろん一目惚れしちゃう♡

十兵衛の持つ秘薬のおかげで
足の怪我が治った話を平作から聞くと、
せっかくだから家に泊まっていってという
お米の提案に二つ返事でかえす十兵衛。
親娘から貧しいながらも
暖かいもてなしを受ける十兵衛のもとに、
仕事の早い安兵衛が戻ってくる(笑)
この時の十兵衛の嫌そうな顔よ(笑)
バレバレの腹痛(笑)で安兵衛を追い払う、
このシーンも客席大笑い!

しかし残念!お米ちゃんは人妻。
十兵衛テンションだだ下がり⬇️。
立ち去ろうとする十兵衛を
なんとか引き留め、三人川の字で眠るも、
真ん中は当然のように平作(笑)
十兵衛テンションだだ下が…(以下略)。

そして、ここからは悲劇しかない。

十兵衛が眠りについたのを確かめると、
印籠を盗み出したお米。
愛する夫が苦しむ手傷を
印籠の秘薬で治してあげたい一心で。
その気持ちがわかるから、十兵衛の手前、
平作はお米をたたくふりをして
自分の顔に張り手を食らわせたりして。
(※配信を観たら、お米をたたいて、
親である自分もたたくという表現でした)
でも十兵衛は良い人だから、
お米にキチンと盗んだ理由を問いただす。

お米の過去と夫の正体を知る十兵衛。
何気に平作に他に子はいないのかと問うと。
養子に出されたお米の兄の話を聞き、
それが自分のことだと知る。
ダブルのショックを受けた十兵衛…。
石塔料の名目で金子を置いて去る十兵衛。
十兵衛が残していった印籠を見て、
夫の仇の家紋だと知るお米。
一緒に包まれていた守り袋と
書き付けを読んで、
十兵衛が我が息子知った平作。
夫の仇がどこにいるのか知りたいお米が
十兵衛の後を追いかけようとするが、
自分が聞き出すと言って駆け出す平作!
やっぱり、親父さん!かっけぇよ!
夫の家臣池添孫八・亀鶴も急にあらわれて、
お米と一緒に後を追う。

十兵衛に追い付いた平作。
金子を返す代わりに、
仇の居場所を教えてくれと頼み込む。
平作の懇願する様にぎゅっと胸が詰まる…。
実の父の願いをきいてやりたいが、
その人物に義理もある十兵衛の苦悩…。
十兵衛の優しさを知っているので、
その葛藤いかばかりかと思うとツライ…。
印籠を拾ったことにして
お米の夫に養生させてやれと言う十兵衛。
その時!十兵衛の脇差しを抜き取り、
我が腹に突き立てる平作…!
あまりの痛さにもだえ苦しみ、
髷がほどけてざんばら髪に。
自分の命と引き換えに、
仇の居場所を問う父に。十兵衛は…。
思わず飛び出すお米!引き留める孫八。

…決心した十兵衛は、
隠れるお米にも聞こえるように
仇の居場所を教えてやる…。
安心する平作。
やっとお互いが親子であることを
名乗りあい、抱き合う父子…。
…哀しげに流れる胡弓の音色が涙腺を刺激。
十兵衛とお米が、息子と娘が、見守るなか。
平作は、二人の父は、
静かに息を引き取ったのだった…。

あぁ、平作……。分かっていても、泣けた。
前半に笑いまくったのが懐かしいくらい、
しんみりしてしまった…。

でも、なんて贅沢かな。
憧れの芝居小屋で
れの役者のお芝居を生で観られて、
余韻に浸る、この時間。
こんなにたくさんのお客さんと
この時間を"共有"できる嬉しさも。

幸四郎の十兵衛、鴈治郎の平作、
壱太郎のお米。
金丸座で観られて…最高!!



⚪️『羽衣』


まさに"羽衣伝説"を
舞踊で見せていただいた感。
天女と人間の男の幻想的な物語。

安兵衛の後だからか、
さらに美しくシュッとして見えた
漁師の拍竜・染五郎。眼福!

松の枝にかかっている羽衣を手に取る拍竜。

天女・雀右衛門が登場すると、
客席の雰囲気も一気に華やぎ気分!

羽衣を返してほしいと切々と口説きの舞。

拍竜が羽衣を返すかわりに、

礼として天界の舞いを見せる天女。


羽衣伝説は自分の中で少しばかり
エロティックなイメージがあり…。
直接的なことというわけでなく、
羽衣を返してほしいと天女に
懇願させちゃうとか。
羽衣を盗るのは人間の男で、
返してもらうのは当然なのに
わざわざ天女が礼をするとか。
なんなら返さないまま結婚するとか。

そして、今回の人間の男は染五郎である。
…今こそ働け、自分のイマジネーション!!
…せいっ!!    あ。 ……失礼いたしました。

我がイマジネーションがどっかいくほど、
舞台上は華やかで優美な世界♡
いよいよ、
金丸座独自のしかけ「かけすじ」を使った
雀右衛門の宙乗り!

本当に天女が天界へと舞い上がっていった!

そして、人力での宙乗りって凄い!


逆に拍竜は天女をうっとり見上げつつ、

(雀右衛門を見送る染五郎を観ていたら、

2月の博多座を思い出したよ…)

舞台の下、奈落へと下りていき…。


どちらにも感嘆の声が上がり、

客席やんややんやの

大盛り上がりでございました!!


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いや~、大満足!大興奮の第一部!
本当は第一部・第二部を
この日と翌日に分けて見物したかったけど、
スケジュール的に無理で、一日通しで。

さらにさらに大興奮の第二部へ続く!⏬