旅の寸景(1) おいらせ町のガンダムカット | 落人の夜話

落人の夜話

城跡紀行家(自称)落人の
お城めぐりとご当地めぐり

今年は「機動戦士ガンダム」40周年だそうです。

 

ガンダムなんていっても、今どき若い人はあまり知らなかったりするのでしょうか。

でも、40年前にはじまった元祖「機動戦士ガンダム」は今じゃ“ファースト(1st)”なんて呼ばれてファンの間で伝説視されてますけども、その後も「Z(ゼータ)」「ZZ(ダブルゼータ」、さらにOVA等でも世界観を受け継いだ作品がシリーズ的に生産され続け、ほとんど社会現象になっていたものでありました。

ガンプラやゲームなんかもアツかったですねえ。

 

私も大事なことはだいたいこの“1st”に教えてもらってオトナになった(と思い込んでる)クチですけど、世の諸兄姉におかれましても、きっと若かりしころお世話になった方は多いはず(^^)

 

で、そんな子供達が成長し、街でガンダム商品を見つけては小遣いの何割かを消費するおっさんとなって、息の長いガンダムブームを支え続けてはや40周年の今年。

巷ではまたガンダムがアツいと、そういうことでございます。


かくいう私もこないだユニクロがガンダムとコラボしてるって話を聞きまして、いそいそ近所のユニクロへ行き、つい何枚かオリジナルTシャツを買ってしまいました。

 

ユニクロUT特集/機動戦士ガンダム40周年記念

https://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/ut/gundam/

 

おっと。

最初からやや脱線ぎみですが、今回はですね、それで思い出した旅先の風景がありまして。

ガンダムまみれでちょっと恐縮なんですけども、城跡紀行の寸景的にご紹介してみようと思ったわけです。

よろしければお付き合いくださいませ(^^)


**********

 

あれはもう5年前の秋。

青森県の城跡を巡る旅の途中、おいらせ町あたりでは小雨の降る夜だったんですけども、車のフロントガラスの向こうに赤い光が見えたんですよ。

 
むむっ!
私はジャブローに潜入したアッガイのパイロットのように…
 
あ、このへんはガンダム世代的な比喩なんで、堅気の方はどうか優しくスルーしてやってください。
とにかく夜道の脇に一瞬見えた赤い光に「モノアイ」を感じた私は、思わず車をUターンさせ、そこで驚きの光景を見たのです。
 
(※モノアイ:単眼。ガンダムシリーズでは主にモビルスーツ等の頭部や腹部に設置されているカメラを指す)
 
な、なんだこれは…
ヘッドライトに映し出された光景に私は絶句しましたよ。いやほんとに。
 
赤い光の正体はやはり、あの水色のモビルスーツ「ズゴック」のモノアイでした。
その隣にはガンダムの頭部。上の方にはホワイトベースが飛んでます。どれも割とデカい。
 
一体なんのパラダイスだここは…
と思って振り返ると、思いがけず散髪屋さんの敷地でした。
 
その店の名は「スズキ理容」。
夜中だったんで当然閉まってますが、「ガンダムカット」(!)は大人1500円。
 
1500円か…
私はしばらくの間、その店でみた光景と「ガンダムカット」の呪縛から逃れることができずにいました。
 
**********
 
そんなわけで7ヶ月ほど悶々とし続けた私は、翌年のGW…
 
 
またやってきてしまいました。

旅の行程内とはいえ、神戸からここまでは車で約16時間。
大丈夫か俺…などという不安感は途中の道の駅で捨て去り、こんどはちゃんと昼間の営業時間を狙ってやってきました。
 
 
 
あらためて後ろから見たら、ガンダムの頭部はカラオケボックスになってました。
いや驚きです。
このときは店のオーナーさんと話ができて、直接ご案内いただきました。
 
 
ガンダム、シャア専用ザク、キュベレイ…
ガンダム作品に登場する伝説の機体の数々が、割とカオスな状態で陳列されています。
 
こりゃまたどうしたことですかって、早くも前のめり気味にオーナーさんにお聞きしたら、
「こういうの作るの好きだから」
という至極単純明快なお答えでありました。
 
これ、すべて70代(10歳くらい若く見えますが)のオーナーさん手作りなんですよ。素材は主に発泡スチロールで、1体10数万円ほどのコストがかかっているとか。
いわく、オーナーさん自身は別にガンダムファンではなく(!)、なにかお客さんに喜ばれるようなことがないかと考えてたら、近所の高校生が「ガンダムを作ってみたら」と言ったのを真に受けて採用して(!!)作り始めたんだそうです。
 
 
いやしかし、ちょっと素人離れしてますよ。
これはアッガイって水陸両用の機体なんですがね、何ですかこのすごい出来は。色合いとか質感とか渋すぎでしょ。
 
この辺りにコックピットがあって、ふむこの辺りからアカハナ(パイロットの名前)が…
私はアッガイの足元にしゃがみ込み、昂奮を抑えきれない様子でべらべら喋りながら見上げたり見回したりしてたと思うんですが、当のオーナーさんはアッガイの設定をよく知らなかったりするので空振り感も半端ありません。

でありながら、他にもジオングとかガンキャノンとか作りかけ(当時)のドムとか、どれも完成度かなり高め。
なんでしょうこの、まるで異種格闘技戦のような違和感まじりの高揚感は。

 
店内には作品のモデルとなるフィギュアの数々。
オーナーさんはこれを参考にしっかり図面を描いて、あの作品群を製作しておられる訳です。

ちなみに集客効果のほどは…とお聞きしてみたら、
「(作品を)珍しがって見ていく人は増えたけど、売上が増えた感じはない。でも色んな人と話せて楽しいよ」
と、快活に笑って答えて下さいました。

お店のHPはなかったのでリンクは貼れないんですが、ガンダムファンの諸君はどうか覚えておいてほしい。
青森県はおいらせ町の「スズキ理容」を( ・∇・)/


という訳で。
今回はある意味ガンダムファンの“聖地”にもなりうる、「スズキ理容」での寸景でした。
 
**********

で、この先はまあ蛇足みたいなもんですが、私にとってこの日のメインイベントは、7ヶ月間気になって仕方なかった“アレ”をやってもらうことでした。
 
そう、「ガンダムカット」です。
1500円、握りしめてきましたよ。
あ、でも洗髪とシェービングは別料金だったかなあ…ちょっと細部は忘れてしまいました。
 
しかし「ガンダムカット」っていったいどんなんだ?
と気になって仕方ないという同志にはこちら↓
 
 
これが「ガンダムカット」だ!

モデルは不肖、私めでございます。
といいつつ、「ガンダムカットは人によって変わる」(オーナー談)そうです。
…ってそれ普通のカットですやん!
というツッコミは無粋なのでございます。
 
私は救いがたいガンダムファンのひとりとして、ここでオーナーさんの素晴らしい作品群を眼福にあずかり、ひとときの夢を買ったのでございますよ。
だから笑わないで頂きたい。
いや、ここはやはり救いがたいガンダムファンらしく、ガンダム名言で〆ましょうか。

「笑うなよ。兵が見ている」
byガルマ・ザビ
 
 
 
クローバー訪れたところ
【スズキ理容】青森県上北郡おいらせ町一川目4丁目6−30