スランプ(ドクターでも、爆風でもなく) | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

昨日は野幌で高校生との対話会でした。
「スランプはどうやって乗り越えますか?」と質問されましたが、仕事でスランプに陥った経験がなくて、上手く答えられませんでした。
 
仕事でスランプに陥らないのは、自由だからかな、と思いました。
スポーツだと、その競技やルールというしばりがあります。
そのしばりの中で頑張らないといけません。
でも、仕事だと、最終的に目的を達成できれば、手段は自由です。
だから、うまくいかないと思ったら、違う方法を試すことが出来ます。
(ただ、仕事でも、細かく具体的にやりかたを指示されるほどに、自由度が低下するので、スランプに陥りやすくなるかも。)

他の先生たちも、同じような考え方の人が多く、
高校生とはスランプのとらえ方が違うようでした。
僕は、「高校生の聞きたかった答えになってるのかなあ・・・」と、
自分の答えに「もやもや」していました。

スランプ、スランプ・・・自分はどうだったのか・・・
と考え続けて、思い出しました。
プレステの自動車レースのゲーム「グランツーリスモ」で、
いくら練習してもタイムが上がらなくてイライラしたときがありました。
もう、本当にイライラです!
 
そういうときは、僕のパターンだと、
上手くクリアできないコーナーの、二つ前くらいのコーナーで無理しすぎているような気がします。

手前にある比較的容易に見えるコーナーを、容易そうだから無理目にクリアしてしまい、
そこで自動車の姿勢が苦しいまま問題のコーナーに入ってしまうと、
入り方の選択肢がものすごく少なくなっているから理想のコースに乗れなくて、
結局タイムが上がらない、という感じです。
それに気がついてからは、「無理しない」のがいいのかな、と思うようになりました。

タイムをあげるぞ!って、目を三角にしてガンガン行くと、バランスが崩れる気がします。
だから、なるべく平常心で、一つ一つを丁寧にこなすことを心がけると、
コース全体を通してのバランスが良くなって、タイムが上がっちゃう、感じがします。

仕事でも、無理してキャンペーンを張ったりすると、
瞬間最大風速は上がるけど、トータルではそんなにプラスにならない、
というのはありがちです。

勉強をしてもしても成績が上がらない・・・
こんなにつらい思いをして、睡眠時間も削って、遊ばないでがんばってるのに!
という子は沢山います。
でもそれは、やめた方がいいかも。

僕は、はじめて社会に出たとき、そのころ好きだった人と早く結婚したくて、
趣味を全て封印して、ひたすら残業して働いた事がありました。
でも、「頑張らなくちゃ!」の一心は、僕の心をどんどんダメにしていきました。
遊びも封印したので、僕は一人ぼっちになってしまいました。
思考力も減ってきて、きっと、記憶力や判断力も低下していたと思います。
結局は好きだった人に対しても、「僕がこんなに頑張ってあげているのに!」が
恩着せがましくなったのでしょう。大事なものを失ってしまいました。

勉強をしてもしても成績が上がらない・・・のは、
もしかしたら、「睡眠時間も削って、遊ばないでがんばってる」のがマイナスになってるかも。
すこしリラックスして、「勉強を楽しもう」という気持ちを持った方が、
結果的にはプラスに作用するかもよ。
(まあ、周りの大人がそれを許さない、なんてケースはかわいそうだねえ。)