中央線全駅間歩き3(上野原-笹子) その3・スイッチバックの遺構を巡る | 駅から駅まで・旅のあしあと

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鉄道路線全ての駅間を歩く全駅間歩きを10年以上続けています。
今は東海~北海道エリアを歩いていますが、目指すは全国全路線全区間踏破!
そんな壮大な目標、たぶん一生レベルでかかるので、長い目で見守っていただけるとうれしいです。
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その2からの続き

 

-大月(13:45発)-初狩(15:09着・15:30発)-笹子(17:11着)

 


大月駅を後にして、国道20号に沿ってさらに西へ進みます。

大月駅を出てしばらくの間は、大月の中心市街を歩きます。

富士急行線の上大月駅を横目に見ると、まもなく桂川を渡ります。

 

 

 

大月橋から撮った桂川です。

桂川は大月市街の西で南に向きを変え、中央本線から離れていきます。
ここから先は、桂川の支流・笹子川に沿って歩くことになります。

 

橋の上では、南西からの強い風が吹き荒れていました。

周囲の木々は激しく揺れ、南西に足を進めるつもりで歩かないとまっすぐ歩けませんでした。

 




大月橋から1kmほど進むと、古い建物を見かけるようになりました。

甲州街道・花咲宿にさしかかりました。

 

 

 

こちらは甲州街道・花咲宿の本陣だった建物、星野家住宅です。

内部も公開されているのですが、残念ながら今日は臨時休業でした。

 

 

 

このあたりは、中央道大月インターの近くで、周囲にはロードサイド店舗が建ち並んでいます。

 

 

 

風はよりいっそう強くなってきました。

足をすくわれるような突風が吹きつけ、思わずよろけてしまいました。

 

左手を中央本線の列車が通り過ぎていきましたが、

やけにのんびりした速度で走っています。

 

 

 

道は緩やかに登っているようです。

 

 

 

風は谷間に沿って吹く向かい風。

押し返されるような感覚になりました。

 

 

 

緩い登り坂と強い向かい風に苦しめられること約1時間、ようやく初狩の集落に到着しました。

 

 

 

初狩駅に着きました。

この駅間を歩いただけで、なんだか10km以上休みなしで歩き通したように疲れてしまいました。

 

 

 

ホームは1面2線の島式…ですが、

このあたりの駅にはなかなか無い、面白い特徴があります。

 

 

 

この駅では、駅舎からホームに行くために、何本もの線路を越えていくことになるのです。

しかもこの線路には渡り板はあるのですが、踏切設備はありません。

 

この線路は貨物列車の引込線です。

もっとも、今はあまり使われていないようですが。

 

 

 

中央本線が通過する線路まで越えるわけではないので、

列車に轢かれる心配はほとんどありません。

 

 

 

実は、この初狩駅はスイッチバック構造をもった駅で、

今でも、写真正面の山からとれるバラストを輸送する列車が

このスイッチバックを利用しているそうです。

 

 

 

上の写真の反対側。

かつては旅客列車もこの駅でスイッチバックしていたそうで、

こちら側にホームが設けられていたそうです。

 

現在のホームは、勾配上の本線に設けられています。


 


初狩駅に着いた時、すでに初狩-笹子間で25km/h以下の速度規制がかかっていました。

それだけの強さの風(しかも、ずっと向かい風)が吹く中、ここまで歩いてきたわけです。

 

そして、ひときわ強い風が吹いてまもなく、大月-笹子間で運転見合わせとなりました。

運転見合わせは10分程度で解除されましたが、

その後通過した特急列車は歩くような遅さで初狩駅を通過していきました。

 

 

 

初狩駅から南へ歩いてみました。

これもスイッチバック線の跡…のはず。

 

 

 

5~10分ほど歩くと、谷を横切る高架橋が現れました。

これは、リニアモーターカー試験線の高架橋です。

残念ながら、高架橋はシェルターで完全に覆われているため、

リニアモーターカーが通過する姿を見ることはできません。

 

 

 

さて、最後の駅間歩きに入ります。

まずは国道20号へ戻ります。

 

 

 

国道20号に戻り、今日最後の駅間歩きに入りました。

初狩集落の中心付近ですが、どことなく鄙びた雰囲気ですね。

 

 

 

初狩集落を過ぎると、道は緩い上り坂を西へと進みます。

相変わらず強い風が吹いていましたが、大月-初狩間を歩いたときほどではありませんでした。

横を走る列車も所定の速度に戻ったようです。

 

だけど、ずっと向かい風なのは、やっぱ厳しい!


 

 

甲州街道最大の難所といわれる笹子峠が徐々に近づくこの区間ですが、

駅間にも集落が点在し、歩道がなくなる区間はごく一部でした。

 

 

 

でも、この国道で歩道が無くなるのは緊張感高い。

 

 

 

笹子の集落が近づく頃には、陽もだいぶん傾いてきました。

傾く陽を正面に見ながら進むので、とてもまぶしかったです。

 

 

 

笹子駅の近くにある、「酒遊館」に寄り道してみました。

ここでは、笹一酒造で作られる各種日本酒のほか、あんの中に酒麹が入った蔵酒まんや、

大月名物・笹子餅をはじめとした山梨県の土産物などが販売されていました。

いろいろな土産物を扱っているため、観光バスも結構出入りするようです。

 

この酒遊館の入口近くには、巨大な和太鼓が展示されています。

これは「世界平和太鼓」という和太鼓で、直径は4.8メートルもあり、

ギネスブック認定、世界最大の大きさを誇る太鼓なんだそうです。

さらにこの和太鼓、実際に使うことはもちろん、分割して移動することもできるそうです。

 

和太鼓の前には、どういうわけか「北斗の拳」のラオウがいました。

 

 

 

ゴールの笹子駅まであと少しです。

 

 

 

笹子のお土産といえば、やっぱり笹子餅です。

笹子餅を製造する「みどりや」さんも、笹子駅近くにあるので行ってみました。

お土産に10個入りの笹子餅を買いましたが、あっという間に無くなってしまいました。

食べるのに夢中になるあまり、写真撮るのも忘れそうになって…(言い訳)。

 

 

 

笹子駅はすぐ目の前です。

電車で笹子駅近くを通りかかったことがある方は、気づいている方もいると思いますが、

笹子駅には通常のホームのほかに、列車1両が止まれるくらいの小さな「ホーム」があります。

 

実は、この小さな「ホーム」は「笹子設備トレーニングセンター」というJRの研修施設の一部分です。

通常のホームからもう一つの「ホーム」を眺めると、その様子がよく分かります。


 

 

笹子駅に着きました。

笹子駅は、コンクリート造の駅舎を備えていますが、今は無人駅です。

この先には笹子峠が控えていますが、今日はここがゴールです。

 

 

 

ホームは1面2線の島式です。

笹子駅もかつてはスイッチバック方式の駅で、

先に触れた研修施設はスイッチバックの跡を一部利用しています。

 

 

 

上野原駅から35km程度の道のりでしたが、

強い風と上り坂のせいで50kmくらい歩いたように疲れてしまいました。

 

日没時間迫る17時36分、帰りの立川行き普通列車が入ってきました。

昼間はあれだけダイヤが乱れていたのに、もう遅れはなくなっていました。


 

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

 

次回(笹子~塩山) へ続く)


 


駅から駅まで・旅のあしあと

大月インター付近から笹子駅までのGPSログです。

初狩駅周辺でウロウロした時以外は、国道20号に沿って歩いています。

 


駅から駅まで・旅のあしあと

GPSログの標高データ(全区間)です。

極端に標高が下がっている場所はデータの誤り(実際より低い値が出た)と思われます。

20km付近で突出しているのは、「パストラルびゅう桂台」に登った時なので、間違いではなさそうです。

 

実感としてずっと登っているとは思いましたが、400メートル以上登っていたとは思いませんでした。

後半、登りが顕著になったと思いましたが、大月以降の区間は前半よりも登りが急になっていました。

データとして目に見える形になると、わかりやすいですね。