逆転の一夜 | 珈琲にハチミツ

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PRIDEグランプリ2004開幕戦。初戦の相手はステファン・ブリッツ・レコに決まった。何の因果かレコは大晦日のイノキボンバイエにて小川の弟分であった村上和成を1ラウンドKOで葬っており、またVT戦の実力は未知数ながらも関係者の間ではミルコ級のポテンシャルを秘めているのでは?と噂され、下馬評では小川不利の声も聞く。かたやプロレス側では久しぶりにPRIDEへ出撃する小川を俄然応援すべく全面バックアップの体勢をとって…とはならなかった。

どういう訳か(紙のプロレスは別として)ゴング、週プロはPRIDEグランプリに対して静観を続けていた。その理由は週刊アサヒ芸能がすっぱ抜いたハッスル2の激震スクープにあった。内容は八百長プロレスの台本公開…このお粗末な事態の影響を恐れたプロレスマスコミはこぞってハッスルをトカゲの尻尾切りとばかりに切り捨てた。むしろ中村カントクいわくハッスル、ゼロワンとは関わるなとした冷たい風潮であったという。

こうなってくると、ハッスル普及を命題とする小川は孤独な立場でひっそりと4月25日の開幕戦に臨まなければならなくなってしまった。

勝負に絶対はない。暴走王と欧州の稲妻の対決はどのような結末を迎えるのか?若干の不安を残しながらテレビ中継に齧り付くが…
一蹴‼︎

1ラウンド1分34秒肩固め。終わってみれば完封、小川は誰も予想だにしなかった完全試合をやってのけた。
会場はスタンディングオベーション状態。重圧をはねのけた後の解放感がそうさせたのか、小川はホッとしたような表情でマイクを手にすると開口一番「喋っても…いいですか⁉︎」

会場からはやんやの大声援が飛び交う。小川がここまで歓声をうけたのはいつ以来だろうか。喜びを隠しきれない小川は会場のファンに丁寧にお礼を述べると本来の目的であるであるハッスル普及活動を開始する。
PRIDEのファンには大変申し訳ないですけど、あくまでも、ハッスルを広めるためにですね、コツコツやってまいります。」
なんともいえない高田総統…じゃなく統括部長のこの微笑。小川マイクはまだ続く。

「みなさん、PRIDEも確かにいいと思いますけど、ハッスル3がですね、5月8日、土曜日です。横浜アリーナでやりますんで、ぜひ、そちらの方もお越しいただけたら幸いかなと思っております。また試合終了後にメインゲートでチケットの方も発売してますんで、ぜひお帰りの際には買ってください。よろしくお願いします!」

「あまりしゃべると嫌われますんで、最後にひとつ、やりたいことがあるんで……やってもいいですかね?わかりますよね。みなさん、ご起立お願いします!恥ずかしがらずにみんな立ってくださいね。やりかたを一応説明します。3、2、1、ハッスルハッスル。」試合はまだまだ続くけど、皆さん気合い入れていきましょう!それでは、いくぞーッ!3、2、1、ハッスル!ハッスル‼︎」
充実した表情で花道を引き揚げる小川。しかしながら天晴れ。さいたまスーパーアリーナの大観衆、そしてテレビを通してお茶の間にハッスル3をこれ以上ないくらい鮮やかにPRしてみせたのだ。
凱旋将軍となった小川はその勢いのまま翌日のゼロワン愛媛大会へ、窮地に陥っていた橋本を救出!
橋本「小川が昨日のPRIDEでプロレスを守ってくれたぞぉ!」

盟友の勝利に喜びを隠せない橋本。マイクで小川を讃えると、リング上で固い握手を交わして次回ハッスル3の勝利を誓う。
この時点では誰も予測できなかった事だが、次のハッスル3が最後のOH砲の舞台となる…


続く