20.同級生からの電話 | 脂肪肉腫との戦い

脂肪肉腫との戦い

2015年8月14日に腹腔内の巨大脂肪肉腫の摘出手術を受けました。
その後、2016年9月、2017年11月、2019年9月、2020年9月、2021年6月、2021年10月、再発手術を受けました。
私にとってまさに戦いです。
これまでの経過を綴っています。

平成27年5月22日、高校の同級生で整形外科医のH君から携帯に電話がありました。彼に現在の症状などを伝えるとひどく心配してくれました。脂肪肉腫に関することなどを詳しく説明してくれ、この病気は稀少がんなので他の一般的ながんと比べて情報量が少ないが、決して悲観的になってはいけないと念を押されました。この病気のことを知り尽くしているだけに、この言葉は響きました。
また、話をしていると県立がんセンターの私の主治医がH君の研修生時代の恩師であることも分かりました。世間は狭いものです。
1時間近く電話をし、今度一度会おうということになり電話を切りました。
心強い味方です。決して諦めずに行こうと改めて心に誓いました。

この頃の体の状態は、徐々に悪化して行きます。腫瘍に栄養を取られていくせいなのか、低たんぱくの状態は進行しています。栄養失調です。その影響で足に浮腫みがでてきました。お腹は生検手術後も徐々に膨れていきます。お腹の張りに伴う痛みのため鎮痛剤も欠かせません。初めは、ロキソンニンを食後に飲んでいましたが、それでは我慢ができないこともあり、オキノームというさらに強い鎮痛剤を処方してもらっていました。オキノームは、麻薬系の鎮痛剤で即効性があり、服用すると15分もすると利いてきます。各種がんの疼痛のための薬です。副作用はいろいろと説明書には書いてありますが、私の場合はそれほどきついものはなかったようで、便秘止めと気持ちが悪くなるのを抑制する薬を併用するくらいで大丈夫でした。
お腹は既に妊婦さんのようになり、ゆっくりとした動きしかできません。妊婦用のコルセットのようなものを着用していないと、安定しません。
その上、貧血も進行しており顔や手は死人のように真っ白になってきました。日課としている犬の散歩もゆっくりと20分くらいが限界です。また、犬のした糞を拾うこと、これがなにより大変なのです。お腹が以上に張って突き出していると前に屈むことができません。一旦膝をついてゆっくりと慎重に拾います。
服の着替えも一仕事です。靴下が履けない。お腹が邪魔して手が届かないのです。なのでいつも妻に履かせてもらっていました。
お腹がパンパンだと食事もままなりません。一回に摂取できる食事の量が制限されます。というより食べられないのです。一方で栄養失調を改善しなければいけない。食べなければいけないのに、食べられない。地獄です。
なのでできるだけ嵩が小さく高カロリーのものを食べるようにしていました。ダイエットとは真逆です。
貧血の進行も深刻になってきました。自宅の2階に行くのに階段を上るだけで息が上がり、10分くらい横になって安静にしないと戻りません。
こんな生活を送りながらも、希望を捨てずに生きていました。