俺はずっと潤のことを考えていた
仕事終わりに彼女が食事に行こうと誘ってくれた時も、一緒に食事をしている時も
そして・・・彼女を抱いている時も
考えるのは潤のこと
「私と別れてくれませんか、もう貴方と一緒にいるのが耐えられない」
「えっ!?どうして急に」
「急じゃないわ、貴方は私といる時誰のことを考えているの?・・・・私を抱いている時でさえその人のことを思っているなんて、酷すぎます」
「あっ・・・そんなつもりじゃ」
「わざとでないならもっと酷い・・・」
「私はどうしたらいいの、このまま結婚しても、貴方の子供を産んでも貴方は私を見てくれない、他の誰かをずっと想ってる、そんなこと辛すぎる」
「・・・・・」
「・・・BARで会ったあの綺麗な人なの、貴方の想い人は」
「・・・彼は記憶を無くしてる、俺とのことをひとつも覚えていないんだ・・・」
「だから何?代わりをしろと!」
「そんなんじゃない、違うんだ」
「貴方は家のため、親のため、会社、自分の体裁ばかり考えているずるい人、あの人が可哀想だわ、あの人がいるから私は幸せになれなかったけど、あの人も頭の固い貴方のせいで幸せになれなかったのねいえ、今は幸せなのかしら、そんなこともう私にはどうでもいいわ、婚約破棄します、勿論こちらからお断りしたのだから仕事の提携は続けていくように伝えますから安心してください、ではさようなら」
俺の言い訳を聞くことなくそのまま彼女はマンションを出て行った
俺はソファーにドンッと勢いよく座り天井を見た
そして俺は別れたばかりの彼女のことを思うのではなく潤のことを考えていた
我ながら酷い奴だと、笑いが込み上げてきた
両手で顔を覆い笑っているのか泣いているのか自分の感情が追いつかない
「潤っ俺はお前を・・・今でも愛してる」
涙が頬を伝った