僕らは愛されている。 | 植松努のブログ

植松努のブログ

講演でしゃべりきれないことを書きます。

「名車再生」という番組があります。
イギリスの番組です。日本語に吹き替えられています。

車に思い入れや愛着のある人達。

でも、様々な理由で、その愛車を維持することができなくなった人達。

そういう人達の、壊れてしまった愛車を、修理する番組です。

どのお話しもすごくいいお話しです。

 

昔はレースを楽しんでいた人が、体が不自由になってしまって、

車の修理ができなくなってしまいました。

落ち込んでいる彼を見たお兄さんは、弟の壊れてしまった愛車の修理を依頼します。

かなり苦労があったものの、新品のように修理された車と再会した弟さんは、

涙ぐみます。

 

そのときに、修理をした人が言います。

「あなたは、愛されています。」

 

「ちゃんとしなさい」という言葉があります。

ぼくはそれを、

「人に迷惑をかけない」

「人に心配をさせない」

「人に助けを借りない」

と理解してしまいました。

この条件を満たすのは、「人と関わらない」でした。

それは、とても恐ろしい事でした。

 

人は、常に100%の能力を発揮できません。
具合が悪くなるときもあります。

正常な判断ができなくなることもあります。

そんなときには、誰かの助けが必要です。

しかし、「ちゃんとしなさい」という言葉は、それを拒否しろと教えてしまうのです。

それは、「人の愛情を拒否しろ」に、ほかならないです。

それは、「愛を拒否しろ」「愛を否定しろ」です。

自分自身も、人を愛せなくなります。

サウザーか。

(わからない人は、北斗の拳を読むべし)

 

誰かに心配してもらえたとき。

誰かに助けてもらったとき。

それは、「相手に迷惑をかけた」のではありません。
それは、「あなたは、愛された」なのです。
それに対していう言葉は、

「迷惑かけて申し訳ありません」ではありません。

「助けてくれて、ありがとう」です。


コロナに感染した芸能人が、

「心配をかけて申し訳ありませんでした。」

「迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」と頭を下げます。

そうじゃないです。

本当は、

「心配してくれて、ありがとう。」

「助けてくれて、ありがとう。」

「だから、僕も心配するよ、僕も助けるよ。」の方がいいとおもいます。

 

迷惑をかけない生き方などありません。

誰かに迷惑をかけられたと思っている人も、

気づかずに誰かに迷惑をかけている可能性は必ずあります。

 

だから、迷惑をかけることを悪いこととせず、

助けてくれた人に、感謝をしたほうがいいと思います。

 

恐縮や、謝罪ではなく、

感謝のすばらしさを伝えた方がいいと思います。