〇代タクシーの運転手さんは礼儀正しくて、家人曰く「彼は社内でもマスターだよ。きっと。観光タクシーって優秀な人が抜擢されるんだよ。」![]()
いつもは、胡散臭いことばかりの家人ですが、今回のこの言葉ちよっと信じました。
新潟のの埠頭は、街からかにり遠いです。車でほぼ40分かかります。
街はずれですから近くに大きな風車が何基も回っています。
オランダ・・は言い過ぎですが、白い風車が並んで回っている風景は、なにかどこかで見たテレビドラマのようです。
「まずは北方資料館に行きますね。」運転手さんの言葉に頷くだけです。
街中を突っ切っていつの間にか、信濃川の土手に添って車は走ります。
「このあたりは海抜ゼロメートルなんですよ。みーんな土手の下に家がある」
言われてよく見ると、確かにどの家も堤の下に家が並んでいます。
「ほんとですね。信濃川って長くて怖い川ってイメージありますけど。」
「昔はそうですね。いつも暴れて水があふれて、周りの家は大変でした。この信濃川が長野県に入ると千曲川になるんです。」
川の多くはそうですよね。支流や場所で名前が変わる。![]()
私たちは川の少ないところに住んでいます。そのぶんため池は至る所にあります。
台風で水量が増えても、私たちには恐ろしい濁流ですが、たぶんここいらの人たちには、ふふんと鼻で笑うくらいのものだと思います。
この母なる信濃川が、あの「コシヒカリ」を生み出しているのでしょうね。![]()
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「それにしても、なにもありませんね。一面の平野」
「そうなんです。ずっと前見てください。山が遠いでしょ。ずっと平野なんです。だから風が強くて、もう一か月もしたら、びゅうびゅう吹いてますよ。このあたり。」
なんだか、運転手さんの言葉が実感で判ります。
今の時期だからなのか、広大な田圃の跡地は、黄金色になった稲藁の残りが、集められていたり、切株が黄色くなっていたりで、ちよっと殺伐とした感じです。
「雪も多いんですか。」
「ええ。そりゃあもう。凄いですよ。」
「運転手さんも、雪で危なかったことあります?}」
「何度もありますよ。でも、このあたりに住んでたらみんなそうですよ。ハッハハ」
ハッハハって・・毎年命がけでこのあたりの人は冬場に車乗ってるの??
この黄金色の景色が、あの世の入り口のように見えてきました。![]()
それにしても、どこまで続くこの土手沿いの道というくらい走りました。
しばらくして小さな集落の方に曲がると、大きな土塀の家が何軒か続いて、やっと着きました北方記念館。
周りはそれは見事な紅葉。黄色と赤がいい塩梅に重なって、天然の日本画のようです。もう入口からして、興味そそられます。
入場者も思ったより多いですし、なにより若い子が多い。やっぱり毀滅効果なのでしょうね。
ここは、新潟の豪農であり大庄屋「伊藤家」の別邸です。
じつを言うと、この時まではここが伊藤家のご自宅とばっかり思っていましたが、あとでここが別邸と判ります。
それにしてもです、前述のとおり「鬼滅の刃」のお館様の住む「産屋敷」のモデルというだけのことはあります。
所有する山から木切り出し、川に流してここまで運んで組み立てて八年。
伊藤家の財力とセンスを賭けて作られた館です。
大広間から見える庭は、この季節ならもう紅葉の満艦飾。そしてその景色を愛でるために、この伊藤さんは大広間の間と間の間の柱を「景観の邪魔」と切り落としちゃいました。
広縁の上には、見たことのない長さと太さの梁が一本でこっち側からあっち側まで渡されています。それは壮観。
しかもこの伊藤さん、小作人2000人、このお屋敷8800坪というスケールなのですが、人間味がある。入ってすぐのところに、大きな炉端があります。
そこは、畑仕事を終えてやってきた小作人たちをお風呂に入れるのに、その待合場として作ったのだそうです。
一辺に四人。一度に16人が座って、お風呂の順番待ってたなんて・・素敵じゃありません?
無造作に置いてあるコレクションも、なかなかのもの。
写真に残る、伊藤家何代もの当主さんのお顔も、威厳というより慈愛に満ち溢れています。
本邸を出ると、庭回りには三角形の茶室があります。こんな茶室見たことがない。
中には入れませんが、冬の光にガラスが反射して大きな万華鏡のようです。
いやぁ~とてもいいお屋敷でした。豪奢なだけでなく、温かみと懐の深さを感じられるようなお宅です。
ここを選んだ、「鬼滅の刃」の作者、吾峠呼世晴さん(なかなか名前が変換できません。そもそも私、読んだことないのです。ごめんなさい)は、なかなかのセンスです。
後ろ髪ひかれながらここを後にして、新潟市内に戻ります。
この道がまた混み混み。しかも不自然な交差点。なんでこうなの?
運転手さんいわく、もう何十年も工事してます。いつ終わるかわかりませんとのこと。
ありますよねぇ。日本中に。ずーーーっと工事してて、いつ終わるから判らないような場所。どこにでもありますね。
「そういえば、新潟ってどこの道も雪が降れば道の左右からお湯がぴっと出で、溶かすんですよね。田中角栄さんがやったんでしょ。」とお聞きすると
「いや、それは田舎だけです。市内は地下水に鉄分が混じってるのでできないんですよ。」とのこと。じゃ、新潟の冬は田舎の方が走りやすいのか。・・どうやっても、冬の新潟で車で行くことはありませんけどね。
私のリクエストで、万代橋が一番きれいに見えるスポットに案内してもらいました。
そのついでと言っては失礼ですが、新潟の産んだ大スター「小林幸子」さんが幼いころ遊んでいたという公園にも案内してもらいました。
決して、嫌いではありませんが、ファンだと言ったこともないのですが(笑)
そのすぐ近くにある、塩引き鮭の老舗、加島屋さん。
おー北前船の時代からね。と、それだけで嬉しくなります。
店内は広いですが、用途に合わせて窓口が決まっていますので、そこに。
「塩引き鮭を送りたいんですけど、今日お願いしたらいつ届きます?」
「いや、今は発送してないんです。今年の第一便は11月26日からなんですよ。」
「じゃ、予約はできますか?」
「はい。いま承っております」
丁寧なのか、遊ばれてるのか判りませんが、ともかく26日には送れることになりました。
しかし。鮭は北海道のものです。それを、ここのお店で塩して吊るして完成させるのだそうです。
「村上、行きたかったんですけど・・」
「もう村上も獲れませんし、この時期は予約で一杯ですよ。」
大河ドラマにでも出そうな端正な顔したお兄ちゃんなのに、しらっと薄情なこと言います。
「それは、今、村上行っても買えないってこと?」
「そーいうことですね。」と、にっこり笑った顔が目黒連に似ていたような・・(いや嘘です。目黒連と白洲迅の区別がつきません)
でも、ともかくハンサムであることは確かです。![]()
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「一番大きいサイズね」
「申し訳ありません。それはもう全部予約済です。次のサイズのこれになります。」
「遠いところから来てるのよ」
「それはカスハラになるよ。彼には関係ないじゃん」おにぎり見ていた家人が合流します。
・・・えーこんなのがカスハラ・・
お兄ちゃんは聞こえないふりしています。たぶん。
でも、端正な顔には書いています。「ないものはない」と。
「いいわよ。これで。」
「すみませんねぇ。」と家人。なんであなたが謝るのよと不満な私。![]()
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しかし運転手さんを車に待たせてあります。10分くらいでお願いしますと言われてるのでこれ以上はやめておきます。
急いで住所書いて・・これは自信あります。早いです。
支払い済ませて、車に戻ります。ここは駐車場が離れているので、路駐で待っていてくれたのです。
『買えましたか?」
「はい、おかげさまで。ただ送りは26日からになるみたいです。予約がいっぱいで。」
「新潟の人間にとっては、正月準備ですからね。みんな鮭買いますよ。」
ホントかなとは、ちよっと思いましたが、こんなこと疑っても誰も得しませんし、
同意と受け止めておきましょう。
埠頭に着いた時は、予約していた三時間は過ぎていましたが、三時間分のお支払いでと言ってくださり、楽しい時間をありがとうこざいますと、笑顔で運転手さんと別れました。
新潟!十分に楽しみました
。〇代タクシーの運転手さんありがとうございました。
なごりおしかったですが、お腹も空いたかもと、早々に船に戻ります。
そしてまずはホライゾンコートに直行。何か食べたい(笑)
夕飯のこと考えたら、ここは軽くしておきたい。
ついさっきのことを、いろいろ話しながら好きなものだけ食べる幸せ。これを究極と言わずなんという。
早朝から始まった、新潟の日。まだまだ終わりの時は来ません。なので、今回はここで。。。
左はお屋敷の長い長い梁です。廊下のこっち側から向こう側まで一本木です。
右は万代橋。新潟のシンボルですよね。何度か架かる場所は変わったそうです。

