中学のころだったと思うのですが、国語の教科書で、以下のような趣旨の文章を読んだ記憶があります。
外国で筆者が車で砂漠を走っていたところ、道に迷った現地の人を見かけ、食料と水をあげました。その後、車内で、同行したその国の人が、「あなたは、彼らがあなたに、泣いてお礼を言うとでも思っているのですか? そんなことはありません。なぜなら、ここの人たちにとって、困った人を助けることは当然のことだからです」と言いました。
それを受けて、筆者は文を進めます。「ありがとう」の語源は「有り難し」で、「ありそうもない」ということ。だとすると、「ありがとう」と言うことは、「あなたがこんなことをしてくれるとは思わなかった」ということになり、これは失礼な発言といえる。
記憶があいまいですが、だいたいこんな感じだったと思います。
どう思われるでしょうか。確かに傾聴すべき意見です。相手のために何かをするとき、過度に相手の感謝を期待して行動するようなことは、慎まなければならないでしょう。いつのまにか傲慢な行動に転化することの無いようによう、純粋な気持ちを保つよう務める。ボランティア等をするに当たっては、いい教訓となるのではないでしょうか。
ただ一方で、全く異論の無いわけではありません。
ちょっとしたこと、当然のことであろうとも、それに対して「ありがとう」と感謝することもまた、大切なことではないでしょうか。小さなことにも感謝の気持ちを忘れないこと、それは非常に価値あることのように思います。
これは、どちらが正しい、どちらが間違っている、といえる問題ではないと思います。感謝の気持ちを忘れないことは重要ですが、最初に述べたような側面のあることは、気にとめておいていいでしょう。