人生は命がけのギャンブル。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕はギャンブルをしません。
なぜなら、自分のために「運」を使ってしまうのが怖いからです。

人生は、思うようになりません。

思いもしないことが発生します。

今回のコロナウィルス感染症も、予測していた人はほとんどいなかったでしょう。

 

車を運転中に、対向車がいきなりこっちの車線にはみ出てくることもあります。
いきなり落石がふってくることもあります。

本当に、身の回りには不確定要素が沢山あります。

今日自分が死ぬ、と思っている人は、あんまりいないでしょう。

でも、事故などで命を落とす人は、みんな、自分が死ぬとは思っていません。
人生はある意味、命がけのギャンブルかもしれません。

 

僕は、僕の力が及ばないことが沢山あることを知っています。

一番心配なのは、僕の大切な人達が、僕の手の届かない所で大変な目にあうことです。
それが一番怖いです。

だから僕は、神社などでお願いするときは、

「僕の事は自分でどうにかするから、僕の分で、僕の大切な人を守ってください。」

と祈っています。

修学旅行で来てくれる子達に、僕は最後の〆の挨拶で、必ず言うことがあります。

 

今日、僕はみんなと出会えました。嬉しいです。

また会いたいです。きっと会えます。

次に出会うときは、みんなはどこかで仕事をしてると思います。

仕事をしてると、いろんな不便なことや、悲しいことや、困ったことに出会います。

そのときに、それをあきらめてしまわないで、
「自分だったらこうするな」と思ってくれたとき、
でも、「自分ではそれを形にできない」と思ったとき、
僕らを思い出してください。
僕らなら、みんなが考え出した誰かを助けるアイデアを、形にできるかもしれません。
次に出会うときは、僕らは、力をあわせて誰かを助ける仲間として出会えるかもしれません。
その可能性は必ずあります。僕はそれを楽しみにしています。
でも、僕らが再開するためには条件があります。
それは、お互いに死なない。です。
だから僕は車を運転するとき、みんなのことを思い出して、イライラしないでゆっくり走ります。
だから、みんなも車に乗るときは、シートベルトしてね。後ろの席でもするんだよ。
そして、これからみんなは色んな人に出会います。
それはもう、素晴らしいパートナーにも出会います。

でも、間違いなく、そうとう嫌な人にも出会います。
でもね。嫌な人から、どんなひどいことを言われても、どんなひどいことをされても、

死ぬを選ばないでください。生きてください。
なぜなら、生きていると、誰かと出会う可能性が増えるからです。
僕も何度も死んでしまおうと思ったことがあります。
死んだ方が楽になる。と思ったことがあります。
でも僕は、怖くて死ぬを選べませんでした。

そのおかげで、僕は今日みんなと出会えたんです。
生きてると、つらいことも悲しいこともあります。

でも、誰かと出会うチャンスは増え続けます。

それは素晴らしい可能性です。

それを信じて、勇気を出して生きてください。

僕も生きます。

そして、次に出会って、誰かを助けられたら嬉しいね。
僕はそれを楽しみにしてるから、早く社会に出てきてください。

僕は、この約束をしています。
だから、僕は、僕が出会った子達がひどい目にあわないように祈ります。
だから僕は、自分のことで「運」を使うのが怖いのです。
だから僕は、ギャンブルができません。
ギャンブルが嫌いだからではなく、自分のことで運を使うのが怖いのです。

人生は、命がけのギャンブルのようなものです。
でも、命を失うのはまずいです。可能性を失います。
だから、命を失わないようにギャンブルすべきです。
「丁か!半か!」と問われたとき、

僕だったら、仲間と力をあわせて、

僕が丁にかけて、仲間が半にかけます。

そうすれば、どっちかが必ず勝ちます。

(胴元の取り分があるから、コレをやっても絶対に手取りは減っていくけどね。)

おそらく、本当の博打では、こういうことをしてはいけないんじゃないかなと思うけど、

人生においては、こうすれば損失を最小限にできます。

だから、「ひとつしか」はとても危険です。
すくなからずの人が、「一生懸命」を「いっこしかやっちゃダメ」だと思い込んでいます。
だから、子ども達に「ひとつしか」を強要します。
でもそれは、命がけのギャンブルだけど、選択肢が沢山ある人生において、

あえて、「丁か!半か!」を決めさせているようなものです。

しかも、子どもが選んでいるのではなく、親が決めていたりします。

アメリカの映画を見ていると、プランBという言葉を耳にする事があるでしょう。
プランAがダメだったときに発動する、プランBです。
これは、本当に必要なものです。
しかし日本では、プランBを考えようとすると、

「失敗するかも、なんて思ってるから失敗するんだ!」
「絶対に失敗しない、という気持ちで挑まないと失敗する!」

なんていう精神論が飛び出してきて、プランBをつくることができません。
まったく、ばかげています。

人生において最優先は、生存の可能性を高めることです。
間違っても、学歴や高収入は最優先テーマではありません。

子ども達を、大人の間違った勝負感で追い込まないで欲しいです。