ペーパークラフトの新作できたよ | 植松努のブログ

植松努のブログ

講演でしゃべりきれないことを書きます。

ダッソーブレゲー ミラージュ3C 1/48 ペーパークラフト

 

とてもコンパクトで、とても綺麗なフランスの飛行機です。

大好きなんだけど、いままで、ペーパークラフト化に失敗し続けていました。

比較的円筒に近い胴体形状のものは、計算しやすかったんだけど、

複雑で扁平な形は、どうしても誤差が大きくて、

作ってから、組み立ててみて、手作業で微修正して・・・を繰り返すので、

ものすごく時間がかかっていました。

 

しかし、昨年から、物体形状の表面を、微小な3角形のポリゴンに分解して、

ベクトル計算で展開図を出す方法ができるようになって、かなり精度も上がったのですが、

それでもなお、ジェット戦闘機の複雑な胴体形状はうまく行きませんでした。

 

精度を上げるためには、ポリゴンの分割数を上げるといいのですが、

計算量が増えてしまって、結局、ものすごく時間がかかってしまいました。

 

で、昨年末。インフルエンザで死んでいるとき、ふと、
それまで直線だけで構成してたポリゴンを、カーブを使ったらいかがかと思いつきました。

そこに思い至れたのは、ユニゾンのおかげです。

昨年、ユニゾンの仲間から、illustratorで、カーブの長さを調べる方法を教えてもらったのです。

それを活かしたら、少ないポリゴン数でも、精度の高い計算ができるかも・・・。

 

大成功です。

従来の半分くらいの時間で、かなり複雑な形状を展開図にできるようになりました。

 

世の中には、これらのポリゴン生成を自動でやってくれるソフトもあるのですが、

そもそも3Dのモデリングが大変です。また、思うようには分割してくれません。

分割数を増やすと時間がかかるのも同じです。

しかし、僕のやっている、半手動方式だと、物体の代表的なエッジラインと、

代表断面のクロスセクションをしっかり出せば、かなり綺麗に展開図がつくれます。

 

ミラージュ3Cは、ミラージュシリーズのかなり初期の機体です。

アメリカの戦闘機とくらべると、ものすごくコンパクトです。

おまけに頑丈で、整備性もよかったので、世界中で運用されました。

 

三角形のデルタ欲がシンプル。

それでいて、やんわりと垂れ下がった前縁のカーブが綺麗。

 

ペーパークラフトにするに当たっては、引き込み脚の収納部分はオミットしました。

そこまでつくるとなると、手間がいっきょにものすごく増えてしまいます。

 

子どもの頃、八代光司さんの「世界のジェット戦闘機」というペーパークラフトの本に出会います。

よくぞまあ、こんな本を出してくれたものです。
この本のおかげで、僕は、紙でも立体をつくれることを知ります。
そして、それは、材料が違うだけで、本物と同じだということに気がつきます。
小学生の頃です。

でも、途中、何度も、「紙切りはくだらない」「子どもの遊びだ」と言われ続けますが、

僕はそれを気にしませんでした。

なぜならば、美しい形を自分で作れる事が喜びだったからです。

そこから、立体をつくるために必要な三面図を探しまくります。

それらが載っている本を買いまくります。

自動的に飛行機の勉強をどんどんしてしまいます。

それが、今の僕の大きな力になっています。

 

だから、恩返しのためにも、僕もペーパークラフトの本を出したいと思っています。

しかし、最大の問題は、どこまで簡略化するかです。

ちなみに、今回のこのミラージュを作るためには、

コピー用紙を丸めて筒を作る箇所が何カ所かあるのですが、

太さ0.8mmの丸棒を作る部品もあります。

おそらくこれには、相当な練習と、かなりの握力が必要です。

握力?
やってみたら、きっとわかります。
まあ、無理して紙にこだわらないで、針金とかにしちゃえばいいだけなんだけどね。

ミラージュ3は、尾翼がない分、部品が少ないので作りやすいです。
僕のペーパークラフトの本ができたら、おそらく、最初の機体になるのだろうと思います。