大神Blog -40ページ目

「大神」の戦闘

神谷です。こんばんは!

体験版プレゼントが締め切られましたが、皆さんご応募下さったでしょうか?
クローバーからの当選通知メールに「大神体験版プレゼントキャンペーン事務局」
とあったらしいですが…ジムキョク?
イナバの近くに座っている、数人のスタッフ
の事ですかね…
体験版を封筒に詰める作業に、大神のチームスタッフも
駆り出される
という噂を聞きましたが…多分事実でしょう。

ともあれ、「大神」に期待して下さっている方の中には、まだまだ「大神」について
未知の部分が多く、不安に思っている方もいるかも知れませんが、この体験版を
プレーして頂ければ、「大神」の雰囲気をより明確に掴んで頂けると思います。
また感想などを頂ければ、開発の参考にもなりますので、よろしくお願いします!

さて、体験版は体験版でジックリ遊んでいただくとして、もちろん開発現場では、
日々制作が進行していますから、体験版に詰まっている以上の遊びが、着々と
組み上がりつつあります(ミカン爺の家のミカンも、体験版ではまだ斬れません。
ゴメンナサイ…)。その中でも、アマテラスVS妖怪の「戦闘」の部分は、
体験版から大きく進化していますので、これについて今回はお話しましょう。
…と言っても、アクションについて言葉で語っても伝え辛いので、戦闘を制作、
調整していく上での指針を、まずはご説明します。

アクションといえば、過去に制作した「デビル メイ クライ」や「ビューティフル
ジョー」に表れている通り、奥深い敵との駆け引き、運動(反射?)神経を要求される
熱い攻防が、僕は大好きです。特に「ジョー」では、ちょっとシビアに調整し過ぎて、
「難しすぎる」の声が噴出しましたが、当の本人は良く分かっていませんでした。
で、最近久しぶりに「ジョー」を遊んでみたのですが…確かに難しいですね…。
でも…面白いでしょ?アクションゲームを謳うなら、あれくらいアリですよねェ?
「悪魔城ドラキュラ(FC/SFC)」をノーミスクリアするのに比べたら、まだまだ
難易度も緩い方ですよ(ちなみに最近FC版をプレーしたらフランケンが倒せ
なくて
コントローラー投げた)。実際アンケート葉書にも、小学生から
「簡単だった」との感想がありましたしねぇ…と、
あまりこの辺を語り出すとイナバに怒られるので話を戻して…

…ともかくそんな事もあってか、僕は巷で(チーム内でも)「マニア向けの
高難易度ゲームを作る奴」と認識されているようなのですが…

ちょっと待ってください!

僕だって、作ろうと思えばほのぼの和み系のゲームだって作れる!!(ハズ)
そもそも「大神」は、「癒し」「和み」「大自然」をメインテーマにしていますから、
そういう気構えで制作に当たらなければ、このプロジェクトは屋台骨から揺らいで
しまいます!!

…と言うワケで、「大神」は、前2作品とは全く異なるコンセプトで開発して
います。戦闘に、瞬きも忘れてモニターを見詰め、思わず体ごとコントローラー
捌きを
してしまうようなチューニングを施すつもりはありませんし、1/60秒を争う熱い
攻防
を盛り込むつもりもありません(そもそも「大神」は1/30秒描画だからムリ)。
ちなみに、前2作品と違ってフレーム数にこだわらなかったのは、こだわるべき
優先が戦闘部分ではなく、先に挙げたメインテーマにあり、そこに全力を注ぐためです
(…といいつつフレーム数にも最後の最後までこだわっていましたが)。
以上のような理由から、ゲームにおける戦闘の位置付けが、「デビル」や「ジョー」とは
おのずと変わってくるのです。

…何か躍起になって説明するほど、言い訳じみた言葉に聞こえてきますね…
と、とにかく「大神」では、僕が得意な「戦闘」をメインから外し、サブへ回して
メインテーマの引き立て役として活かす事にしました。もちろんそれは、戦闘の
ボリュームを軽くして、脇に追いやろうという事とは違います。戦闘は、これまでと
役割を変えただけで、そこに僕たちなりのこだわりを盛り込み、奥深いものにしよう
という考えには、変わりありません。

こうした事を踏まえ、「大神」における戦闘で、何を一番に表現するべきか? と
考えた結果、思い付いたのが、「楽しい戦闘」です。本気の殺し合いなどではなく、
「妖怪退治」という表現がふさわしい、どこかほほえましく感じる力比べ。それを
「大神」の世界観で表現してみようと思いました。せっかく美しい舞台を満喫
していても、妖怪と出会った途端、厳しい戦闘を強いられ、凄惨な映像を
見せられたのでは興ざめになってしまいますからね。「大神」では、
戦闘さえ
「癒し」の一部であるべきなのです。

さて…その戦闘の具体的内容ですが、ただ敵に対して武器を振り回すだけの、
単純タイクツなものではありません。本作には遊びの要として、「筆しらべ」という
独自のシステムがありますから、これも妖怪たちと戦うための強力な武器となります。
筆で線を描いて敵を斬り、燃やし、吹き飛ばし… そうしたプレーヤーの働きかけに
対し、妖怪たちの様々なリアクションが用意されています。それを見ているだけでも、
きっと戦闘が楽しくなるはず。ボタン連打でアマテラスをただ大暴れさせるのではなく、
時には「筆しらべ」で優雅に敵を手玉に取る…そんなふうに戦闘の楽しさを満喫して
いただきたいと思います。…体験版で体験出来るのは、そのホンの一部ですが、
ぜひ製品版での進化もご期待下さいね。

pic23
写真:大神チームのプログラマー陣。バイオやデビル、ジョーを手がけた精鋭揃いです

1回限りの面白さ

ども。
稲葉です。

けだるい月曜日、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

今日は北米の販売担当責任者が「大神」を見に来る予定です。
いろいろ、メディアに出してないとこまで見せるんですけど、
どんなリアクションが返ってくるんでしょうかね?

世間では、「ズバズバと本音で話すアメリカ人」なんていうイメージが
あるかも知れませんが、僕の印象は割と逆だったりします。
海外で話をしてるときの方が、曖昧な話になることが多いですね。
のれんに腕押しというか、ヌルヌルした印象はアメリカでのビジネスミーティング
でよく感じます。こっちが「あの会議は何となく良い感じだった」と思ってても
後でひっくり返されたり。

たぶん、彼らは「言質を取られる」ことに敏感になってるのではないでしょうか?
結果に対して、
 「責任の所在を曖昧にする文化=日本」
 「責任の所在を明確にする文化=米国」
みたいな違いがあって、下手に発言してしまうと即責任が発生してしまう
という怖さが身にしみてるのかもしれません。
なので、できるだけそこを避けて通ろう、というのが”ヌルヌル”さを
感じる原因なのかもしれません。
商談やミーティングでは、日本人の方がよっぽどダイレクトな物言いをします。
もちろん、人によりますけどね。

今これを書いてるのは午前中。見せるのは昼からです。
ここで書くのをいったん中断して、続きは昼から書きます!


(この間、数時間経過・・・)


いやー。
いま見せ終わりました。
良い反応だったと思います。
良いか悪いかはコメントではなくてリアクションで何となくわかるものなので、
楽しんだり笑ったりした様子から、悪い反応では無いと思います。
彼らがノリ気になるかどうかで、アメリカでの販売状況が大きく変わるので、
こっちもドキドキします。

今週は「神木村ライフ」の更新予定だったんですが、週末に韓国出張 が入ってまして。
原稿を書いてるスキマとチェックしてる時間が無いので、
更新は次の機会にさせて頂きます。スイマセン!

前述のKGC2005 では、「大神」を題材に講演する予定です。
映像とともに「大神」の制作の流れを振り返りつつ、オリジナルゲーム制作について
今の自分が考えていることを話そうかな、と思ってるんですが…
この講演の何だかもっともらしいタイトルは、誰が考えたんでしょうねぇ(笑)
(実は、講演の内容については今日の午前中に決めました…)

何度かこういうことやってますが、講演はその場限りの「熱」が面白いと思うのです。
1回限りだからこそ出せるパワーがありますし、
事前にあまり準備をしすぎるとその良さが消えてゆくような気もしますしね。
準備してない言い訳に聞こえるかもしれませんが…(笑)

では、また次回!

「2週間世界一周」

ども。
稲葉です。

体験版プレゼントキャンペーン、当選通知を順次お届けしております。
何件かお問い合わせがありましたが、
「今回プレゼントする体験版は、東京ゲームショウで
        配布したバージョンと
同一のモノです」
ので、どうか誤解なさならないようお願いいたします。

今日は来客や打ち合わせが続いていて、とてもバタバタしてます。
しかも今朝は珍しく寝坊しちゃいまして…1日のテンポが狂いまくりです。
朝起きたら、始業の30分前でめちゃくちゃビックリしました。
ずいぶん急いだのですが、残念ながら5分ほど遅刻。
その上、朝あわててたせいで半袖で出社。見てる方が肌寒いですよねぇ。

さて。
「大神」の宣伝についていろんな事考えてる真っ最中なのですが、
ややこしいのはアメリカとヨーロッパでの宣伝のことも考えないといけない。
いや、宣伝手法とか実行については現地の販売スタッフがプランを
あげてくるんですが、それに対応する映像を作ったりイラストを描いたり
するのは日本にいるスタッフの仕事になるので…ちゃんとスケジュールを
決めて動かないとメチャクチャになってしまうのです。

特に「大神」は、ずいぶん前から海外で発表していたせいか期待度が高く、
いろんなリクエストが飛び込んできます。
どうやって日本を含めた3地域のバランスコントロールをするのかという事も
悩み事なのです。まあ、嬉しい悩み事ではありますが。
ずいぶん前から「ワールドワイドな仕事」という事は意識させられてますが、
どんどんその色は強まるばかりです。
仕事としての面白みは強まる一方、地域ごとに作品に対する制約も
増えてきているので、苦労も感じます。
来週はアメリカ&ヨーロッパの担当者が来日するので、
その辺りをきちんと詰めていかないと。

そういえば「鉄騎」のときにヨーロッパのプレス向け取材ツアーに行ったその足で
アメリカの取材ツアー、ということがありまして。
「80日間世界一周」ならぬ「2週間世界一周」だった
ことがあります。(このときは同月内にもっかいヨーロッパに行ってますので、
正確には「世界一周半」ですが)
しかも、ブリティッシュエアウェイズのロンドン→サンフランシスコ便に搭乗したのが
2002年9月11日。
そう、NY同時多発テロの1周年当日です。

以前から、この日はテロの標的になるんじゃないか…という噂が流れていて、
しかも搭乗便がヨーロッパで唯一イラク戦に積極的だったイギリスの航空会社。
条件は揃いすぎるほどそろいすぎてて、「せめて前後のどちらかの日にしてくれ!」
という願いもむなしく「スケジュールが狂うから」という一言で飛行機に押し込まれました。
ヒドイ話だと思いませんか?
あんときは時差ボケが治らないうちにアメリカ行きの機上の人となってしまったので
全然眠れず、かといって日本語の映画などやってるわけもなく。
ぼーっと「んー。テロ遭遇したときのために遺書とか書いておくべきなのかな…」
なんてことをボンヤリと考えたりしちゃいました。
今考えると、相当疲れてますよねー。(笑)

これから、「大神」の宣伝プランを煮詰めてゆきますが、もう時間がそんなに残されて
るわけでもないんですよね。なんせ「桜の頃」ですし。
頑張ります!

プロデューサー

ども。
稲葉です。

昨日の神谷、いっぱい書いてましたねー。
このブログ、事前に内容を見せ合ってないので、
アップされるまでどんなこと書いてるか全然わからないのです。
お互いが読者と同じ気持ちで相手のブログを読んでて、
読み終わると『あんなことまで書いていいの~?』みたいな話をしたりしてます。

さて。
『筆しらべ』について神谷が書いていましたが、それを読んでて
『そういえば、そんな事もあったなあ…』ってな感じで当時を思い出したりしました。

ああいう場合はプロデューサーとしてチェックをして、プロデューサーとしての
方向づけをディレクターとすりあわせることになるんですが…
そんなことを思い返してるうちに、
「プロデューサーって何ぞや」

みたいなことを考え出してしまいました。最近、よく考えるテーマです。

どうも世間では「プロデューサー」というと『偉い』というイメージが強い(らしい)。
あと、「何だかわかんないけどウサンくさい」みたいなのも。
これは、TV業界や音楽業界の影響だと思うのですが、
「プロデューサー=けっこう偉い人」
みたいなのが一般的イメージだと思うんですよ。

これはまあ、間違ってるわけではないんですけど、正解でもないと思うのです。

僕はプロデューサーになってまだ6年くらいしか経ってないので、
いまだに「プロデューサー」という言葉をハッキリと定義しきれてません。
プロジェクトに対して「自分だったらこういう風に進める」という
信念や気持ち・ノウハウみたいなものは蓄積されても、
他人から「で、プロデューサーって何?」みたいな事を聞かれると
やっぱりドキッとするのです。

今の自分が考えるに、「プロデューサー」って階級や地位で
例えられるものでは無いと思います。なんか会社の出世の階段の先に
あるのが「プロデューサー」ではないと思うんですよ。
主任→係長→課長→…
みたいな階段の中にはプロデューサーは存在し得ないと思うのです。

そう思うと、自分なりに考えるプロデューサーの条件とは…

・自分でスタイルを持って、プロジェクトを前進させることが出来る人。
・はぐれ狼か一匹狼かはともかくとして、生き抜けるたくましさがある人。
・でも、一人では何も出来ないことを知ってる人。

こんな感じですかね?
あくまでも「今の自分が考えた」条件ですけど。
だから、冒頭のように「プロデューサー=偉い」という単純な図式に
抵抗感があるのです。

当然、プロジェクトの総責任者である以上はその発言には重さがあります。
生半可な決定をすれば、すぐにそのプロジェクトにとって致命的な傷を
負わせてしまうような立場であることに変わりはありません。
でも、それと「偉い」というのは別なんですね。

特にディレクターとプロデューサーの関係というのは微妙です。
役割が全く違うくせに、お互いの領域に少しずつ足を踏み入れ
あわないといけない事がある。
これは、微妙ですよー。
でも、お互いに敬意をもてなければうまくは行かないと思います。
付き合いが長い・短いではなく、
「合う合わない」で決まっちゃう世界かもしれません。

今日のブログのおかげで、またちょっと整理できた気がします。

pic22
写真は羽田空港のYahoo!CAFE。
実は、今日のブログはここで書いてたんです~。
今から飛行機で大阪に帰ります。
では!

「筆しらべ」の続き

神谷です。

このブログ、皆さんにいろいろお話しするネタはたくさんあるのですが、
チーム内のスタッフの中にも読んでいる人間がいるので、どう書こうか
難しいモノもありますね…。制作があらかた終わってからのコラムは
経験あるのですが、制作の真っ只中にこんな風に書くのは初めてなもので…
ちょっと勝手が分からず、おっかなびっくり書いてます(笑)。

それはそれとして、今回の話題は…そうそう、このゲームの肝である「筆しらべ」
なんですが、体験版をプレーされた方、いかがだったでしょうか?
「体験版をプレーしていない」、あるいは「体験版をプレーするほどの興味はない」
という不届きな方のために、ちょっと筆しらべの遊びに付いて、
まずは裏話をご紹介したいと思います。

先週木曜日のコラムで、筆しらべ誕生のいきさつをご紹介しましたが、
実はあの話にはもう少し続きがあります。
一番最初に作成した企画書では、筆しらべの「風を吹かせる」「雨を降らせる」
などの“天候を操る能力”を、それを表す絵柄をゲーム画面に重ねて発動させる
という遊びでした。例えば風を吹かせたければ、筆で描かれた「風の絵」を
ゲーム画面に重ねると、その風の絵が動き出して、ゲーム内に風が吹く、
という具合です。これは現在の筆しらべと基本能力は同じなのですが、
操作方法が全く違いました。
初期の時点では、「風の絵」「雨の絵」がアイコン化されており、それを選択するだけで
自動的に筆が走り、画面上にその絵を描いてくれるというものだったのです。

その「筆しらべ」を実際に遊べるレベルまでにしよう!と作業が始まると、
「筆しらべ」を使用する時に画面を「墨絵タッチ」へ瞬時に変えたり、絵を客観的に
見ているように奥行き方向へ倒してみたりという基本部分が、まず実験的に出来ました。
「画面を墨絵調にする」という部分は想像通りだったのですが、二つ目の「奥行き
方向へ画面を倒す」という表現が、思いのほか面白く、さらにそのままカメラを
操作してアングルが変わるのも新鮮で、「これはイイ!」という手応えを掴みました。

そしてそこに、当初の企画書にあった通り、「風の絵」を重ねたら、実際に風が吹く
という処理が乗りました。筆はスムーズにサラサラ動くし、描かれた線画もキレイ。
風がビューっと吹くと、草が舞ったり人が転がったり。筆しらべって、こんな感じかな?
というところまで完成し、プロデューサーチェックを受ける事になりました。

しかし… その筆しらべを触ったイナバから「画面に描いた絵が、そのまま
動き出すというせっかくの筆しらべが、自分で描いてる感じがしない」という指摘が…。

言われてみれば、アイコン化された図柄を選んで決定ボタンを押すだけでは、
魔法のコマンドを選んでいるのと何ら変わりがありませんでした。
「ゲームの中に自分で思うままに絵を描いて、それが現実になる」という、
当初イメージしていた夢のような筆しらべとは、程遠いものになっていた事に
気付かされたのです。

この軽度のウニ状態から脱し、最初に思い描いた「筆しらべ」を実現するために、
再び検討が始まりました。この時すぐに、頭の中に「単純に、コントローラーを
操作して、実際に自分で線を引けば良いのでは?」という考えが過りましたが、
ヘビーなユーザーだけでなく、広くライトなユーザーに訴えかける事も、
「大神」に課せられた使命の一つ。コントローラーで絵を描かせるなんて、そんな
面倒な操作を押し付けるわけにはいかない…! そう思って、何とか別のやり方が
ないものか、必死で考えたのですが…今度は何も出ませんでした。

そこで、取り合えず「自分で筆を操作する」のがどれほど難しいのか、実際に
やってみよう! という事になり、プログラマーに頼んで実装してもらいました。
画面にはただの黒丸(それがカーソル)が表示され、それをコントローラーで
動かして線を描く…という簡単なもの。そして、初めてそれを触った時の感想は…
「やっぱり無理!!」 まっすぐ描いているつもりでも線はフニャフニャになるし、
円を描こうにもジャガイモのような形に。チームの人間もかわるがわる触りましたが、
一様に「これは無理だ…」という雰囲気でした。

しかし、それでも僕は諦めきれませんでした。「これホントにダメ? ホントにダメ?」
と、往生際悪くいつまでも触り続けたのです。すると… 暫くしたら、何となく線が
きれいに引けるようになってきたではないですか。円も何とか描けます。三角も四角も
描けます。…もしかして俺、上手くなってる!? 描けば描くほど思い通りに
筆を動かせるようになり、多少複雑な図形もサラサラと描けるように(大抵こういう時、
自分の名前を書いたりするんですよね…)。これは、ゲームの上手いヘタに関係なく、
慣れの問題では?と気付き(…正直もう すがるものがなかったので、
「慣れだよ、慣れ!」と多少強引に信じた)、無事、筆しらべの原型が完成したのです。

きっと皆さんも、初めて「筆しらべ」を触った時には、まず最初に違和感を
感じるかもしれません。しかし、そんな筆しらべを快感の源に変えようと、
あれから随分努力しました。
筆や墨の滑らかさ、そして「筆しらべ」がもたらす効果の面白さは、
当時とは比べ物にならないほど気持ちのいいものになっているはずです。
この「筆しらべ」、もしも体験できる機会があったら、
是非その触り心地を味わってみてください。

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写真:丸出しでも動じない先週末のカール