夢を職業や進路に限定してはいけない。 | 植松努のブログ

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講演でしゃべりきれないことを書きます。

夢がありません。

夢は、いま探してる最中です。

進学してから、夢を探します。

 

という言葉をよく耳にします。

 

こういう人達が、夢を見つけられるまでには、相当な時間がかかるか、

もしくは、夢を見つけられないまま、ルーチンとしての日常を過ごすことに

なってしまうことが多いです。

 

ちなみに、進学というものは、夢に近づくための手段の一つに過ぎません。

進学したら選択肢が広がる、という大人もいますが、

本当は、進学したら、専門性が高まるので、選択肢は減ります。

本来なら、中学高校の間に、自分の将来の事を考えて、そのために、

進学先を選ぶべきなのですが、

現在の日本の教育では、中学高校では、

「夢なんてどうでもいいから、とりあえず偏差値をあげろ、

そして、できるだけいい学校にいけ、そうしたら、夢が叶う」

みたいな指導をしてしまいます。

だから、何をしていいのかわからない、なにができるのかわからない、ままに、

進学してしまって、途方に暮れている人が沢山います。

 

学校では、夢を、職業や進路から選べ、と指導します。

でも本当は、夢を職業や進路に限定すると、本当の夢を見失います。

ましてや、就職してしまったら、進学してしまったら、夢を追えなくなります。

これは、人生をだいなしにする可能性のある、ものすごく危険な指導です。

 

本当は、夢にも仕事にも、個数の制限はありません。

「そうそう、最近日本でも副業が許可されるようになったもんね。」じゃなくて。

仕事というものを、「言われたことをやる」という、受動的なものと考えていると、

仕事=雇用契約になってしまいます。

しかし、本当は、仕事とは、人のために役にたつことです。

だから、まわりの人を見渡してみてください。

なんだか輝いてる人って、仕事以外にも、休日でも、仕事のあとでも、

ボランタリーに、いろんなことやってませんか。

そして、いろんなことをやるから、いろんな経験ができて、いろんな人脈ができて、

それがまた、実際の仕事にもプラスになったりしています。

それが、その人の輝きの原因だと思います。

植松電機は、リサイクル用のマグネットを開発し販売するのが仕事です。
でも、もともとそれをやっていたわけではありません。
元々は、炭鉱用の特殊電動機を修理する仕事からスタートし、

やがて、自動車の電装品を修理する仕事に変化し、

そこから、リサイクル用のマグネットになりました。

その移行は、ある日突然切り替わるものではなく、

電装品を修理しつつも、お客さんにたのまれて、作ったことがないマグネットをつくって・・・

試行錯誤を繰り返して・・・

という、遷移期間を必要としています。

言って見れば、そのときは、2種類の仕事をしていることになります。

 

いまの植松電機は、もっといろんなことをしています。

それは、リーマンショックを経験したからです。

一つのことだと、一つの要因で滅ぶ可能性があります。

だからこそ、複数の生き残る道を作っておくべきです。

いま、元気がある企業は、みな、同じような発想をしてると思います。

 

 

そして、夢も、何個あったっていいです。

どこそこの学校に進学したいなあ・・・も立派な夢です。

明日も見学だ、雨が降りませんように・・・も立派な夢です。

カレー食いたいなあ・・・も立派な夢です。

自分の愛する人が、今日も怪我をしませんように・・・も立派な夢です。

夢を一個にしろ、といわれたら、どれから捨てますか。

 

日本の、間違った進路指導が、夢を持てない人間を量産しています。

これは、一刻も早く改善しなければいけない、危険な状態です。

しかし、現在の進路指導してる人達は、自分が間違ってるとは思っていません。

その人達を否定したり、やっつけたりしてはいけません。

だからこそ大事なのは、間違った進路指導に負けない自分になることです。

 

夢とは、大好きなことや、やってみたいこと。

仕事とは、人の役にたつこと。

そして、大好きなことや、やってみたいことが、人の役にたつようになったら、

夢が仕事になります。

 

たったこれだけのことを、時々思い出すだけで、

間違った進路指導に負けない自分になれます。

 

夢も仕事も、個数制限なんてありません。

人生は限りがあるからこそ、欲張ったほうがいいです。

そして、欲張るためには、人生の時間とお金を効率的に使う必要があります。

自分の人生の時間とお金は、果たして有効に使えているか、は、

つねに意識すべきだと思います。
スマホでなんとなくユーチューブ見ていて、気がついたら3時間たってた、とかは、

人生の時間を有効につかっている、とは言えない状態ですよ。