7月25日 (5)
  向日葵に煙のごとく老婆来る   鈴木 鷹夫

                                                                         長浜 勤
 西東三鬼に〈緑蔭に三人の老婆わらへりき〉の句がある。三鬼、鷹夫句ともに「老婆」の働きが大きいのだが、現代ではこの措辞は死語に近い。掲句をはじめて知ったとき「煙のごとく」の比喩の巧さに注目した。だが、その前提として上五の「に」の用法に注目しないとならないと気がついた。存在感の大きな向日葵を強調することにより、消えてしまいそうな老婦人が歩いてくる映像が浮かぶ。初期代表句のひとつである。 
                句集『渚通り』所収 季語【向日葵】

7月23日 (4)
  生きること死ぬこと釣堀にて話す  鈴木 鷹夫
                                                                        長浜  勤

  釣堀は納涼の遊びを本意としている。涼しさを求めて釣り糸を垂らすのだが、江戸時代には釣果に応じて換金するしくみまであったという。掲句は下町の少しさびれた釣堀を想像させよう。子どもたちが帰る夕方になると、人生の半ばを過ぎた人ばかりが残る。名前も知らない顔見知りと話しを交わすこともあるが、誰と話していても最後は「生きること死ぬこと」にいきつく。釣堀という場所も魚の生死にかかわる。        句集『カチカチ山』所収 季語【釣堀】

埼玉県、東京等の感染者増加の情報により急遽通信句会に変更します。川口リリアの中止は残念ですが、よろしくお願いします。

 

25日土曜までに長浜宛5句お送り下さい。会費は1000円、あとでけっこうです。句稿ができしだいメールの方、FAXの方それぞれお送りします。5句選、特選1句にコメントをお願いします。

 

会員の方にご連絡

ブログ内ではメールアドレスは公開していませんが、季刊誌「帯」に明記されています。

F2Cブログには連絡フォームがありますので帯発行所に連絡できます。

 

帯俳句会