買うしかないと思ってると、お金が欲しい。自分でもできる事を知ると、能力が欲しい。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

僕は、永田先生と出会って、ロケットをつくれるようになりました。

でも、ロケットの部品は売っていませんでした。

 

はい、終了!

 

とはなりませんでした。

なぜなら、僕は、ものをつくれたからです。

 

小さい頃から工作が大好きでした。

でもそれは

「工作ばっかり得意でもねえ・・・成績に関係ないからねえ・・・」と言われました。

 

工作は好きでも、図工は苦手でした。

先生の言うとおりにつくりたくないのです。

もっと勝手に工夫したいのです。

 

小学生の頃には、プラモデルが流行りました。

しかし、僕の父さんは厳しい人でした。

「プラモデルなんて簡単すぎてダメだ!男なら鉄でつくれ!」という、

めちゃめちゃジェンダーバイアスな言葉を浴びせられ、

はんだ付け(コテのワット数が300ワットとか。尋常じゃないです。)にとどまらず、
ガス切断や、溶接までさせられました。

もちろんそれらは、学校では1つも評価されません。

むしろ、「勉強しないと、そういう仕事をするしかないんだよ。」とまで言われます。

 

中学性の頃には、自転車に夢中になります。

ですから、パンク修理は当然で、

自転車のベアリング交換や、チェーン交換もできるようになります。

旋盤や、プラズマ切断もできるようになりました。

 

大学では、機械加工実習の初日に、「お前は機械加工やってきただろ。

できるな。じゃあ優にしておくから、教えるのを手伝え。」と言われました。

バイクや車も大好きになり、何度もエンジンを壊しました。

 

それらは、無駄なことかもしれません。

でも、無駄じゃなかった。

 

僕は、ものを作る力を得たことで、

「お金が無いから無理〜」ではなく、

「じゃあ、作ろうか?」と考えられるようになりました。

そのおかげで、売っていないものを作れるようになりました。

作るために調べるようになりました。

作るために計算するようになりました。

僕の工作の能力は、お金に換算できないほどの価値になりました。

 

植松電機には、工業高校の子達も修学旅行で来てくれます。

しかし、80%程の学校は、「自分なんて・・・」にとらわれています。

なぜなら、中学校の進路指導で、

「お前は成績悪いから普通高校に行っても落ちこぼれるだけだ。工業に行け。」と

指導してしまう先生がいるからです。

その結果、「自分は、こんな学校に来てしまったから、

自分の人生なんて、しょせんはこんなもんだ。」と、捨て鉢になってしまうのです。

 

なにをいうか。

工業高校で学ぶことは、将来、お金に換えられない価値を生み出すのです。

「買うしかない」と思い込んでいる人達は、「お金が欲しい」になります。

「自分でもできる」ことを知ってる人は、「能力が欲しい」になります。

 

「お金をください」「楽してお金が欲しい」と願い続けるのか、

それとも、

「学びたい」「知りたい」「経験したい」と願い続けるのか。

 

その違いは、進路指導でついてしまうことが、とても多いです。

 

もちろん、学校に関係なく、「ものを作る能力」は身に付きます。

それは、機械加工にとどまらないです。

文章でも、絵でも、お菓子でも、音楽でも、なんでもありです。

「買うしかない」趣味ではなく、「お金で買えない要素がある」趣味を試してみたらいいです。

 

植松電機の修学旅行で来てくれた子達の感想文の中には、

「自分は、不器用で、工作は苦手でした。でも今日、自分は不器用じゃない、と思いました。」と書いてくれる子が、けっこういます。

僕はとっても嬉しいです。

 

大人が無理だと思い込んでいるロケット作れちゃったんだもん。なんでもできるよ。

 

今年は、去年以上に、日本中でロケット教室できる人を増やしたいです。

と思っていたら、くさつ未来プロジェクトさんたちが

「Nippon こども 応援団」というアクションをはじめてくれました!

https://ameblo.jp/umareru-minakusa/entry-12569004965.html

 

泣けるよ。

嬉しくてね。

がんばろうね。