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    おび内科・漢方クリニックのブログ

       鎌倉で内科、漢方、胃カメラ、大腸カメラのクリニックをしています。診療の合間につれづれなることを発信していきます。

おびクリニュース2025年6月号を転載いたします。

 

Q. 時間がないので、診察無しで処方箋だけもらうことはできませんか?

 

A.医師法第20条に「無診察治療等の禁止」と規定されています。

 

「医師は患者を診察せずに治療を行ったり、処方箋を交付したりしてはならない」と定められています。

 

※例外的に病状により家族の代理受診は認められています。

 

無診察での治療や処方は、患者の健康状態を正確に把握しないまま行われるため、危険を伴う可能性があり、法律で診察を必須としています。

 

しかし、法律が厳格に順守されているとは言えません。

 

受付のスタッフに「いつものお薬ください」とお願いして、診察無しで処方箋を受け取るという体験をしたことがある方は少なくないと思います。

 

患者さんからすれば、「いつもの花粉症(腰痛、血圧、糖尿病など)のお薬をもらうだけで、特別に話すことはないので、早く処方箋をもらって帰りたい」といったニーズがあります。

 

クリニック側も診察無しでよいという患者さんがいれば、1時間あたりに対応できる人数が増え、当然ながら売上も増えます。

 

持ちつ持たれつの関係があるため、法律がほとんど無視されている現状があります。

 

さらに、最近ではオンライン診療が解禁され、スマホ画面で診察とは名ばかりの、画面の相手が本当に専門的知識もった医師かどうかわからないまま、適当なやり取りで処方箋が発行されている現実があります。

 

それによる健康被害も発生し社会問題化しています。

 

売り上げだけの事を言えば、お薬だけでよいという患者さんが多ければ多いほどクリニックは楽に儲かりますから、この悪習はなくなりせん。

 

 

しかし、当院では「無診察治療」は一切お断りしています

 

なぜかと言いますと、無診察治療は患者さんの為にならないからです。

 

その実例をご紹介します。

 

私の父は東京在住で長年、近所のクリニックと心臓専門の総合病院に通院していました。

 

ある日、滅多に電話してこない母から父の呼吸がおかしいと連絡がきました。

 

電話で父と会話すると、明らかに呼吸困難を呈していましたが、本人は「ちょっと苦しいけど、まあ大丈夫だ」と息継ぎしながら答えました。

 

心不全による呼吸困難が疑われ、私はすぐに母に救急車を呼ぶように伝えました。

 

2時間後、重症心不全で心臓専門病院のICU(集中治療室)に入院となりました。

 

ひと段落ついた時には夜中の2時を回っていました。

 

母、曰く、1週間前からあえぐように息をしていた。

 

3日前にいつものクリニックに診察に行ったが、同じ薬をもらって帰ってきた。

 

診察を受けたのだから、大丈夫なのだろうと思っていたが、やっぱりおかしいので息子に電話した

 

と話したのです。

 

しかし、実際には診察はありませんでした。

 

 

私が思うに無診察治療の弊害は3点あります。

 

①患者さんの容体悪化を早期にとらえることができず、対応が遅れ患者さんは重症化する。

 

②重症化してからの救急対応は家族も病院スタッフ(夜勤の医師、看護師は翌日も勤務している)も負担となる。

 

③診断能力の鈍化した医師が増える。

 

 

私は特に③が問題だと思っています。

 

お金を入れると薬が出てくる自動販売機のようなクリニックの医師は診察という医療行為をしませんので、患者さんの異常を察知する診断能力が退化します。

 

しかし、経営は成り立ちます。

 

これでは診断能力の低い医師が淘汰されません。

 

昔から日本中にはびこっている、無診察治療に対し見て見ぬふりをしてきた日本医師会の闇がここに集約されています。

 

違法か否かはもちろんですが、無診察治療が日本の医療のレベルを下げることになるとしたら、患者さんにとってマイナスです。

 

皆さんには無診察治療のマイナス面を知って頂きたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました薬