7月27日 (7)
  怖ろしき咄の後の水羊羹   鈴木 鷹夫

                                長浜  勤
 この咄とは落語か講談の怪談のことであろう。鷹夫師は落語がお好きだった。「四谷怪談」は鉄板ネタで、寄席を暗くして蝋燭をともす。ときには火の玉もでてくる。演者はまず四谷の「於岩稲荷田宮神社」にお参りに行って公演の安全を祈るという。客の立場としてもこの怖さは誰かと分かち合いたいものだ。掲句の場合は妙齢の女性だろう。甘味喫茶に寄って水羊羹でも食べると精進落としになるのだ。                 句集『渚通り』所収 季語【水羊羹】

土曜日の中央例会は通信句会となりました。参加者14人。句稿は参加者にお送りしましたので、明日夜までに選句お願いします。

7月26日 (6)

驚いて青大将をよろこばす    鈴木 鷹夫
                              長浜  勤

 青大将は日本固有種の大型の蛇。民家に住み着き、人との関わりも多い。それでも縄のような形状をした蛇には潜在的に恐怖心がある。青大将のアルビノが白蛇として祭られるのも畏怖がなせること。開発が進んだ住宅地でも突然に青大将と出くわすことがある。誰でも狼狽するはずだが、俳人としては「いやいや驚いて見せただけですよ」というポーズが必要なのだ。 
                  句集『千年』所収 季語【蛇】