狼は走れ豚は転がれ | 珈琲にハチミツ

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2001年1月4日東京ドームに、橋本真也緊急参戦決定!

相手は怨敵、長州力。

急転直下とはまさにこの事か。その背景として、全日本プロレスとの対抗戦に難色を示していたオーナー猪木の意向…ドーム大会の前売りが伸び悩んでいる報を受けてのテコ入れのため、橋本投入を起爆剤とする狙いがあった。らしい。

だがここまで縺れに縺れた両者の関係を考えれば、名勝負はおろか、まともな試合になるかすらも危ぶまれる危険なマッチメイクに思われた。さらに7月の大仁田戦でみられた長州のコンディション不良も気になる。となると、どちらかが一方を叩き潰すような、凄惨な試合なるだろうと予想された。


ドームの4日前の大晦日、猪木祭に出場した橋本は、小川直也対安田忠夫の試合後に乱入。およそ8ヶ月ぶりに、リング上で宿敵との再会を果たす。両者のストーリーに続きはあるのかー


そして迎えた1月4日。ドームに再び爆勝宣言が鳴り響いた時、アリーナ席には無数の幟が立ち並び、破壊王を出迎える!
戦前の不安は杞憂に思えた。

橋本、長州の両者はもの凄い緊張感をもってリング上で対峙した。殺伐とした雰囲気がドームを支配する。

橋本はロックアップを拒絶し袈裟切りチョップ、ひざ蹴り、ミドル、ストンピングの雨あられ。ダウンした長州へオープフィンガーグローブを着用してのパンチ、さらには脇腹へ肘を落とす。

立ち上がろうとするものならば重爆キックが放たれ、長州はまともに立つことすら許されず防戦一方。感情が先走ったか?暴走する橋本は仲裁に入った田山レフリーにまでチョップをお見舞い、不測の事態に備えていたタイガー服部が直ぐさまリングへ。この間に長州が蘇生、ベアナックルで反撃しトーキック、カカトからのストンピング。
「クソ、タワケ‼︎」

ここへきて長州に試合勘が戻ってきたのか。橋本の巨体を持ち上げバックドロップ、そしてとうとう火を吹いたリキラリアット!橋本も負けじとDDT、重爆キックで応戦する。
「オアァァー!」
「チョォーシュウゥゥ‼︎」

叫びながら強烈な打撃を打ち込む橋本。ここからは消耗戦の様相を呈する。ラリアットとキックが交錯し、両者とも溜まりに溜まった感情を吐き出すような鬼気迫る展開が繰り広げられる。しかし、徐々に橋本の動きが鈍くなっていく。蹴り足が上がらず、ラリアットも半身で受けている…どうやらコンデション不良なのは橋本の方であることが発覚。

さらに不幸は続く。突然実況席にいた藤波辰爾社長がエプロンへあがり、腕を交差し×マークをつくる。なんと社長裁定によるレフリーストップ‼︎

この不可解な事態に唖然の大観衆…そこへ藤波がマイクを持ち「我々は殺し合いをやっているんじゃない❗️○×△◽︎…分かって下さい❗️」


試合時間15分20秒、遺恨凄惨マッチが一転、茶番と化した。

暴動寸前となるドーム、引き上げる両者には罵声が浴びせられた。インタビューに答える長州はサバサバとした表情でこう語った。
「…またやれって言われても、何もかわりゃしないですよ。」
 一方で橋本はやるせない面持ち「…俺がやった事はなんだったんだ!?」

こうして、橋本の古巣参戦は相容れぬ者同士の-話題先行だけを狙った-マッチメイクの悪例を残すこととなった。もはや権力争いの巣窟と化した新日本プロレスに、橋本の居場所は存在しないのか。


同月の31日大阪府立体育会館、橋本は再びノアに参戦。タッグマッチながらもとうとう三沢光晴との直接対決の機会を得る。
三沢光晴、小川良成対橋本真也、アレクサンダー大塚

闘魂三銃士と四天王のトップがついに激突した!
試合はタイガードライバーで三沢がアレクからピンフォール勝ちを収めるも、当然橋本はおさまらない。
「三沢!次はシングルだな!待ってろよ三沢ァ‼︎」
「橋本!  次はあんのか?オマエこの野郎!」


橋本は止まることを知らない。今度こそ、三沢とのシングルの予感を胸に…走れ、破壊王!

そして、独立宣言以来水面下で進められていたZERO-ONE旗揚げの日も近い。橋本が想い描いていた野望、その全貌が今明らかに。


続く