佐賀県上峰町のエビフライ専門店「EBI江口魚株式会社 EBI研究所」は9日、エビフライの自販機販売を店舗脇で始めた。プリプリの食感が「クセになる」と好評で、2020年度は約29万本を売り上げた。「エビフリャー」といえば名古屋名物と思いきや、首都圏や名古屋から“逆指名”があるほどの人気ぶり。エビフライにかける夫婦の思いを聞いた。【竹林静】
夫婦で開業、世界も視野
19年5月に同社を創業した江口紘基さん(41)は、妻朋(とも)さん(42)と4人の従業員とともに、1日約1200本のエビフライを製造する。従来のネット通販や店頭販売に加え、町のふるさと納税返礼品に選ばれるなど近年、販路を拡大。発送3~4カ月待ちの繁盛店となった。
自販機を設置することで、新型コロナウイルスの感染予防対策としての対面によらない販売や、「営業時間を気にせず来店してもらえる」などのサービス向上を期待する。自販機で買えるエビフライ(冷凍)は、無頭10本入り2300円、有頭5本入り1200円。エビの食感を重視し、下処理で筋切りなどをしない加工法が特徴だ。曲がったままの見た目から、商品名は「おどるえびフライ」に。
経営パートナーでもある妻朋さんとは高校時代に知り合い、01年に結婚。4人の子どもを育てながら、精密機械の部品製造会社で多忙な日々を送っていた16年に、悪性リンパ腫(血液のがん、ステージ4)が見つかった。抗がん剤治療を続けていた同年9月、製造会社を退社。一時、実家の鮮魚店に家族と戻った時に、看板惣菜であり、昔から一番好きだったエビフライに目が留まった。「ライバル店が少なく、商品化しやすいのでは」と、ひらめいた。
療養しながらも開業準備をスタートさせ、数十種類のエビを食べ比べた。「おいしい」と思う究極の素材選びや加工法を探るうち、エビフライは夫婦にとっての「希望」となった。がん発覚から約5年。江口さんは「闘病中も明るい性格の妻といると何でも成功する気がした。エビフライ専門店の開業が2人の生きがいになった」と振り返る。
創業後、新型コロナで販売イベントの中止などが相次いだが、支えは顧客の声だった。「通販利用者から『こんなにおいしいのは食べたことない』と言われるとうれしい」。5年後には海外発送もできる体制づくりを見据え「佐賀をエビフライで世界にPRしたい」と夢を語った。
○ワタシ想います。
新しい機能の自販機が、続々登場。
コロナ後の世界が楽しみです。
民間の力がいい。素晴らしい。
政府などあてにはできない。