33.手術開始 | 脂肪肉腫との戦い

脂肪肉腫との戦い

2015年8月14日に腹腔内の巨大脂肪肉腫の摘出手術を受けました。
その後、2016年9月、2017年11月、2019年9月、2020年9月、2021年6月、2021年10月、再発手術を受けました。
私にとってまさに戦いです。
これまでの経過を綴っています。

その後も手術に向けた準備が進んでいきます。毎日1~1.5リットルの輸液と輸血を繰り返し実施しました。腸管を切除する可能性があるので食事は3日前から取れません。腸管を空っぽにする必要があるからです。そのため下剤も飲みます。3日間飲み続けすっかり空っぽになりました。
点滴と輸血で徐々に手術に耐えうる身体になってきました。夜は睡眠導入剤を毎日飲んでいました。普段寝つきの良い人でも病院ではなかなか寝付けないものです。周りの方も普通に飲んでいました。
こうして1日1日と時は流れます。今思い返しても、恐怖はほとんどなく意外にも落ち着いた精神状態だったと思います。これまでの絶望の日々を思えばむしろ早く通過してしまいたいという感じでした。
そして、平成27年8月14日、日本が大東亜戦争においてポツダム宣言受諾を再確認し、無条件降伏を決定して70年後のこの日、私の腹腔内巨大脂肪肉腫の摘出手術が国際医療福祉大学熱海病院にて行なわれます。
午前9時、手術室入室予定のため、8時前から妻と長男、次男が熱海まで来て手術前の準備を手伝ってくれました。みなこの日を期待と不安を抱きながら迎えたのです。手術着に着替えて時が過ぎていくのを待ちます。
私自身に迷いはありませんでした。腫瘍が発見されてからここまで約6か月、実に様々なことがありました。そんなことを考えているうちに、8時45分になり、家族とともに1階の手術室に向かいます。
手術室に入る前に名前と手術の内容を聞かれ、それに答えます。そして、いざ入室。手術室は、比較的コンパクトな印象を受けました。すごく明るい。手術担当の看護師さんやスタッフの方々が挨拶してくれます。手術台に横になり、4月の開腹生検の時と同じように背中に硬膜外麻酔を施し、右腕の点滴から麻酔薬を注入します。あっという間に意識が遠のいていきました。
家族は、待合室でひたすら待つだけです。もしものことがあれば、手術室から呼ばれるため居場所は限定されます。後で聞いた話ですが、手術を待っている間、みんなで何度も読み込んだブラックジャックの文庫本を持ってきてひたすら読んでいたそうです。ブラックジャックは自宅に全巻揃えてあり、私も会社に行けず図書館で過ごしている時、読み込んでいました。いくつもの病院に断られながらも、日本のどこかにブラックジャックがいることを信じ、そして天に祈りながら・・・

グロテスクですが、手術台に乗った私です。左が頭です。中央にある傷は開腹生検の跡。上の写真が真上から撮影したもの。
下の写真は横から撮影したもの。