「現代人に平等に与えられた最高の癒し」の危機 | “迷い”と“願い”の街角で

“迷い”と“願い”の街角で

確固たる理想や深い信念があるわけではない。ひとかけらの“願い”をかなえるために、今出来ることを探して。

子供たちが生まれてから、子供向けのものを除き、あまりテレビを見なくなりました。
その中で、今だに見続けている数少ないテレビ番組の一つが「孤独のグルメ」です。
今年は通常のシリーズは放送されませんでしたが、大晦日スペシャルは放送されるようで、楽しみにしています。

ところで、この「孤独のグルメ」のオープニングナレーション。
「時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき、束の間、彼は自分勝手になり、自由になる。誰にも邪魔されず、気を遣わず物を食べるという孤高の行為。この行為こそが、現代人に平等に与えられた最高の癒しといえるのである。」
数年前まで、何の違和感もありませんでした。

しかし、コロナ禍を経ての物価高、相対的貧困率の上昇の中、外食が手の届かない贅沢となった世帯も増え、廃業する飲食店も目立ってきました。
もはや、「現代人に平等に与えられた最高の癒し」ではなくなりつつあるのではないか、そのように思うこともあります。

地域に根ざした個性ある食事は立派な日本の文化だと思います。
貧困や廃業を自己責任と切って捨てる向きもありますが、その先に何が残るでしょうか。
その最高の癒しを平等に享受できる世の中であり続けられるようにしたいものです。

(追伸)
10月に訪れた実家のある石神井公園。この地域でも、ここ数年、廃業する飲食店が増えました。