宝物にちなんだ日本の絵巻③最終巻 | 宝石★Wonderland

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こんにちは。




朝晩の寒さが増して秋深しというところですね。





いつもありがとうございます。



身近なところにきれいに紅葉した樹木がたくさん見られて
毎日が楽しいと感じますが、皆さまは如何でしょうか?
町中の公園や街路樹に、いちょうやモミジの木がたくさん使われているからなのでしょう。


それに柿の木の意外に多いこと。
真っ赤に実った柿の実も良いですが、紅葉した柿の葉っぱにも
風情がありますね。
紅葉の季節が一番日本らしさを感じるのは私だけでしょうか?








それでは。

お宝の出てくる物語、信貴山縁起絵巻最終巻をお話しいたします。

かなりの期間、お待たせしてしまいました~~



信貴山縁起絵巻は、信貴山が奉る毘沙門天のお力を著している物語です。

いつもは宝石にちなんだ物語をご紹介していますが、これは富や財産を司る神様の物語なので大変面白く、是非ご紹介したいと思ったのです。

最後までお付き合いよろしくお願いします。


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富や財にまつわる物語
《信貴山縁起絵巻③ 尼公の巻》


信濃国に、命連の姉が住んでいました。
姉も出家して尼公となっています。


命連はかつて大和の東大寺で受戒をいただこうと、信濃国を出て行ったきりでした。
弟はどこでどうしているのか、一目会いたいと、尼公は大和国を目指して旅立つことにしました。


奈良の興福寺や東大寺の近辺で、命連という僧を知るものはいないかと訪ね歩きましたが、一向に消息がわかりません。
すでに弟と別れてから20年の時が過ぎているからでしょうか。
けれどもなおさら尼公は諦めるわけにはいかず、東大寺の門前で祈りながら一夜を明かします。


明け方うとうとしていると「ここより未申の方角に紫の雲がたなびく山がある。その山の麓に行くが良い」との声がしました。
ハッ、と目を覚まし、南西の方角を仰ぎ見ると紫の雲の向こうに霞んで見える山を見つけました。

 

 


東大寺門前の尼公(Wikipediaより)


これは御仏のお告げではないかと思った尼公は、さっそく山の方角へ歩いて行きます。

 

 

 

 

 

 


信貴山にたどり着くとそこには小さなお堂があり、「この辺りに命連というものはおりますか」と声をかけました。
すると中から顔を出したのは紛れもなく弟の命連。
「いったいどうやって私の居る場所を探し当てたのでしょうか」と不思議がる命連でしたが、姉の尼公は手土産に持参した衲(だい)を差し出します。


    衲(だい)とは、太い糸で織った衣です。


これまで命連は紙衣一枚で寒さをこらえて過ごしていたため、とても喜んでこの衲をきました。
そして姉の尼公は、信濃国へは帰ること無く、弟の命連と一緒に仏へ仕える生涯を送ったのでした。


この衲は、命連がずっと着ることとなり最後にはボロボロになってしまいましたが、やがてお堂近くにある、空飛ぶ蔵※※に納められることとなりました。

衲は人々がこぞって切れ端を求め、お守りとするようになりました。
そして時が過ぎるうちにこの飛蔵自体も朽ちてしまいましたが、その蔵の木片を大切にお守りとしたものは皆、金持ちになったといわれています。
参拝者で今も賑わう信貴山の毘沙門天は、命連が修行して感得した仏なのです。

《おしまい》

・・・(だい)衲衣 ▶ 衣服に関する修行の一つで十二頭蛇(ずだ)のひとつ、人が捨てた細かいぼろ布を接いだり剥いだりして一枚の布にして縫った衣。糞叢衣と同じものとされるようになり、後年、錦の生地を接いで作るとても華美な袈裟となった。

※※空飛ぶ蔵 ▶▶ 飛蔵 ▶▶ 《山崎長者の巻》参照




以上が信貴山の成り立ちをあらわす絵巻の内容でした。

どうです?興味が出てきませんでしたか?

私は大学での日本の絵巻物の授業を受けてこの下りを知ったとき、これは何れ信貴山詣でをしなけばなるまい!と思ったものでした。

その4年後に念願叶って信貴山へ行くことになったのですが、信貴山の途中に、宝くじを当てるためのお守りを売っている売店があります。
この売店のことは新聞記事で読んでいたので、ここでお守りを買うことも決めていました。
当然お守りを買ったわけですが、その帰り道に買った宝くじが、なんと当たったのですよ!!

たった一枚買った宝くじが3,000円の当たりだったのです。

嬉しくて嬉しくて、使うことができなかったですね~~。

 

 

 

次回からはまた、宝石に関するいろいろをお伝えいたします。