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    おび内科・漢方クリニックのブログ

       鎌倉で内科、漢方、胃カメラ、大腸カメラのクリニックをしています。診療の合間につれづれなることを発信していきます。

おびクリニュース2025年10月号を転載します。

 

Q. 血圧の目標値が下がったと聞きましたが、いくつになったのでしょうか?

 

A.2025年7月に日本高血圧学会が最新のガイドラインを発表しました。

 

新しい血圧の目標値は診察室で130/80未満、自宅で125/75未満と改定されました。

 

これまでは年齢ごとに違う目標設定でしたが、それが撤廃されて全年齢で統一基準を用いることになりました。

 

その背景には、2024年欧州で全年齢130/80未満を目標にするとされたことにあります。

 

血圧を低く管理した方が良いという学説は世界的潮流です。

 

ちなみにロシアの平均寿命【2019年】は男性68歳(118位)、女性78歳(74位)となっており

 

日本【2024年】男性81歳(6位)、女性87歳(1位)、より低いことで有名です。

 

寒い国なので塩漬け料理が多く(塩分摂取量10~15g/日)高血圧の患者さんが多いのですが

 

治療を受ける人が少なく、高血圧が最終的に心臓発作、脳卒中、腎不全をもたらし平均寿命を短くしていると考察されています。

 

実は日本人の塩分摂取量(9.8g/日)も、決して低くはないのですが

 

健診で早期発見し、気軽に近くの病院やクリニックで治療を受けられる体制が整っているので

 

ロシアより平均寿命が長くなっていると考えられます。

 

逆に高血圧を放置して治療を受けない人が増えれば、ロシアのようになります。

 

したがって、自宅だけでなく、色々なところで血圧を測り130/80未満となるように努めてください。

 

基本は減塩(6g/日以下)、体重の適正化、それでも下がらなければ、お薬を服用しましょう。

 

これからの時代、血圧を低く保ち、将来の心臓発作、脳卒中、腎不全を予防することは全国民共通の務めだと思います。

 

 

ところが、「そんなの私に関係ない」という人、「血圧の薬をずっと飲むのは嫌だ」という、「ロシア的な思考」の人もいます。

 

では、高血圧を治療しない人が増えるとどうなるでしょうか。

 

脳卒中や心臓発作の中高年が増え、多額の医療費が必要となり、ますます医療保険財政がひっ迫します。

 

現在でさえ赤字病院だらけなのに、政府はさらに診療報酬を抑制しますので、医療職の待遇は悪化し、若手は離職して美容医療や海外に向かい、県立病院なのに人手不足で野戦病院のような粗末で簡素な医療しか受けられない国になります。

 

一人一人が自分の血圧をきちんと管理して、他人や若い世代に迷惑をかけない生き方を選択すれば、いざという時に手厚い医療が誰でも受けられる、世界に誇る日本の医療体制を維持できるでしょう。

 

もし 医学的に意味のない 「ロシア的な思考」で高血圧の治療をしない人がいると、日本全体の医療がダメになるのです

 

それは避けなければいけないと思いませんか?

 

ちなみに医師も看護師も人間です。

 

真面目に血圧の治療をしていたのに、運悪く脳卒中になってしまった人と

 

お薬手帳が真っ白で全く治療してこなかった人が脳卒中で運ばれて来たとします。

 

あなたが治療を担当する医師や看護師だったら、心のベクトルは非常に複雑な動きをするはずです。

 

そういう想像をしながら、真にご自身にとって正しい選択をなさってください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

(おまけ)

 

季節外れの桜が咲いていました。