「そのまっくらな 巨(おお)きなものを」 宮沢 賢治
春と修羅 第四集より
そのまっくらな 巨(おお)きなものを
おれは どうにも 動かせない
結局 おれでは だめなのかなあ

みんなは もう飯もすんだのか
改めてまた どらをうったり
手を叩いたり
林いっぱい たいへん
にぎやかになった
向こうは さっき
みんなといっしょに 入った鳥居
しだれのやなぎや 桜や水
鳥居は明るい
ま夏の野原に ひらいている
ああ松を出て 社殿をのぼり
絵馬や格子に囲まれた
うすくらがりの 板の上に
からだを投げて おれは泣きたい
けれども おれはそれをしてはならない
無畏 無畏
断じて進め
昨日から また何かが変わろうとする気配が…
微力な存在では それが良い方向であることを願うしかありません。
ふと思い出したのが この詩です。
人によって、立ち向かわざるを得ない「まっくらな巨きなもの」は違うと思いますが、
時には無力感に打ちのめされそうになる心境には 共感出来ることでしょう。
しかし、それぞれが 立ち向かうしかありませんね。
「無畏 無畏 断じて進め」
〈写真は拝借したものです〉