更新料裁判判決で思う事。
おはようございます。下條です。
昨日更新料裁判の判決がでましたね。
今日は、大家さんや不動産投資家さんでない人も、賃貸に住んでる方、その予定があるかたなら、ちょっと関心を持って読んで見て下さい。
少し長いですが、頑張ってついてきてくださいね。
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まず、賃貸住宅業界以外の方は、どう言う裁判なのかよく分からないと思うので、かんたんに説明させて頂きますね。
「更新料裁判」とは、ものすごくかんたんに説明すると、「更新料は有効か?無効か?」と言う事です。
一般的に東京の場合、部屋を借りて2年すると、住み続けるならば契約を「更新」します。その際に「更新料」として家賃の1カ月分を貸主に払います。(この「更新料」が何カ月分なのかは、地域性があります。)
皆さんもお部屋を借りていて「更新」した経験ありませんか?
この「更新料」が「消費者の利益を一方的に害するもの」として争われていました。
そして、昨日の最高裁判所の判決は「有効」。つまり、大家さんが「更新料を頂くことは違法ではない」との判断が下された訳です。
ここから、ガラッと話が変わります。
例えば、DVDレンタルのお店で映画のDVDを借りようと思っていたら、会員証の期限が切れていたことはありませんか?私は何回かあります。
たぶん、数百円で新しく更新できた記憶があります。
ただ、よくよく考えれば、更新するのに、ちょっと名前等を書いて、新しいカードを発行するのに数百円払うのは、本当にそんなにコストがかかるのか?と言えばたぶん、システムの維持費を考えてもかからないんではないでしょうか。あくまでも推測です。
「いやいや、下條、万単位の更新料と数百円の更新料を比べないでくれ」と、おっしゃるかもしれません。
ただ、全国チェーンのDVDショップで数百円を数百万人から集めたら、どれくらいの金額になるかは、かんたんに想像がつきます。
だからって払わないか?と言われたら払います。
上記はあくまでも一例ですが、もし、今日の裁判で「更新料は取ってはいけない」との判決がおりたら、極論を言えば「不透明な料金」は全てが対象になる可能性があります。
これは、賃貸業界だけの話ではなく、あらゆる業界の商習慣から「不透明な料金」を取り戻そうと言うことも可能だと言えるのだと思います。
きっと、この記事を読んでいる方の業界でも「○○料」みたいな「良く分からない料金」を普通に入れて見積書を作成した方も、少なからずいるんではないでしょうか?
ここから、話が戻ります。
もし、先ほどの大手DVDレンタル店と同じサービスを受けられるライバル会社(店)があって、そちらは永遠に更新料が無料だったら、みなさんは「お得」だと思いませんか?
私が経営者なら、「永遠に更新料無料」も拡販の選択肢の一つに考えるかもしれません。
その代わり、ここで利益が減る分、何かしらの対策ももちろん考えます。
会社として、最終的に利益が同じ以上であればいい訳ですから、「顧客目線で一番利用し易い」施策をとるでしょう。
ここからは、私個人の意見です。賛否はあるかと思いますが、一個人のつぶやきと思って聞いてください。
経営者は事業全体での最終的な利益がいくら残るのか?と言う事を考えます。
別の言い方をすると、最終的に顧客から最大限の支持されるような戦術を展開しています。
今回「更新用は有効」との判決がくだされましたが、それは最高裁判所が「更新料を取りなさい」と言っている訳では決してありません。
例えば、一戸建てを購入した時の住宅ローンであれば、借りる方は、最初や払える時ににたくさん払って、後は少しづつの方が良い方もいるだろうし、毎月同じ額だけ払いたいと言う人もいるでしょう。
買い物時のクレジットカードに言い換えれば、一括がいい人、ボーナス併用したい人、リボがいい人などたくさん選択肢があった方がいいはずです。
ですから、大家さんは契約期間全体の金額で、経営が成り立つかそうでないかを、考える経営者なのですから、「不透明な料金」でお客さまに誤解を招くようなやり方を選択するよりは、「透明性」を重視したり顧客目線で「選択肢を多く用意する」ことで顧客に支持された方が、よっぽど経営者としてあるべき姿なのではないか?と私は思います。
もちろん、中には「更新料」として払いたいと言う人もいるかもしれません。
私はある事情で、昨年から大家になったばかりです。
ですから、大家さんでない「普通の方々」が大家さんにどんなイメージを持っているのか、大体想像がつきます。
例えば、「不労収入者」「大金持ち」「かんたんな仕事」etc
私も同じように思っていたので、皆さんがそう思う気持ちは良く分かります。
そして、実際そのような時代があったのも事実のようです。
でも、実際大家業に取り組むと、その真逆であることも多々あるのだと感じます。
●「不労収入者」になれるなら、なぜ(大資本・海外資本も含めて)皆やらない?
●「大金持ち」ではあるけれど、「大借金持ち」でもあります。サラリーマンと一桁違う収入を得る可能性がある半面、全てを失って一生借金を払い続ける人生が待っているかもしれません。
●「かんたんな仕事」ならば、なぜ世の中の「5部屋に1部屋」は空室なのか?しかも、今後空室率はさらにうなぎ上りになると言うデータもあります。
この1年間んで多くの大家さん達にお会いしました。そしてこの業界のことも少なからず学びました。
私の感想は、まだまだ未成熟な業界で、古い慣習の中のみで経営を行い、そこから生まれる偏見に耐えながら、じっと我慢して事業を行っている。今後ジリ貧になるのが分かっていながら・・・そんな所が大家さん達の現状です。
ですから「吊るしあげる者」として「大家さん」は絶好の存在です。だって、耐えてるだけなのだから。
私だったら、そんな馬鹿げた「古いやり方」は捨てて、顧客とともに素敵な新しいルールを作り上げて行きたいと思ってしまいます。
だって、大家さんが吊るしあげられて、最終的に困るのは顧客である住人の方々です。住環境が悪化する、住む所の選択肢が少なくなる、家賃が上がって行く。これは最悪の事態です。
私も賃貸マンションに住む一住人でもある訳ですから、勘弁して欲しいです。
そんなことにならないように、私は以下のような事をしています。
ご興味がある方はコチラ↓の2つのホームページを覗いてみてくださいね!
行動する大家さんの会
全国大家ネットワーク
大家さんと住人の方は決して、対立する存在になるべきではありません。
これは、どんな業界でも言えることです。
企業やお店、つまり提供者と消費者は、共生してお互いを高めて行く存在だあるべきなのだと、私は感じています。
対立もしくは排除されるべき事々は、もっと他の所にあります。
それはなんなのか?またいつかお話ししたいと思います。
今日は、ちょっと長くなりましたね。m(__)m
下條雅也
勝って兜の緒を締めよ!
といいますが、”不遜だ”との誤解を恐れずに言わせていただければ、”勝った者の気遣い”が求められるのではないのかな、本日の裁判結果は!
早速、↓のような記事が出ていました。
<マンション更新料訴訟>便乗請求懸念の声 貸主側は評価:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110715-00000116-mai-soci
号外!
全国賃貸住宅新聞社 秋山記者によると、一勝二敗で迎えた「更新料 最高裁判決」は、↓の写真のように、家主側の全面勝訴との最終決定がなされました!
本日、AOAのスタッフ3名で、全国賃貸住宅新聞社 編集長榎本さんと打ち合わせがあり、本社を13時に伺いました。そして約1時間半の打ち合わせを終え、最高裁判決の結果を編集長からお聞きした、という状況でした。
詳細については、次号の全国賃貸住宅新聞に記事になるそうです。
↑の写真は、最高裁の取材から戻った秋山記者!
まずは大家さんとしては一安心ですね。(だからと言って、従前どおり更新料を継続していいか?については、大家さんはよく考える必要があると思いますが・・・・)
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別のニュースソース: 日経新聞 = 賃貸住宅の更新料「有効」 最高裁が初判断
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NHK 7時のニュースより:



