どうしても潤に会いたくて、会社に来た時に連絡するように受付の女の子にお願いしておいた
「社長松本様が今日はおひとりでこられました」
「ありがとう・・・」
俺は会議の合間をみて潤に会いに行った
「どうしましたか?体調でも悪いのですか?」
「いやっ、ちょっと顔が見たくて」
「ふふっ・・何か悩みでもあるのですか?俺で良かったら話を聞くくらいなら出来ますが」
「・・・あぁーそうしてもらおうかなぁ、まだ仕事の途中だから仕事が終わって食事をしながら聞いて欲しい、プライベートの話だから先生にも秘密にして欲しいんだ」
「勿論、誰にも言いません」
「では、仕事が終わるまでここで待っていてくれないかな、今日は定時に仕事を終わらせるから」
「はいっ、わかりました、無理しないで下さい、俺、待ってますから」
「じゃあ後で」
櫻井さんは何を悩んでいるんだろう
婚約者がいて幸せなはずなのに
あの時の寂しそうな顔を思い出し胸がザワついた
俺はなんで胸がザワつくのだろうか
先生に友達と食事に行くから遅くなるとメールをしておいた
コンコンッ
あれ?まさか帰ってしまったのか?結局定時に仕事が終わらず19時過ぎになってしまった
帰ってしまったのか?
恐る恐るドアを開けると机に伏せて眠っている潤がいた
愛おしくて
そっと近ずき頭を撫でた
よく眠っていたので頭にキスをひとつ落とした
「んっ?っっあっごめんなさい寝てました」
「大丈夫、待たせてごめん」
「いえ、大丈夫です.お仕事お疲れ様でした」
「・・・ただいま」
「・・・おかえりなさい」
「なんだか、ずっと前からこんなやり取りしてたみたいですね」
「・・・ははっそうだね、さっ行こう」
俺は慌てた
潤のおかえりなさいを聞いて抱きしめたくなったから、そしてキスをしたかったから
記憶を失う前の潤が目の前にいたから
そして俺は今夜、潤に伝える
好きだって