令和3年のご挨拶 湯の花温泉と明智光秀 | 落人の夜話

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城跡紀行家(自称)落人の
お城めぐりとご当地めぐり

令和3年、新年おめでとうございます。

この年末年始は久しぶりの強い寒波で、特に日本海側の降雪が大変だった様子ですが、皆さんいかがお過ごしだったでしょうか。


さて、寒い冬に欠かせないものといえば温かい鍋と、そして温泉ですよね(^^)

私も歳のせいか年々温泉への執着が強くなってきましてね。

若い頃はシャワーで十分と思ってたのが嘘のようで、今や家の風呂でも温泉の素を入れないと落ち着かない症状を呈している次第です。


で、私のライフワークであるお城めぐりとご当地めぐりにも、だいたい温泉とご当地グルメはつきものでございます。

ただ、せっかくなら歴史上の人物も浸かったような由緒があって、歴史妄想をかきたてるような温泉が好ましい訳で、たとえば昨年はNHK大河で明智光秀が取り上げられた年でもあり…

おっと、昨年のNHK大河『麒麟がくる』はコロナウイルスの影響で史上初めて越年になったそうで、今年2月まで続くみたいですね。

まあ私は観てないんですが(^^;


ともかく今回は新年のご挨拶がてら、昨年訪ねた温泉のなかから明智光秀関係のものをひとつご紹介してみますね。

京都府亀岡市にある湯の花温泉です。

 

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湯の花温泉は京都市と北摂地域の中間、亀岡市の山あいにある温泉街。

応仁の乱(応仁元年:1467)の頃にはすでに湯治に利用されていたそうで、戦国の武士たちが刀槍の傷を癒したと伝わる温泉です。

 

私の実家から山ひとつ越えたところにあるこの温泉。

渓山閣という旅館が日帰り入浴できるようで、旅の帰りに立ち寄ってみました。

 

温泉 | 京都亀岡・湯の花温泉 おもてなしの宿 渓山閣【公式】 (keizankaku.com)

 

夏休み期間中だったこの日。

例年ならもっとお客さんが多いんでしょうが、大きな駐車場もガラガラ。

これはずいぶんゆっくり浸かれそうです。

 

 

玄関にて。

広く落ち着いた雰囲気のロビーもやはりガランとしてて、お客さんはちらほら。

 

お、出してますねえ。見えますか?

そう。上記の通り、ここは明智光秀ゆかりの湯。

控えめながら、NHK大河『麒麟が来る』にあやかって案内を出してますね。

 

 

 

ロビー内にて。

戦国時代を意識したディスプレイ、売店の土産コーナーには明智光秀グッズも充実してますねえ。

 

ひと昔まえまで明智光秀のグッズなんてどこ行ってもなかった気がするんですが、戦国ブームとともに人気があがってきた人物のひとりでしょうね。

今回の大河でそれが一段落…なんてことにならず、さらに研究が進んで人物像の解明が進んでほしいなと思います^^

 

 

 

浴室前の休憩コーナー。

泉質は単純弱放射能温泉。打ち身やくじきなど外傷にも効能があるようで、このあたりは戦国時代にも重宝されたでしょう。

 


さて。

ここにはひとつ伝説がありまして、この近くで産する「桜石」には、昔から鬼を払う霊力があるとされています。

かの足利尊氏が六波羅探題を討つべく篠八幡宮で挙兵するときは、この「桜石」を矢に結わえて放ち、戦勝を祈ったと云います。


それに比べて明智光秀は…

というのは、渓山閣さんのHPより。


―彼は、神仏を恐れぬ性からか、天下分け目の山崎の合戦に臨んで、尊氏のひそみにならわず、桜石による出陣祈願に背を向けました。結果はご存知の通り…(渓山閣HPより)


あー、そうそう。

昔は明智光秀といえば、だいたいこんな評論のされ方でしたよ。

ファン歴30年を超える者としては、なんだか懐かしい臭いさえ感じますねえ(^^)


 

渓山閣HPより


渓山閣の浴場は庭からの採光に配慮され、湯はややぬるめで無色透明。落ち着いた雰囲気があって、つい長湯してしまうようなところでした。

何より明智光秀をはじめ、あの乱世に生きた人々が身を沈めたと伝わるこの同じ湯に、いま私も浸かっている。そんな感覚が想像力をかきたてます。

私にとっては至福のひとときです(*´∀`)



明智光秀がいつこの湯を訪れたのか、正確な日にちはわかりません。

ですがおそらくその最初は、丹波攻めを命じられた彼が丹波亀山に城を築きはじめた天正5年(1577)の頃かと思われます。

織田信長という、この超がつくほど人使いの荒い主に、次から次へと担わされた重い肩の荷を、彼はここでほんの少しの間、下ろすことができたかも知れません。


やがて丹波を平定し、いつしか彼の脳裏に天下を臨む大事がよぎったときも、この湯に浸かって張りつめた心をほぐした時があったでしょうか。

湯気のむこうにそんな情景が見える気がした私は、一瞬、ここから車で10分もかからない場所にある“光秀寺”こと谷性寺に立ち寄って、彼の首塚を詣でようかと思いつきました。

が、心地よさのあまり湯から出るのを惜しむうち、日は沈んで、これはまたの機会に出直すこととなりました。


旅の行程に取り落としはつきものです。

しかしこうした落とし物は、同じ場所でも二度三度と訪ねたくなるきっかけになりましょう。

昨夏に取り落としてしまった谷性寺は年を越してしまいましたが、今年あたりまた拾いに行こうと思っています。


皆さんの旅にもよい落とし物がありますように。

本年も拙ブログをよろしくお願い申し上げますm(_ _)m



 

クローバー訪れたところ

【湯の花温泉 渓山閣】京都府亀岡市稗田野町佐伯下峠20-6