
11月14日にベルリンフィル2023年日本公演の最初の演奏会が高松で開催された。
前回ベルリンフィルを聴いたのは、コロナ前の2019年大阪フェスティバルホール(メータ指揮)。
今回は常任指揮者キリルペトレンコの初来日ということで非常に期待して聴きに行った。
演奏についての感想などはまた後日に。
演奏に先立って半日時間があったので、演奏会場に隣接している高松城址を訪ねた。
(実際は、高松城の敷地内にコンサートホールが造られているのだが。)
瀬戸内海に接した立地ということで堀には海水が入ってきており、真鯛や黒鯛等が泳いでいた。
2日目は屋島麓の四国村に行った後、フェリーで1時間の小豆島へ渡った。
小豆島は初めてだったがエンジェルロードという観光地がありそのすぐ前のホテルに宿泊した。
部屋は7階でがエンジェルロードに最も近い部屋だった。

ネットの予測では15時46分に島と陸続きになる筈だが何時まで経っても水が引かず渡れない。
多くの人が長い時間待っているのを部屋から見ていたが17時頃日が沈みそうになってきたので下へ降りた。
20分位待って多少靴が濡れるのを覚悟して渡って帰ってきた。慎重な人が多く、帰る時でもまだ待機していた。。。

3日目は定期観光バスで寒霞渓や二十四の瞳映画村などを観光した。
寒霞渓では頂上からロープウェイに乗り紅葉を見たが紅葉の色合いが鮮やかではない。少し早いのと暑い夏の影響か?

3日とも傘要らずいい天気でいい旅が出来た。
BWV996はバッハがLautenwerckの為に作曲したもので色々な楽器用に編曲されている。
クラシックギター界ではリュート組曲第1番と呼ばれているがあまり適切とは言えないだろう。
ファクシミリは五線譜で書かれており、そのままTAB譜に書き直してもバロックリュートでは弾けないので演奏家の方々が編曲したTAB譜が出版されている。
クラシックギターで弾く場合は音域や弦の数の制約を受けるのでは編曲にはかなりの妥協が必要となる。
この曲は単なるプレリュードとは異なり、後半はfughettaになっている。
このフゲッタ部をバロックリュートで弾くのが非常に難しく、今まで弾いてきた曲の中で最も技術的に困難であった。
もう少し速めのテンポで弾きたいところだが私にはこれが精一杯。
https://youtu.be/TS3niYt1duE

ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲
ヒラリー・ハーン オロスコ・エストラーダ(指揮) フランクフルト放送交響楽団
録音:2021年4月 フランクフルト、ヘッセン放送ゼンデザール セッション録音、1CD
ヒラリー・ハーンは今まで良い録音に巡り会えてない印象がありヴァイオリンの音がきつく聴こえることが多かった。強めのタッチの力強い弾き方や使用している楽器が関係しているのかもしれないが、今回の録音はドイツグラモフォンらしいいぶし銀のおちついた音だ。
(話が逸れるが、「強めのタッチの力強い弾き方」と思われる神尾真由子の録音もきつく聴こえることが多かったが最新録音のバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタ、パルティータでは素晴らしい音だ。最新録音技術の勝利だろう。コンサートでチャイコフスキーの協奏曲を聴いた時の音が聴けた。)
新進のエストラーダ率いるフランクフルト放送交響楽団の響きも好感が持てる音で聴くことができる。
この曲では、ムターとベルリンフィルの録音もボヘミア風テーマの表現など感動的な演奏だが録音が少し古くなってしまった。
ハタハタ館から五能線、奥羽本線に乗って鷹巣へ。鷹巣から角館まで運行している秋田内陸鉄道に乗る。
観光路線として人気がある路線だ。カラフルな観光列車も走っている。

普通列車で阿仁マタギ駅に向かう。

送迎バス5分ほどで宿泊するマタギの湯に到着。

部屋からは昔懐かしい田舎の風景が。桜も少し咲いている。

次の日は秋田内陸鉄道で角館に向かい、武家屋敷を見学したり葉桜になった土手を歩く。
その後30分ほど送迎バスに乗って、夏瀬温泉都わすれという人気の宿に向かう。
周りには家も宿泊施設もないポツント宿で、乳頭温泉の妙の湯の名物女将が作ったホテル。
10室の客室にはかけ流しの露天風呂が付いている。

中庭は桜が見頃でゆったりと食後のコーヒーを頂いた。背後の山の新緑もパステル画のように奇麗だった。

チェックアウトは11時だったので少し散策して渓谷を見に行った。玉川温泉から流れてきているそうで水がコバルトブルー。

5泊6日の旅だったが観光したり親戚の人たちと歓談したり有意義な時間を過ごすことが出来た。
ゴールデンウィーク直前に花見に出かけた。半年も前に予約をしていたので桜は葉桜になっていたのが多かったが。
今回は神戸空港から青森空港までFDAの小型機で行ったが快適でまた利用したいと思った。
片道が9千円で新幹線よりは安く速い。キャンセルや変更は難しいがメリットは大きかった。
青森駅には15時前についたので徒歩で青函連絡船八甲田丸見学に行き、そのすぐ前にある津軽海峡冬景色の歌碑へ。
センサーで自動的に曲が流れるのでしばし口ずさむ。

次に近くにある「ねぶたの家ワ-ラッセ」でねぶたなどを見学。
北村麻子さん2022年製作の「琉球開闢神話」と拡大写真


次の日は弘前城さくら祭りへ
弘前城は石垣を修理する際移動させて実施したがそれほどコンパクトな天守だ。
遠くには雪の残る岩木山を望むことが出来る。

岩木山はスカイラインとロープウェイで9合目まで行けて眺めも素晴らしいそうなのでまた訪ねてみたい。

次に奥羽本線と五能線であきた白神へ行き駅前の温泉宿ハタハタ館に宿泊した。
部屋からは快晴の青空の元、珍しく穏やかで島の見えない日本海の風景が印象的だった。

(続く)
BWV1009全曲録音プロジェクトは、5曲目のブーレを録音した。
この曲は私にとって最も重要で思い出深い曲だ。最初に弾いたのはクラシックギターで大学時代、今から57年前。
当時は現在のようにネットでなんでも分かる時代とは違い、電気科の私には楽譜以外何の情報も無かった。
セゴビアの編曲を再編したと思われる楽譜を当時は何の疑問も持たずにそのまま弾いていたが解釈も運指も??
とにかく一生懸命練習して、京都会館第2ホールで開催された大学のギタークラブ定期演奏会で独奏した。
ところがここで一生忘れられない事件が;;;;
聴衆は千名近くいただろうがスポットライトを浴びていたので暗黒の空間で一人ぽつんと弾いている異様な感覚。
終盤に入ったところで止まってしまいやり直してもまた止まる。少し戻って弾き直して何とか最後まで。
アンケートに、「・・さんの演奏はバッハとは違う」とあり当時は意味が分からなかったが今になって納得。
バロックリュートに転向した今もあの時の事は鮮明に思い出すし、大きな糧になっていると思う。
当時よりは勉強したつもりだがやはりバッハもバロックリュートも難しい。
https://youtu.be/zMZEIIDh8zU
BWV1009全曲録音プロジェクトは少し間が空いたが、第4弾は第6曲のGigueを録音した。
この曲はクラシックギターでは録音したことがあるがバロックリュートでは何故か初めて。
リュートで弾くほうが楽な曲も結構あるのだが、この曲はギターのほうが楽だったと思う。
https://youtu.be/WRMwzTVf2PE

4月21日のCDリリースに先立って演奏を聴くことが出来た。
以下、「前作」は「BACH ON THE LUTE 1-4(1993-1996)」を、「今回」は「BACH ON THE LUTE 5-6(2022)」を指す。この間30年近くの歳月が経過している。
CD収録曲
前作は、無伴奏チェロ組曲(BWV1007-1012)と無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータ(BWV1001-1006)のリュート版
今回は、Bachのリュート作品とされているBWV995,996,997,998,999,1000,1006a 他
楽器について
前作が、Thomas Neitzert 1986のジャーマンテオルボ、今回は、Lars Jönssonのバスライダータイプ。
弦は写真から推測すると、前作では、高音がナイロン、フロロカーボン、低音は巻弦という当時主流の弦と思われる。
今回は、高音はAquila社のナイルガット弦、低音もAquila社のCD弦と思われる。
音色について
前作では低音弦が巻弦だったので残響時間が長いが、今回はCD弦なのでガット弦に近い自然な感じの低音が聴ける。
今回は高音についてもナイルガット主体と思われガット弦に近い音が聴ける。
演奏について
予想に違わず素晴らしいもので従来からの巧みなテンポの揺らぎによる繊細な表現が健在。
前作では若干派手と思われるアーティキュレーションで、聴けばNigelの演奏とすぐ分かった。
今回は円熟味を加えてこれぞBACHという域に。逆に誰の演奏かは聴いただけでは分からなくなった。
テンポについて
同等の曲であるBWV1000,BWV995,BWV1006aの13曲について演奏時間をもとにテンポを比較してみた。
(BWV1000はBWV1001のFugueよりも2小節多いが、無視できる程度)
BWV995のSarabandeとBWV1006aのLoure以外は、以前の演奏に比べてテンポが0.8~0.93倍と遅くなっている。
Sarabandeはベルリンの壁が崩壊した時にロストロポーヴィチが弾いた曲だが少し速くなっている。Loureは同テンポ。
前作の演奏は結構速くそれが非常に刺激的で大きな魅力にもなっていた。
今回の演奏は自然なテンポで気持ちよく聴くことが出来る。
指揮者の場合でもよくある傾向だが年齢を重ねて円熟の境地に至りじっくりと聴かせるべくテンポも遅めでと。
録音について
今回は、最新の機器と技術で行われたと思われ非常にクリアだがマイルドさも感じる優秀なもの。
楽器の大きさや距離感も好ましく表現されている。
私はBWV1001-1006やBWV1007-1012のトランスクリプションが好きでBWV995-1006aはあまり弾いてなかった。しかしながら今回の演奏を聴いて少し勉強してみようかという気になった。
BWV1009全曲録音プロジェクトだが、第3弾は第4曲のSarabandeを録音した。
まだ音楽部屋は寒くて指が速く動きにくいのでゆっくりした曲を先にもってきた次第。
残りは3曲は、クーラント、ブーレ、ジーグという速い曲ばかりになってしまったが。。
https://youtu.be/ICTWwaAGIbc
新年から始めたBWV1009全曲録音プロジェクトだが、正月のAllemandeに続いて第1曲のPreludeを録音した。
Allemandeと順番が逆になったが、順に聴いてみると自然につながって聴こえたのでまあ良いかな。。
https://youtu.be/jW-yoTlYPM0
プレリュードは9年前に録音していたが、今聞き直してみると隔世の感がある。
低音が巻弦だったので残響が長すぎて聴きずらいが今よりずっと速いテンポで弾いていた。やはり当時のほうが指が良く動いていたのだろう。もう一つは、当時メトロノームのように一定のテンポで弾いていたから速い。
今は、最初はメトロノームで弾けるまで練習し、その後は自分のアーティキュレーション、フレージングで練習を重ねるだけ。
でも今でもよく分からないのが、弾いている時に聴いている演奏と録音したものを聴いてみた時のギャップの大きいこと。
強弱やテンポの変化を付けたつもりでもその何分の一しか付いてない。非常に速く弾いているつもりでも聴いてみるとゆっくりとか・・ (プロの演奏ではゆったり弾いているようでも演奏時間は予想よりずっと短い)
音楽とはなんと奥深く不可解なものだろうか。