7月27日 (7)
怖ろしき咄の後の水羊羹 鈴木 鷹夫
長浜 勤
この咄とは落語か講談の怪談のことであろう。鷹夫師は落語がお好きだった。「四谷怪談」は鉄板ネタで、寄席を暗くして蝋燭をともす。ときには火の玉もでてくる。演者はまず四谷の「於岩稲荷田宮神社」にお参りに行って公演の安全を祈るという。客の立場としてもこの怖さは誰かと分かち合いたいものだ。掲句の場合は妙齢の女性だろう。甘味喫茶に寄って水羊羹でも食べると精進落としになるのだ。 句集『渚通り』所収 季語【水羊羹】