2021年7月の東京都議選期間中などに無免許運転を繰り返したとして、道路交通法違反(無免許運転)に問われた元都議の木下富美子被告(55)に対し、東京地裁は15日、懲役10月、執行猶予3年(求刑・懲役10月)の判決を言い渡した。平出喜一裁判官は「常習的で道路交通法違反に関する規範意識に問題がある」と批判した。
判決によると、木下被告は運転免許停止期間中の21年5月29日~7月2日、東京都新宿区と板橋区で無免許運転を計7回した。
判決は、17年5月~21年2月にも交通違反で12回検挙され、免許停止処分を4回受けていたことに触れ「条例制定に携わる都議として、法令をより順守する立場であったことを踏まえると、責任は重い」とした。一方で、車を処分し、強い社会的な非難を受けて都議を辞職したことなどを執行猶予の理由に挙げた。
木下被告は被告人質問で、選挙運動などのために運転する必要があったとし「選挙が近づく中でプレッシャーを感じ、まともな判断ができなかった。心より申し訳ない」と謝罪した。弁護側は寛大な判決を求めていた。
木下被告は21年7月の都議選で再選されたが、投開票日2日前の7月2日に無免許で人身事故を起こしていたことが当選翌日に発覚。その後、体調不良を理由に本会議や所属委員会を欠席し、都議会は議員辞職勧告を全会一致で2度議決した。東京地検が11月19日に在宅起訴し、その3日後に議員辞職した。【遠藤浩二】