7月23日 (3)
ぎしと梅雨箱階段の三段目 鈴木 鷹夫
長浜 勤
幕末から明治にかけて二階がある家が増えた。箱階段もその頃一般的になり、収納を兼ねる日常のものでありながらその意匠は洗練されていった。残されている古民家には箱階段を踏んであがれるものもある。やや急勾配の木造階段の三段目にてふいに音がしたのだ。構造的なものかあるいは湿度のためか、その音にはどことなく潤いがあったのだろう。上五「ぎしと梅雨」の擬音と梅雨の組合せの技巧が冴えている。
句集『千年』所収 季語【梅雨】