再手術の前、寺岡先生から簡単な説明がありました。
「昨日の手術の際、止血をしっかりと行ったが、管から想定以上の出血がある。もしかすると既に止まっているかもしれないが、相当大きく切っている。なので念には念を入れてもう一度お腹を開けて点検する。大丈夫だ。安心しなさい。」
先生は私の目を見て話してくれました。最後の「安心しなさい」の言葉にどれだけ助けられたか分かりません。寺岡先生をはじめ、移植外科の白井先生、矢嶋先生も揃っています。また、淵野辺総合病院の大野先生も立ち会って下さいました。
そして再手術は始まったのです。
~手術記録から~
診断名:術後腹腔内出血
術式:開腹、洗浄、止血術
麻酔:全身+硬膜外 麻酔医:松尾先生
術者:寺岡、白井、矢嶋、大野
前回の正中創の上から約2/3で開腹。
開腹すると、腹腔内に多量の出血があった。
洗浄・吸引を施行。凝血塊が、小網の腹腔動脈周囲を取り除いたところを中心に存在。脾被膜を剥がしたところや副腎からの出血はなさそう。洗浄してタオルをつめて確認するも、明らかな出血源はない。左の管からの出血が多かったが、左横隔膜下の体の一番低い位置に管があったため、うまく排出されていた模様。腎摘出の部位には、出血の貯留があるものの凝血塊はない。
腹腔動脈周囲の若干にじみ出ている数か所を結紮止血した。また、腫瘍被膜を剥がした右側腹壁の出血も結紮、および縫合止血した。
右の管はそのまま、左の管は右横隔膜下に変更。
その後、閉腹した。
術中トラブルなし。
麻酔時間:2時間30分、手術時間:1時間13分、出血量2400g、尿量:230g
術中輸液:1570ml、ボルベン:使用せず、輸血:RCC4単位、FFP6単位
血小板:使用せず、5%アルブミン製剤:使用せず。
以上