いすみ鉄道全駅間歩き その4・「ムーミン谷」の夕暮れ | 駅から駅まで・旅のあしあと

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鉄道路線全ての駅間を歩く全駅間歩きを10年以上続けています。
今は東海~北海道エリアを歩いていますが、目指すは全国全路線全区間踏破!
そんな壮大な目標、たぶん一生レベルでかかるので、長い目で見守っていただけるとうれしいです。
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その3からの続き

-東総元(15:28)-久我原(15:50着・16:07発)-総元(16:30着・16:40発)-
-西畑(17:25着・17:40発)-上総中野(18:03着)

 



久我原駅へ向かうために国道を外れました。

 

 

 


切り通しの先は、人里離れた山奥のような景色が広がっていました。




この道で正しいんだろうかと不安に駆られながら進むと、
1軒の民家が現れ、まもなく久我原駅への分岐点にさしかかりました。
正直なところ、分岐点付近は以前来た時よりも開かれているような気がしました。


この梅の木が咲く先に、久我原駅が待っています。




久我原駅に着きました。
集落からは少し離れているため、千葉県の秘境駅とも呼ばれています。

 

 

 


ホームは単式。
列車を待つ人の姿はなく、時間が止まっているようでした。
近くの木でカッコウが鳴いていたので、口笛で鳴き返してみました。




久我原駅の先で大多喜バイパスに合流して、夷隅川を渡りました。
再び線路まで戻ると、線路はその先で大きく右にカーブを切っていました。
夷隅川はここから南へ向かうため、夷隅川を渡るのはこれが最後です。

 

 

 

次の駅はもうすぐそこです。




総元(ふさもと)駅に着きました。
「小湊鐵道未成線歩き」のときは慌ただしく出発しましたが、今日は待合室のベンチで一休み。
 

 

 

こちらもホームは単式。
ちょうど西陽が差し込み、駅舎が輝いていました。
ここまで来れば、ゴールまでもう少しです。




次の駅へ向かうために国道を歩いていると、親子連れの観光客から呼び止められました。

「このあたりに、沈下橋ってありませんか?」


沈下橋といえば、通常時は顔を出しているものの、大水になったら水没する橋のことで、
高知県の四万十川などに架かるものが有名です。

そんなものがこのあたりに架かっているなんて聞いたことも無く、反射的に
「いやぁ、知らないですねぇ」
と答えてしまいました。


とはいえ、実は答えた直後から引っかかるものがありました。
そう、東総元駅で見たアレです。

トラクターが水量豊富な夷隅川を越えてるとすれば、
そこに沈下橋か何かが架かっていないと説明できません。
実際見に行ったわけじゃないけど、河原を強引に横断しているとは考えにくいわけで。

仮に間違ってたとしても、その話をしておくべきだったかな…。


さて、こちらはまたも国道を外れ、
沈下橋ではない普通の橋を渡り、線路の南側に出ました。




今歩いている道はそのまま進めば、西畑駅まで続く町道に突き当たるのですが、
突き当たりの一つ手前の道を歩いてみることにしました。

地図上ではしっかりした道のように描かれていますが、
未舗装&落葉山積&ぬかるみ有りという、なかなか素敵な凄まじい道でした。
でも、渓谷地帯のような景色に出会うと、こっちを歩いて良かったと思うものです。




もう一度踏切を越えても、こんな道が続きます。




谷間に広がる、日本の原風景です。




道幅の広い町道と合流し、歩くこと約10分。
踏切の先に西畑駅が見えてきました。

この道路を通るバスは1日2本のみ。
それでも、駅前のバス停には雨よけの庇がついていました。
西畑駅から乗り継ぐ人か、駅近くの小学校に通う子どもが利用しているのでしょう。




西畑駅に着きました。
日没時間を迎え、周囲は少し暗くなってきました。

 

 

 

カーブの途中に単式ホームがあります。
さっきまで歩いていて暑いくらいだったのですが、急に冷えてきました。




いよいよ最後の駅間です。
歩道が無いと思って、ヘッドライト&テールランプ装備で歩き始めたのですが、
上総中野の集落に入るまで、しっかりした歩道が設置されていました。

終着駅が間近に迫る頃には、すっかり暗くなっていました。

 

 


ゴール駅・上総中野駅に着きました。
このブログでも何度か登場した上総中野駅ですが、
意外なことに「全駅間歩き」で来たのは、これが初めてだったりします。

 

 

 

いすみ鉄道はここ上総中野駅が終点ですが、
駅名標には小湊鐵道の養老渓谷駅の名前も入っていました。





ホームには、すでに帰りの列車が止まっていました。
暗闇に包まれゆく中、列車は静かに発車時刻を待っていました。



18時24分。帰りの列車は上総中野駅を後にしました。
小湊鐵道線の列車と接続したにもかかわらず、乗客は大多喜まで自分一人でした。


印象的だったのは、ある駅に着いたときのこと。
向かいに座っていた学生が窓を開けると、外にいた別の学生に何かを手渡していた。
忘れ物なのか、物の貸し借りなのか、それは分からない。
渡し終えると、列車は静かに出発した。

ありふれているようで、なかなか見ることができない光景だと思います。
でもそれが「ありのまま」のいすみ鉄道なんじゃないかと。




上総中野駅から50分ほどで大原駅に着きました。
長いようであっという間だった「ムーミン谷」の冒険は終わりました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
 


(おわり)


2月28日(土)  歩行区間:大原-上総中野  天気:晴れ  日出時刻/6:10 日没時刻/17:34
鉄道距離:26.8km  歩行距離:37.1km  総歩数:54,257歩  所要時間:10時間13分

蘇我(6:36発)=229M=上総一ノ宮(7:19着・7:22発)=2229M=大原(7:39着・7:50発)-2.3km-
-西大原(8:19)-5.1km-上総東(9:24着・9:40発)-3.9km-新田野(10:25)-2.0km-
-国吉(10:49着・11:00発)-4.8km-上総中川(12:07着・12:20発)-3.4km-城見ヶ丘(12:59)-
-1.6km-大多喜(13:35着・14:15発)-3.3km-小谷松(14:58着・15:10発)-1.6km-東総元(15:28)-
-1.7km-久我原(15:50着・16:07発)-2.1km-総元(16:30着・16:40発)-3.7km-
-西畑(17:25着・17:40発)-1.6km-上総中野(18:03着・18:25発)=70D=大原(19:15着・19:33発)=294M=



小谷松駅から上総中野駅までのGPSログです(1/54,000)。

ちなみに、前回の最後で振るだけ振って見に行かなかった謎の橋(?)に向かうためには、
全駅間歩きルート同様、東総元駅を出て(久我原寄りの)最初の角を左折します。
具体的な場所については、こちらからどうぞ。


 
全行程のGPSログです(1/185,000)。
大多喜までは小高い丘に囲まれた田園地帯を進むような感じですが、
後半は谷が狭まり、山がちな区間に変わります。
いすみ鉄道は、野も山も楽しめる贅沢なローカル線です。



 
全区間の標高データです。
西大原-上総東の峠越えを除けば、大多喜の先まで標高に大きな変化はありませんが、
終盤はじょじょに高度を上げている様子が分かります。

え?思ったほど上ってないって??
実は、千葉県最高所の駅(上総亀山駅@久留里線)でも標高は100メートル弱しかありません。
千葉県の内陸部って、標高の割に周囲がずいぶん山深くなるんで、
周囲の景色だけ見てると、ずいぶん高いところまで来たと錯覚してしまいます。