本当の「あお」に出会う 東山魁夷展 京都国立近代美術館
何て表現したらよいのだろう。この巨匠の絵をみて。上から目線でいくと・・・私はこの巨匠の絵が好き心の声で表現すると・・・絵って平面だけど、音が聴こえる俗っぽくいくと・・・吸い込まれるよういろいろな言葉が絵を見るたびに出てきた「道」一本の道が目の前にすっと現れる。しかし、巨匠の言葉の中に「これから進む道からもしれないし、今までたどってきた道かもしれない」と。一般にはこれから進む道なんだろうと見たが、その言葉を聞いてからは今までたどって来た道に見えてきた。そうすると、自分では茨の道だと思っていた道が、あれ?!そんなに大したことのない平な道だったことに驚かされる。こうして今絵画を観ることができることは、自分が思っているほど今までの人生は茨だったのではなく、きっと幸せであったんだろうと。東山芸術の集大成唐招提寺御影堂障壁画を再現展示構想から10年を費やし、他の仕事を全て断って挑んだ大作日本へ来る途中に失明していまった唐招提寺の開山・鑑真和上が見たかったであろう日本の風景と和上の出身地である唐を描いた大作何と、奥深い墨絵、そして「あお」の風景だろう。圧倒された。そして、「濤声」では打ち寄せる波の音、「揚州薫風」では木々を揺らす風の音、「山雲」では霧深い山間から聞こえるカッコウの声・・・こんな絵画に囲まれた襖の前ではきっとゆっくり体を休めることはできないんじゃないか。そして、きっともう一生、この障壁画を見ることができないと思うと、この今の時間が愛おしくなった。久しぶりに瞬きをすることを忘れてしまう展覧会だった。左の木の上にはクロサギが・・・京都にはこのような風景がまだあちらこちらで見受けられる。