21年ぶりに新しいデザインの500円硬貨が発行され、11月に市中に出回る。新硬貨のお披露目となる21日の打ち初め式を取材した記者(32)のもとには、1枚の記念硬貨がある。裏面に「地方自治」と大きく書かれた500円玉だ。1年以上前に自動販売機から出てきたものだが、新しい500円玉の取材をするなかでふと気づいた。「これ、新硬貨に似ていないか?」。財務省に疑問をぶつけると、記念硬貨の意外な役割がみえてきた。
同省によると、この硬貨は地方自治法施行60周年を記念し、2008~16年にかけて計8310万枚発行されたうちの1枚。表面は47都道府県ごとのデザインがあしらわれ、記者の手元にあるのは香川県のもの。「金刀比羅宮から望む讃岐平野」が描かれている。
似ていると感じたのは、表面が2色だったからだ。縁の部分に改めて着目してみると、ギザギザは変形……。新500円玉の記事で特徴として紹介した形状が、そのまま記念硬貨にもあった。
財務省の通貨企画調整室に尋ねると、担当者は「実は記念硬貨と同じ技術を新500円玉に使っています」。ニッケル黄銅と白銅、銅の3種類の金属を使い、「バイカラー・クラッド構造」も、縁の変形ギザギザも、1枚7・1グラムといった重さも同じだという。
特にバイカラー・クラッド構造については「この記念硬貨で初めて採用された技術」だということも教えてくれた。理由の一つに、新たな貨幣製造技術を養うという目的が記念硬貨にあるという。通常硬貨と比べ、記念硬貨は製造枚数を限った少量生産が原則だ。いつ何時新しい通常硬貨をつくることになってもいいよう、活用できる技術や製造能力を記念硬貨で磨いているのだという。
○ワタシ想います。
製造技術や能力を温存、発展させるために記念硬貨を作る。
伊勢神宮が20年に1度、建て替えられるのと似ている。
技術の継承は大事かと・・・。