カラスによる停電多発 東北電新潟支社、GWも警戒。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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新潟県内でカラスが電柱の上に巣を作ることによる停電が多発している。昨年は過去10年間で最多となる年間18件発生。新潟市の市街地では昨春、約1800戸が停電に見舞われた。営巣活動は5月中旬まで続くため、送配電を担う東北電力ネットワーク新潟支社は大型連休(GW)中もカラス対策に追われている。

 

最大規模の停電

県内のカラスの巣が原因の停電は毎年発生。年によってばらつきはあるものの、十数件前後の高い水準で推移している。昨年4月17日には、市街地の新潟市中央区上大川前通で1766戸が停電。カラスの営巣が原因の停電としては最大規模となった。

 

カラスは繁殖のための営巣活動を3月からGW明けを中心に行う。巣の主な材料は木の枝などだが、賢いとされるカラスは強風などで動かないよう針金ハンガーをマンションのベランダなどから持ってきて、巣を固定しようとする。同社新潟電力センターで配電設備の保守管理を担当する伊藤誠一課長によると、これが停電を引き起こすという。

 

「巣が作られる電柱上部には黒いカバーで覆われた電線の接続部があり、カラスはそこに針金ハンガーの先端を引っかけ、巣を固定しようとする。針金が電線の接続部に接触すれば漏電が起き、変電所のブレーカーが自動的に作動して送電が止まり、停電が起きる」

 

市街地で営巣傾向

同社は、針金ハンガーをベランダなど屋外に置かないよう県民に呼びかけるとともに、カラスの営巣時期に電柱の見回りを強化している。また、住民から電柱に巣があると連絡が入り、現場に向かうことも多いという。

見つけた巣は、電力安定供給の観点から撤去することになる。巣に卵やひながいる場合は、停電の危険性も考慮し、鳥獣保護管理法に基づく有害鳥獣捕獲の許可を受けて捕獲することもある。

巣を撤去した電柱の上部には、風車などの営巣防止器具を設置するようにしているが、過去10年間の電柱の巣の撤去数は、年間5500~7500個と高い水準で推移。いたちごっこの感もある。

3年前には、鷹匠に来てもらい鷹を飛ばすことでカラスに巣を作らせない方法も試したが、コストがかかりすぎるため断念した。

 

同社新潟電力センターの相馬隆典副長は最近の傾向として「樹木が少ない市街地で電柱に巣を作る傾向がある」と指摘。「昭和時代は私たちの業務にカラスの巣の撤去なんてなかった」と笑う。

 

東北電ネットワーク新潟支社では、営巣活動が活発なGW期間中、気が抜けない日が続く。「20人態勢で2回、高所作業車4台を使って電柱のパトロールを行っている」(伊藤課長)

 

同社は県内を12エリアに分けて配電設備の保守管理を行っている。昨年1年間の巣の撤去数が最も多かったのは、長岡電力センター(長岡市)で全体の約2割の1390個。新潟市の中心街などを管轄する新潟電力センター(同市)は750個だった。

 

電力以外の被害も

カラスの被害は電力供給にとどまらない。新潟市環境政策課によると、カラスによる威嚇やフン害などの被害は令和2年度に市内で70件発生。こちらも平成30年以降、高い水準で推移している。

 

市は同年、有害鳥獣対策などを行う県ペストコントロール協会(同市)と協定を締結。同協会は市民からのカラス被害などの相談窓口になっている。

市の担当者は「人口が多い市街地に生息する都市型カラスが増え、それに伴って人への被害も拡大傾向にある」と話している。(本田賢一)