10月8日、日本中が沸きました。
「iPS細胞の研究・開発で京都大学の山中伸弥教授
が2012年度のノーベル医学・生理学賞」の受賞が決
まったとのニュース。
このニュースを観ていていきなり想いだしたことがあり
ます。「そういえば俺、はるか昔、『歯車から細胞に働
く意識を変えていこう』なんて文章を会社に提出して
いたことがあったのでは」・・・・。
書棚の隅から探し始めて・・・みつけました。
今から34年前、昭和55年=1980年、リクルートが
20周年を迎えた時にエッセーとして書いて提出してい
ました。
当時、私31歳。自分で提案して創設した経理部販売管
理課長3年目。
会社の20周年に向けて人間の「成人式」に例えて
『リクルートで働く一人一人の「これから」にむけて
持ち続けたい心の在り様』、として書いたものなのです
が、今、読み返しても表現の仕方は横に置いて内容に
ついては私の想いに変化がありませんので今回は、
当時の文章をそのまま書いてみたいと思います。
(リクルートの社名を隠すかなどと考えましたが、
30年以上も前、はるか過去のことですのでリクルート
の社名も出したまま、そのままでいこう、と思います)
従いまして文中に現在とは違う1980年当時の部分が
ありますことを心に留め置いていただきお読みいただけ
れば、と思います。
リクルート20歳の決意
~欲求不満が成長の源~
~歯車から細胞に意識と行動の変化を~
(1980年 記)
●人間は、絶えず『夢』を描き続け、その実現を追い
求めて生きている。
●『欲求不満の精神状態』が文明を発展させた、
また発展させていく原動力である。
『満ち足りた状態』からは、新しいものは生まれにく
い。
●人間は、一人でもその人の心の中の状態によって、
さまざまな物の見方、感じ方をする。
●あらゆるものが満たされている時、また満足感を
持ってしまった時、物事を見る目、感じる心は非常に
クールでありある意味で『科学的』であることが多い。
●スタンダールは、その著書「恋愛論」の内で『結晶
作用』と言うことを述べている。
・・・枯れ枝を洞穴の中につっこんでおくと、やがてその
枯れ枝に美しい結晶の花を咲かせる。恋愛は、この
結晶作用を人の心の中でおこなわしめる・・・・・
◆「すきだ」と思い始めるとどんどん「好き」の想いが
大きくなっていく・・・。
●これを別の言葉で表現するとすれば「美化作用」で
あり、決して『科学的』ではない。
●身近な?話をすれば、一人の女性を見る時に、
身長165センチ、体重48キロ、髪の色は黒で鼻
は・・・・・・
そしてバストは87センチ、ウェスト・・・等々、と科学的
に~非常に客観的に~みてしまっては全く同じ人物
(女性)がこの地球上に何人も存在することになってし
まう。
●文明社会を築いたのは「科学」であるが、その『源』
は抽象的な精神(心)の状態、『欲求不満=欲望』で
ある。
●一人の女性のもつ美しさは科学的な目では表現不
可能である。それは、人の心の中にあるいまひとつの
眼である。それは時として相対比較であり、また時とし
てギラギラとした欲望の眼(例えば、何とかしたい等々)
であるかもしれない。
●だが、そのギラギラした欲望の眼の時の方がその女
性は見る側にとって非常に大きな『美化増殖作用』を
もたらす。
●と、同時にこの女性に対して何人もの男が同様の
欲望を持っていたとしたら、そこにまた『競争作用』が
加わり、その女性は更にその輪郭を大きくする。
●リクルート20歳。当然のことさらなる飛躍と成長を
繰り拡げ、その家族を養っていく年代・規模になって
きている。
●社会的責任の増大、社会的責任の重大さである。
●扶養家族の一員であった時は、勝手気ままに想う
ように行動してもよかったかもしれないが、世帯を構え
た今、その行動には常にたくさんの眼が注がれている
ことを忘すれてはいけない。
●リクルートも、ここ4,5年の間に世の人間世界と同様、
核家族化(分社化)がすすんでいるが、この核家族化の
中に心の冷たさを残してはいけない。
●遠く離れた地域に分化したのではなく、いわば、広大
な同一敷地内に「離れ」を立てていったようなカタチで
世帯が増えていく、このような分化をするべきであり、
こだわりを持つべきである。
●1979年、世の中を騒がさたKDDの国際電話案内
ポスターに次のような表現がある。
『いろんな人がいる。いろんなことがある。
だから地球はおもしろい』。
●この一節のようなリクルートでありたい。
さまざまに変えて表現してみる。
― 『いろんな人がいる。いろんなことがある。だから
リクルートはおもしろい』
― 『いろんな会社がある。いろんな人がいる。だから
リクルートはおもしろい』
― 『いろんな目的がある。いろんな方法がある。
だからリクルートはおもしろい』
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
●私はリクルートが大好きだ。だから何か行動しつづ
けたい。リクルートを成長させたい、
リクルートの社会的影響力を大きくしていきたい。
●私たちは例えるなら、リクルートと言う生き物を形成
しているひとつひとつが活き活きしている『活細胞』の
ひとつひとつである。そうありたい。
★言われたこと、命じられたことを決められた手順に
従って淡々とこなしていく「組織の歯車」であっては
絶対にいけない。
●リクルートと言う会社以前に、私たち『ひとつひとつ
の細胞』が活き活きと活発に生きていることがリクル
ートが元気な会社である必要十分条件。
●私たち一人一人が明日をむいて活き活きと楽しく、
たくさんの汗を流していればリクルートはいつも健康体
であり、成長し続ける。
●外からの傷は、お互い細胞間の連携で傷口をふさ
ぐことができる。
●リクルートを形成している細胞のひとつが、そのごく小
さいかもしれないが活動を停止してしまったら、それは
やがて、リクルート、本体活動の停止に拡がっていくこと
に繋がる。
●私たちがリクルートで働くということは、決して『ひとつ
の歯車になる』ことではない。
●それは『ひとつひとつも生命を持つ活細胞になる』こと
であると想う。
●そして、その小さな活細胞ひとつひとつが欲求不満
(目的をもっている状態~何とかしたい~が欲求不満と
定義)であるならば、1000億円の売上は容易に達成
される。
●外敵(景気など)は、怖くない!!
外敵によって攻撃された時には全活細胞がその補助
機能を発揮すればよい。
ちょうどばい菌と戦う「白血球」のように。
●リクルート20歳。ひとつの節目にすぎない。
●今年もあとでふりかえって公開のなきよう行動してい
きたい。
●常に欲求不満の状態で。
活細胞機能を発揮し続け、何とかものにしたいと
絶えず想いながら・・・・・・。
今回も最終行まで目を進めていただきまして
ありがとうございます。
山中教授、ノーベル賞受賞の報道のさなかに湧き出してきた
「iPS細胞の世界初の臨床応用をした」と結果としては「虚偽
の発表」をした森口尚史氏のどでかい報道がちょっと水をさし
てしまっており他人ごとながらマスコミ自体が山中教授と世間
にお詫びしなければ、と感じています。
マスコミは自らの報道姿勢に対しての大きな詫びよりも「うそ」
?ついてだました森口氏の責任にある意味、責任転嫁してし
まっている、これも大きな問題なのだ、と心から思います。
そして、
日本を一人一人が「活き活きしている社会を構成している
『活細胞』となっている」国にしていきたいな、と改めて思いま
す。
ありがとうございます。
にんげん・しあわせ・ゆめ・こころ
入 道(入村 道夫)