欧米中で富裕層の高額消費急増、過去最大の「ペントアップ需要」は日本で生まれるか。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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有名レストランの予約がとれないハワイ

前例のない動きを見せる欧米中の消費

 5月半ば、旧知のハワイ在住バンカーから一通のメールが来た。有名レストランの予約が取れない、駐車するスペースがない、という内容だ。日本企業はコロナを理由にクロスボーダーM&Aを躊躇している場合ではないぜ、という皮肉なメッセージも付いていた。

 

 現時点では、日本人がハワイに自由に旅行できる状態ではない。ハワイの観光客が増えたのは、米国内での経済活動が急激に活性化された結果だ。対コロナのワクチン接種が進むことで、米国人のツーリズムが激増している。

 

 上記の話を弊社内で共有すると、何人もの社員から、海外メディアで強烈な消費の変化を報じる記事を見たとの反応があった。緊急事態宣言が発出中の東京でも、高級ブランド店が(特に若い消費者で)賑わうなど相似形が見られる。

 

 最近のフィナンシャルタイムズは、欧州の高級リゾート物件の需要が、今までのような別荘としてではなく、リモートワークの場所として急速に増えていると報じた。

 

 また同紙は、飛行機のファーストクラスの顧客がビジネスジェット(プライベートジェット)に移行し、ファーストクラスは終焉を迎えているとも報じた。そして、カリフォルニアにおける大麻の市場規模は130億ドルとナパバレーのワイン市場の数倍以上と見込まれ、高級レストランでも高級大麻が提供し始められているなど、高級大麻市場が拡大しているとも報じた。

 

 生活必需品と一線を画すこれらの消費動向は、欧米固有のものではない。中国では、海南島のDuty Freeショップ(免税店)の売れ行きが、過去に類を見ない動きになっていると聞く。

コロナが生み出した

巨大ペントアップ需要

 東アジア、東南アジアの一定以上の所得層は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前、日本に年に複数回来訪し、ショッピングや飲食を楽しんでいた。今は、そうした消費ができない彼らは、代替的な贅沢を楽しんでいる。中国やシンガポールでは、代替的選択肢として、高級和食(一人5万円以上)の需要が急増し、全く予約が取れなくなっているらしい。

 

 世界中の富裕層の消費マグマは、かつてないほど蓄積されている。経済の世界では、何らかの理由で一定期間消費が抑制され、それが実現する際の急激な消費増を「ペントアップ需要(pent-up demand)」と呼ぶ。ペントアップ(pent-up)とは、蓄積された、累積された、の意味だ。

 

 今、欧米中で見られている消費の動きは、まさにペントアップ需要の顕在化だ。為替変動による売価値下げ前、閉店セールが見込まれる前など、過去にも様々なペントアップ需要が生まれた。ただし、今回のコロナ禍が生み出したペントアップ需要は、期間、インパクトともに過去のものと大きく異なる。

 

 閉店セールの前の買い控えなどの期間は、せいぜい数日間のことだ。円高によって輸入ブランド品の売価値下げが見込まれるといっても、買い控えの期間は、せいぜい数週間だ。しかし、コロナ禍は、消費者の旅行などサービス消費への支出を1年以上も控えさせた。その結果、ペントアップ需要(マグマ)は巨大なものになっている。

 加えて、コロナ禍で買い控えを強いられた間に、富裕層の資産は大きく増加した。世界の資産保有額トップ500名の資産は、2020年の一年間で30%以上増加したと言われている。コロナ対応として各国の中央銀行が流動性を供与した結果、株や土地を保有する富裕層の資産保有額が、たった1年で大きく増加したのだ。

 

 保有資産額の増加は、資産効果として消費を押し上げる。この1年、富裕層を中心に大きな資産効果があったはずだが、それらが長期にわたってpent-upされてきた。この発露が、本稿の冒頭で述べたツーリズムやレストランなど、サービス分野での爆発的な消費の始まりにつながっている。

日本で実感されないワクチン後の世界

過去最大のペントアップ需要は日本でも

 日本では、ワクチン接種が世界各国と比べ極端に遅れている。そのため、日本に住む多くの方は、ワクチン後の世界が実感できず、コロナ前の水準に消費が戻るのだろうか?という弱気や懐疑が蔓延している。しかし、コロナ後の世界に突入した国々で起こっていることは、過去最大のペントアップ需要の発生だ。

 

 米欧中ほどではないが、日本にも相応の富裕層が存在することから、今後、同様のペントアップ需要の発生が起こると予想される。富裕層だけでなく、平均的な消費者にも溜まりに溜まった需要があるはずで、ワクチン後にはペントアップ需要が、急激に高まる可能性がある。

 

 米欧中でワクチン後の世界が一般的になれば、それが日本で報じられ、政府も更なる対応を迫られるであろう。日本におけるワクチン後の世界も、それほど遠い話ではなさそうだ。米欧中に続き、我が国でも過去最大のペントアップ需要が来る。もちろん、株高が続く、という大前提の上でだ。

(フロンティア・マネジメント代表取締役 松岡真宏)

 

 

 

 

 ○ワタシ想います。

 コロナ後インバウンド観光が、日本で再燃するかも?、と思わざるを得ない・・・。知らんけど。