「オックスの野口ヒデトが
ソロ歌手活動を経て、
真木ひでと」と芸名を改め、
演歌歌手として
再デビューをしたときに出された
ソロアルバム(75年発売)。
 
GSブームの後期を疾走した
オックスの解散後、
野口ヒデト→野口ひでと
への改名をはさみ、
3枚のシングルと
1枚のアルバムを
出したものの
なかなか軌道に乗れなかった
ソロ活動だった。

そして75年に、アマチュアの
公開オーディション番組だった
全日本歌謡選手権」で、
本名・野内正行の名で
10週勝ち抜き、
番組の審査員だった
山口洋子のすすめで
演歌歌手「真木ひでと」として
再出発。

このアルバムは、
心機一転の再デビュー曲
夢よもういちど」(75年9月発売)の
ヒットをうけて発売された。

全作詞が、恩師である山口洋子、
作曲が浜圭介、筒美京平、
猪俣公章など
著名な作家陣の手になる全12曲は、
夢よ~」に描かれているような
女の情念・執念を描いた歌詞に、
テナーサックスと
ストリングスが色濃く絡んだ、
内山田洋とクールファイブ
のようなアレンジの楽曲、
そして初期の森進一を
彷彿とさせるハスキーな絶唱と、
オックス時代のヒット曲とは
対極ともいえるような
しかし印象的な楽曲が並ぶ。

通して聴いていると、
ほんの数年前まで
アイドルグループ扱いされていた
GSのリードヴォーカルだった
野口ヒデトの、
演歌歌手真木ひでととしての
再出発にかける
大いなる決意が感じられる。

ちなみに帯のコピーは
現代演歌の夜明けを告げる 
真木ひでと 
衝撃のデビューアルバム!!

ライナーには
山口洋子からのエールも
添えられている。(★★★★)
(2011.1.21記)
 
真木ひでとさんは、
オックス解散後、
オックス時代と同じ
「野口ヒデト」名義で、
オックス時代と同じ
ビクターレコードから
シングル「仮面」(71年8月発売)で
ソロデビューしました。
 
アップテンポの大人っぽい、
とてもいい曲だったのですが、
音楽の流行が
ニューロックやフォークに
流れていたこともあって、
歌謡曲の要素の強い曲は、
期待に反して
売れなかったようです。
 
その後、
「野口ひでと」と改名、
フィリップスレコードに
移籍して、
シングル「他に何がある」
を出しますが、
こちらも商業的な評価は
されませんでした。
 
このころ、
カヴァーナンバーを中心とした
ソロアルバムも発売されています。
 
3枚目のシングルは、
守屋浩さんのカヴァー
「夜空の笛」
(「♪チイタカタッタ~ 
チイタカタッタ~ 笛の音が~」
というアレです)でしたが、
テレビで見かけることも
ありましたが、
予想を反する売り上げ
だったようです。
 
そして、元記事に書いた
「全日本歌謡選手権」
への出場へとつながります。
 
再デビュー曲
「夢よもういちど」は、
歌い出しの部分が、
ポール・アンカさんの
「YOU ARE MY DESTINY」に
とてもよく似ていますが、
これは当時、
ひでとさんが得意にしていた
レパートリーだったので、
あえてギリギリまで
似せたのだという話を
聞いたことがあります。
 
2020年、
歌手生活50周年を記念して、
111曲入り5枚組の
CD BOXが発売されました。
 
その後ここ数年、
活動が聞こえてこないような
気がしますが、
オックスのメンバーは
もうひでとさんと志郎さんしか
ご存命ではないのですよね。
 
ご無理のないように、
そしてお元気でいていただきたいと
思っています。
 
 *過去記事
 オックス