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三年前のちょうど今ごろ
空気が抜けた風船のように
この庭を ふらふら歩いたっけ
スイセンが咲いても
ヒヤシンスが咲いても
かすんで 何も見えなかった

あんなに待ち焦がれた春なのに
ちっとも うれしくなくて
脳みそが水になってしまったかと思うほど 涙があふれた

それまでは ガーデニングが大好きで
いろんな花を育てて喜んでいたけど
それにも罪悪感を感じて 自分を責めた

悩み抜いた結論は メンテナンスは最低限にしよう
そして 二万本の花を咲かせよう
そのひとつ一つを見るたびに 亡き人たちを偲ぼうと

わが家には 真っ白な花を咲かせるムクゲがある
枝透かしの剪定をしようと思っていたけれど
枝を伐らずに そのままにすることにした
今年は三百の花を咲かせるために