レインメーカーと新日本プロレスを問う | 珈琲にハチミツ

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結局オカダカズチカは本当に強かったのか?この疑問が解決しないまま、オカダは海外へ去ってしまう。

 

初めてオカダを知ったのは2009年だった。6月の大阪大会、当時の新日本プロレスはビッグマッチの中心にノアとの対抗戦を据えることが多く、この日は潮崎豪と杉浦貴が参戦。潮崎の相手がヤングライオン時代の「岡田かずちか」であった。試合自体は終始横綱相撲の潮崎に全く歯がたたない若獅子。といった印象で今では信じられない結果に終わっている。数年後岡田は「オカダカズチカ」に改名。2012年1.4で2度目の海外凱旋を果たし、棚橋弘至に挑戦表明したことで大ブーイングを浴びていた。その後のバックステージでのインタビュー、マネージャー兼アジテーターとして吠えまくる外道の隣でオカダの目は虚空を彷徨っていた。まだ肝がすわっていなかったのだろう。だがこの男が、まもなく棚橋から大金星をあげ、G1まで制覇しようとは誰がこの時点で予想できただろうか。

 

オカダの飛躍と伴奏するように、新日本プロレスはかつての暗黒期から完全に脱却した。それを証明してみせたのが2013年の1.4。明らかにドームの客席数、熱度が暗黒期のそれと違っていた。いよいよ本格的にメジャー新日本の復活か?と思われた時、厄介な相手がオカダの前に立ち塞がった。全日本プロレスの諏訪魔である。

 

ちょうど今、YouTubeに上がっているのでぜひみてほしい。

 

 

かろうじて試合は成立しているが、オカダと中邑は完全に諏訪魔を持て余している。というか押されまくっている。フィジカルで圧倒しにくる諏訪魔に対してオカダがとった戦術は、技術でなく態度に依存するものだった。なんとか格の差を表現することで自らの優位性を示す。この対応が正解だったのかどうかは判断できないが、当日現地観戦した人の印象をぜひ聞いてみたい。そして試合後、不思議な場面が訪れる。オカダのレインメーカーポーズを阻止せんとする諏訪魔。中邑はしゃらくさいとばかりに諏訪魔につっかかりオカダをサポートする。このやりとりが何度も繰り返されるが…ちょっと待ってほしい。どこかでみた光景ではないか……かつて暗黒期の真っ只中、2004年11月の大阪ドームだ。テコ入れ参戦の小川直也にハッスルポーズをさせてなるものかと、リングの外にまで執拗に小川を追いかけた新日本勢。レインメーカーとハッスルポーズは全く別物ではあるけども、パフォーマンスにこだわるその様子は新日本らしさと言えるのだろうか。

 

その後、諏訪魔は各方面から酷評された。大人気ない。みっともないとマスコミはおろかファンぐるみでこき下ろされた諏訪魔と、潰されれることなく格の差を見せつけたあたりはやはり本物だと一気に評価を上げたオカダ… この試合を通じて、暗黒期を経ていつの間にか変容していた新日本や見る側の思考性を改めて考えるのも悪くないかもしれない。中邑は諏訪魔を「期待外れのゴリライモだぜ!」と糾弾したが、これはシニカルな批判でも何でもなく、ただの遠吠えにも聞こえる。


確かにオカダの心は強かった。一方、相手をねじ伏せるといったフィジカル面や技術面で諏訪魔を凌駕することは出来なかった。というのが自分の結論だが、どうなんだろうか。