昨日の夜も来ました。このピアノバー
ショーが終わった家人と待ち合わせて、ふらりふらりと立ち寄ったこの場所はとても落ち着いて、素敵な処でした。
昨日のご夫婦が今日もいます。![]()
この時間にいらっしゃるという事は、ショーには行かず、食事を終えてそのままここにいらしたのでしょう。![]()
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昨日はビートルズが主体で演奏していて、ジャズバージョンだったりして聞いてる人たちはみんな肩をゆらゆらさせながら、音に酔っていました。
すると後ろから、ご夫婦と同世代らしい男性がするすると前に出て、音に合わせて踊り出しました。もちろん日本の方です。
そして、件の奥様にそっと手を差し出されると、奥様は少し躊躇ったかとは思ったのですが、軽やかに立ち上がって、その男性とゆるいステップで、楽し気に踊っていらっしゃいました。
ご主人の方は、それをニコニコと見ながら、私には判らないお酒をゆっくりと楽しんでいらっしゃるようでした。
奥様の柔らかなワンピースの裾がひらひらと舞って、大人の夜がすぎていくようでした。私たちは昨日は、お先に帰ったのですが、そのご夫婦はまだ残っていらして、余韻に浸っているようでした。
そして今夜も、ご夫婦は私の席の前に並んでいらっしゃいます。![]()
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席は斜めに設えてあるので、自然と奥様と目があって軽く会釈。
「今日はおひとりですか」と問われて
「はい。主人はショーに毎晩いってるんです。私はさすがに毎晩は疲れるので
こうやってそれぞれの時間を楽しんでます。ショーが終わったらここに来るんですけどね。(笑)」
「そうよね。毎晩は、疲れますよね。」とお互い笑い合っていると、家人がやってきました。
ビアノはまだ始まっていませんが、ご夫婦とは昨日ぶりですから、会釈・・ではすみません。何か喋らないと落ち着かない男です。
「昨日のステップはよかったですね。」
「あらぁ~はずかしいわ」と微笑む奥様とそれをみてやっぱり微笑むご主人は本当に余裕のご夫婦です。
さて、ピアニストさんがおもむろに音合わせし始めると、そそくさと近寄って、携帯を燃せる家人。ピアニストさんは外国人なので、翻訳アプリを見せているのでしょう。
「リクエストしてきた」と、嬉し気な家人。
もともと音楽好きなのです。学生時代は吹奏楽でトランペットを吹いていました。
いまでは家庭内でホラ吹きまくっていますが・・
ちなみに我が家にはトランペットがあります。![]()
暇になったらまた吹きたいからと、購入しましたが、私は家人がトランペットを吹いている姿をまだ一度も見たことがありません。
彼は、我が家の近くの河原で吹くと言って買いましたが、なにかのアニメの見過ぎかと思います。![]()
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河原の近くには家が建ち並んでいますので、そんなことしたらたちまち苦情の嵐です。
ついでにばらしますが、一時期ギターにも嵌まりました。
ヤマハの個人レッスンに熱心に通って、お誕生日プレゼントに初心者には分不相応のギターをプレゼントしましたが、もちとても喜びましたが、勿体ないとずっと練習用ギターで終わらせた「損得の判らないケチ」です。![]()
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不相応なギターも、吹いてもらえないトランペットも、たぶん倉庫と化した彼の部屋のどこかに埋まっているかと思います。アーメン
さて、話は戻って・・
「何しクエストしてきたの? ビートルズ?」
「いや、ビリージョエルのオネスティ。知ってる?」
「知らん。」
「そうだよね。」
・・・何が「そうだよね」なのよ。唯一自分が得意な分野だと思って、大きな顔するわねっ。と思いましたが、ここは黙っておきます。
私は負ける喧嘩はしないことにしております。おかげで百戦百勝ですわ(笑)
ピアニストさんは家人の翻訳アプリを見ながら、満面の笑顔で頷いてくれていました。何曲か私の知らない曲が流れて、そしてリクエスト曲が流れてきました。
「おっ。いいね~」とご満悦の家人。
私たちの会話が漏れていたのか、奥様が振り返って片目瞑って・・あれってウィンクだったのですよね。きっと。![]()
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その夜も楽しかったですが、この話は実は翌日に続きます。
続くので、ここにそのまま続けますが、翌日の昼過ぎにアイスクリームバーに向った私たちは、このご夫婦とばったり。
こんにちわ~とご挨拶してその時初めて知りました。奥様が二本の杖で歩いていらっしゃることを。そして、ご主人がその奥様をいたわる様に、後ろから手を回してそっと支えて歩いていらっしゃるのです。
昨日まで、私たちは奥様がご主人を助けているとばかり思っていました。ご主人の方がかなり年上にお見受けしたのです。
しかも前々夜は、ゆったりとはいえ軽やかなステップで音楽に身を委ねていらしたのです。それをご主人はソファに身を沈めて、体を揺らしながら聞いていたのです。
奥様が杖を使っていらっしゃるなんて、全くの想像外でした。
だからあのご夫婦は音楽好きなのにショーには行かなかったのですね。
・・ショーに行くにはかなりの距離を歩きます。階段の上下もあります。きっと奥様には大変なことではないかと推察されます。
なので、早くからあの場所でゆったりとピアノを楽しむことにしてらしたのですね。
ご夫婦の素敵な思いやりにも感激しましたが、年を取った旅の楽しみはそれなりにあるものだということを実感してそれにも小さな感動を覚えました。
「いいね~。ボクたちもあんな風になれるかな。」
「なれないわよ。第一、あなたは私が杖ついてあなたがフォローすると思ってるのよね。」
「もちろんそうじゃない。」
「アホやない? そんなこと判るわけないじゃない。あなたの方がヨレヨレと寄ってきて私が介護だってあり得るのよ。あなた酒飲みなんだから。」
「いやいや、それはない。絶対ない。」
「なんでよ。私が年上だから?」
「いや、違います。ボクがそうなったてもあなたは絶対介護なんかしない。ボクだけ残して一人でクルーズ行くよ。」
「そうね。そうかも。それいいわね。その時は娘と来るわ。誰か執事はいるもの。」
「やっぱりね」
どう考えても、私たちはあんな美しい夫婦にはなれそうにもありません。
こうして、罵詈雑言撒き散らして、周囲に「仲がいいですねぇ」と言われて
「いいえ~それは誤解ですよ。みせかけ(笑)」なんて言いながら終えるのが妥当です。
それでいいんですけどね。![]()
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いろいろなご夫婦の姿を見ながら、自分たちの未来を慮るのも悪くはありません。
外国人の足の悪い大柄の夫の介添えをする妻の姿を見て、しみじみ
「彼も昔はレディファーストだったのに、今はファーストされる方になったんだね」と家人は失礼なことを言いますが、その姿は決して哀しくはありません。
支える方も支えられる方も、出来る方が出来ることをする。夫婦の歴史の中にはそういう時が繰り返し来たり、バトンタッチの時がきたりすることはあるでしょう。
その時に、逃げたしたり、背を向けたりしないで、言い争っても、罵り合っても、お互いを見失わないようにはしたいものです。
クルーズの旅は楽しいことも教えてくれますが、こんなことも教えてくれます。
今夜もきっといい夢を見られるような気がします。
そして信じられないことに、このクルーズの間毎日一万歩以上歩いているのです。
そりゃあ、毎晩ぐっすり寝れますわ。ではおやすみなさいませ。
明日は「釜山」です。。。

