先日、お知らせした 増坂勲「北三陸の海」作品展に行って来ましたよ。
会場のTVいわてロビーには 増坂勲さんの50年にも及ぶ制作活動の中から
40点の油彩画が展示されていましたが、作品の撮影とブログへの掲載の許可を
いただきましたので、その中から10点をご紹介します。 d(´ω`*)
作品「引き上げられた船体」の前で、来場者と談笑する増坂さん

宮古市出身の画家、増坂勲さん(81歳)は、
海で生まれ育ち、教職に就いた後も 三陸が醸し出す空気の中で生活し、
いわば海は、切っても切れない存在だったそうです。
「うみねこの城」

10年前に発行された 増坂さんの水彩画集「海」では、
「海は私たちを育み、夢を育ててくれた尊いふるさと」と述べておられました。
「浜の朝」

ところが、あの3・11で「恵の海」への不信と憤りを覚えることに。
町では翌日から 不眠不休の復旧作業が始まっても、
手を差し伸べる術がない自身の無力さが もどかしく、1ヶ月も葛藤が続いたそうです。
「争い」

5月になって「みんなが奮起している時に自分も心を新しくしないと」と決意。
悔しさや駆り立てられる感情を カンバスにたたきつけ、
持病を忘れ、異例の3ヶ月で80号の作品 2枚を 仕上げました。
交錯する心情で描き出した「祈り」

もう1枚の作品が、お知らせの記事で紹介した「舫い」です。
増坂さんの油彩画には 番小屋や漁具が目立ちますが、それにも理由があります。
「海のものたち」

「広い太平洋での激しい動きのある仕事を終え、
静かな浜辺で疲れを休ませていた。
人間の営みに通じるようなことが 網から感じた。」 増坂氏談
ひと仕事を終えた魚網に目を向けた200号の大作 「動と静」

海からの恩恵を享けながら つましく生きる海の人々と、
それを支える無生物であるはずの数々の漁具たち…
深遠な青に覚える慈悲深いまなざしが全ての原点になっています。
「テントのある浜小屋」

増坂さんは 「津波で海を嫌いになった人が多いと思うが、
海はやっぱりいいんだということを 内陸の人たちに知ってもらいたい」と 語ります。
「とば(鮭)と網」

「道のりは長いが、気負わずに 逆境に負けない気持ちを 持ち続けたい」。
「錨のある風景」

「三陸の海にまた来てほしい」 この願いで今も、海での制作を続けておられます。