飯田線もやもや解消の旅 その2・金野駅から始まる「幻の道」 | 駅から駅まで・旅のあしあと

駅から駅まで・旅のあしあと

鉄道路線全ての駅間を歩く全駅間歩きを10年以上続けています。
今は東海~北海道エリアを歩いていますが、目指すは全国全路線全区間踏破!
そんな壮大な目標、たぶん一生レベルでかかるので、長い目で見守っていただけるとうれしいです。
X(Twitter)アカウント:@Oaksky8

 

その1からの続き

 

 

岡谷行きの電車は、

阿南高校の生徒で少し混んでいました。

 

乗車時間短いもんだから、

わざわざ乗務員室の前まで行って切符買ったよ…。

 

 

 

門島から電車に乗ること10分。

次の目的地に到着しました。

 

 

そこは金野駅です。

 

金野駅は飯田線で最も乗降客が少ない駅で、

集落から恐ろしく離れた場所にある秘境駅としても有名です。

飯田線をJR北海道が経営することになったら、真っ先に廃止してしまうことでしょう(汗)。

 

 

それはともかく、

この金野駅へのアプローチは、

泰阜村の金野集落から続く一本道のみといわれています。

 

事実、地図でもそのように描かれていますし、

全駅間歩きで歩いた時も、一本道を使って駅と集落を往復しました。

行きは行程が遅れ気味で焦っていましたし、帰りは帰りで疲れた身体に登りが堪えました。

「飯田線全駅間歩き2」その9および最終回参照 )

 

次の千代駅までは鉄道距離だとたったの1.2km。

しかしこちらは高低差300メートル強をこなして、8km以上もの大迂回を強いられました。

なんでこんな大回りをしなきゃいけないのかと恨んだものです。

 

 

ところが、全駅間歩きをブログにまとめるにあたって、

旧版地形図を調べてみたところ、とんでもない事実が発覚したのです。

 

それは…

 

(内務省地理調査所発行5万分の1地形図「時又」(昭和8年修正測量・昭和21年発行、一部)を拡大)

 

金野駅と千代駅を

直結する道があったんです!

 

もちろん、今の地形図にはそんな道は描かれていません。

80年以上の時間のどこかで消えて無くなってしまったようです。

 

 

…となると、その道は今はどうなっているのでしょうか。

 

全駅間歩きの時にこの話をちらっといれたところ、

コメントで「その道は線路をくぐった少し先で終わっている」という話を聞いたので、

行けるところまで行ってみたいとずっと思っていました。

 

 

もやもや解消第二弾。

今回は金野駅から始まる「幻の道」を探ってみたいと思います。

 

 

 

金野駅の階段の隣に、こんな「道」が延びています。

これが今回取り上げる「幻の道」の入口です。

 

現在の地図には描かれていない道なので、

気にしている人は意外と少ないかもしれません。

 

 

 

「幻の道」というわりには、歩ける程度に整備されています。

前もこんなんだったっけなぁ…?

 

 

 

よく見ると、地面には雑草の切り株が残っています。

最近雑草を刈って、まともに歩ける道にしたようです。

 

 

 

そんな道を少し歩くと、こんな場所に出ました。

かつて存在したという道は、金野駅の先で飯田線をアンダークロスしていますが、

それはどうやらこの場所のようです。

 

つまり、「幻の道」はこの先へ続いているわけです。

ここからして、すでにちょっと怪しい雰囲気が漂っていますが。

 

 

 

飯田線をアンダークロスすると、雑草が増えました。

草刈りしてないとそんな感じなんでしょう。

 

でも、このあたりはまだ道っぽい感じがします。

 

 

…ところが、

 

 

木陰を抜けると、こんな光景が待っていました。

 

 

…もはや、道じゃ無いよ。

 

 

 

木々の間を抜け、道っぽい場所を探しながら歩くと、線路端に出ました。

背丈を超えるような雑草に行く手を阻まれました。

 

それでも段差はなく、アップダウンもなめらかに進めるということは、

道があった場所を歩いているということなんでしょうか。

 

 

 

ふたたび日陰に入ると、雑草地獄から少し解放されました。

それでもこんな感じなんですが。

 

 

 

コンクリ壁にへばりつくように歩きました。

左手のコンクリ壁の向こうには線路があるわけですが、

日影とはいえ、コンクリ壁から木々が生えてる場所までは少し空間があります。

 

 

 

さらに少し進むと水音が聞こえてきて、

まもなく小さな滝を渡りました。

 

渡る時に誤って小石を落としてしまったのですが、

「カーン」と乾いた音を立てて、一気に下まで落ちていきました。

恐らく天竜川まで続いている滝なんでしょう。

 

 

 

この滝、なかなかハードな場所にあります。

写真の右は飯田線のコンクリ壁で、滝を横切る部分の足場は靴一足分くらいしかありません。

下手に足を乗せて崩れたら一大事なので、半ば飛び越えるように渡りました。

 

 

 

滝の先にも人ひとり分くらいの空間がありました。

 

 

 

右手を見ると、大きな石が敷き詰められていました。

上の写真と併せて考えると、自然にできたものではないような気がします。

 

 

つまり、ここはやはり道だったんだと思います。

先に道ができて、併走するように飯田線が敷設された。

並行する道は車が通行できないために使われなくなった。

さらに時が進み、土砂崩れ対策を施すことになり、歩道を削ってコンクリ壁を作った…。

そんな感じでしょうか。あくまで推測ですけど。

 

 

道はまだ続いていましたが、

なんとなく息苦しさを覚えたので、

これ以上先には進まず、引き返すことにしました。

 

 

 

少し高台から金野駅の方向を撮ってみました。

 

…もはや単なる藪の中ですね。

 

 

 

今度はコンクリ壁の隙間から撮った天竜川。

 

 

 

飯田線とのアンダークロス地点まで戻ってきました。

こう見ると、なかなか絵になりますね。

 

 

実は、このアンダークロスの先はT字路になっています。

まだ少し時間があるので、突き当たりを右に進んでみることにしました。

 

 

先ほどの藪に比べれば、

こちらはしっかり整備されていて、歩きやすい道でした。

 

 

 

道なりに進むと、少しずつ高度を下げていきました。

 

 

そして、その先には…

 

 

天竜川の支流・米川が流れていました。

頭の中では久石譲の「Summer」が流れていました。

 

 

しばし河原に腰を下ろし、

この景色を独り占めしました。

 

 

 

猛暑のせいか、川の水も少しぬるいような気がしました。

 

 

金野駅からここまでの道が「整備」されたのは、

この河原を楽しんでもらうためなのかもしれませんね。

 

腰を下ろしている間に「飯田線秘境駅号」が金野駅に着いたようですが、

ここにいれば、そんな喧噪とは全く無縁です。

 

 

 

 

列車の時間が迫ってきたので、

金野駅へと戻りました。

 

 

まもなく、豊橋行きの普通列車が到着しました。

次の目的地まではここから40分あまりです。

 

 

(その3へ続く)